居酒屋「塚田農場」の地鶏がレアでもおいしく食べられる理由

アスキー 10月14日(金)17時00分配信

 さて先週の記事で、10月1日から宮崎日南業態の塚田農場では、一定の条件を満たせば「月見ステーキ」が「Wチーズ月見」に無償アップグレードできることをお伝えしましたが、実は10月1日からは別のメニューも食べられるようになっています。

 それは「ダブル炊餃子鍋」(1480円)と「生ほうれん草とベーコンのあったかサラダ」(780円)。いずれも一度店舗に行けば名刺サイズの案内状をもらえると思いますので、次回にこれを提示すればオーダーすることができます。場合によってはその場でオーダーできるかと思いますので店舗に問い合わせてください。

 毎度毎度同じ説明ですが、これらのメニューが食べられるのは宮崎日南業態の塚田農場です。鹿児島霧島業態、北海道シントク業態、他社が勝手にやっているその他のインスパイア系農場では食べられません。

とにかく濃厚なじとっこスープは一度は飲むべき

 まずは「ダブル炊餃子鍋」。こちらは塚田農場のレギュラーメニューにある「炊餃子」(850円、二人前からオーダー可能)のデュアルコア版ともいうべき特別メニューです。火鍋などで見かける鍋(二色鍋)に、鶏ガラスープとアゴ出汁のWスープが入っており、一方は通常の醤油ベースの炊餃子、もう一方はカレー風味の炊餃子になっています。

塚田農場メニュー
「ダブル炊餃子鍋」は、二色鍋に入れられた炊餃子。右がカレー風味、左がノーマル

 この炊餃子のスープ、つけ麺に使えるほど超濃厚な味です。最初は鍋の中でゼラチン状になっているのですが、客席にセッティングされたコンロの上で温められることでスープになります。とにかくウマイので、ゼラチン状態のときにスタッフの目を盗んでわしづかみにし、ポケットに入れて持ち帰りたいほどです。

 それほどウマイじとっこスープにカレー風味が加わるので、味は約束されたようなもの。なお、この料理をオーダーすると3分を計測できる砂時計を一緒に持ってきてくれます。スープが溶けたら計測開始です。

塚田農場メニュー
「ダブル炊餃子鍋」をオーダーすると砂時計を手渡されます

 ちなみに薬味は、ネギとショウガ、魚粉、フライドオニオンの4種類。

塚田農場メニュー
左上から時計回りに、ネギ、ショウガ、魚粉、フライドオニオン

 出来上がった炊餃子は、もちもちのアツアツ。小皿に取り分けると、スープのこってり感が伝わるかと思います。

塚田農場メニュー
こんな感じで鍋を炊きます。餃子の皮が厚いので炊いても皮が破れることはありません
塚田農場メニュー
スープの表面がテカテカ。濃厚感が伝わるかと思います

 餃子を食べ終わったらプラス380円で、シメのらーめん(半玉)+チーズリゾットまたはうどん(半玉)もオーダー可能です。カレー側がチーズリゾット、ノーマルのじとっこスープ側がラーメン(またはうどん)になります。

塚田農場メニュー
カレー側をリゾットにしてもらいました。カレー&チーズなんでこれも間違いなくウマイ

 一方の「生ほうれん草とベーコンのあったかサラダ」は、生のほうれんそうとローストされたベーコン、フライドオニオン、温泉卵が乗っかったサラダ。そして、サラダ全体には鰹節が振りかけられています。卵をつぶして混ぜることで、濃厚な塚だまの黄身がカリカリのベーコンとシャキシャキのほうれん草と絡み、不思議な食感が生まれます。これに鰹節の旨味がプラスされます。味は和風ベースのドレッシングなのでさっぱりしています。

塚田農場メニュー
生ほうれん草とベーコンのあったかサラダ
塚田農場メニュー
まぜるとこんな感じ

 この「ダブル炊餃子鍋」と「生ほうれん草とベーコンのあったかサラダ」は、先行限定メニューとして一部店舗で提供されており、「ダブル炊餃子鍋」のほうは10月19日からは誰でも普通に食べられるようになります。

みやざき地頭鶏はなんと卵から塚田農場で育てられている

 レギュラーメニューの「炊餃子」や先行して提供されている限定メニューの「ダブル炊餃子鍋」のベースになっているスープは、もちろんみやざき地頭鶏の鶏ガラが使われています。塚田農場では、もも肉や胸肉だけでなく、内臓を含めて地頭鶏1羽を余すところなく食材に使うことで、地鶏料理としては低価格を実現しているわけです。

 そもそも「塚田農場」という名称は、運営会社であるエー・ピーカンパニー<3175>が宮崎県日南市の塚田地区に作った自社農場が由来です。同社では現在、宮崎県内に自社農場を3拠点持っており、その内の1拠点が稼働中です。3拠点すべてを稼働させない理由としては、養鶏場としてフル稼働させていると鶏舎の土のpHが上がってアルカリ性になり、みやざき地頭鶏の生育に適さない土壌になってしまうため、一定期間休ませる必要があること。もう1つの理由は、季節要因などでみやざき地頭鶏の需要が下がった場合でも、自社農場で生産調整を実施することで約20軒ある契約農家さんの生産を減らすことなく、持続可能な環境を作るためだそうです。ここかなり重要です。

地頭鶏ランド日南
社長自らが作り上げた宮崎県日南市の山中にある塚田農場
地頭鶏ランド日南
こちらは加工センター。牛乳配達業者さんの使っていない倉庫を借り受けて作られたそうです。よく見ると牛乳の文字が残ってますね

 とはいうものの、一般的なブロイラーなら理解できますが、飼育方法などのレギュレーションが厳しい地鶏でそんなに柔軟な生産調整できるのか疑問ですよね。実はエー・ピーカンパニー<3175>では、みやざき地頭鶏を卵から育てているのです。実際には、同社の関連会社である地頭鶏ランド日南の養鶏事業部の一部として、宮崎県の日南市に「日南雛センター」、東諸県郡綾町に「綾雛センター」を設立しており、こちらで雛の数からある程度調整しています。

 通常、地鶏の卵や雛の供給は都道府県の管轄だそうですが、地頭鶏ランド日南は県の許可を受けて自社で卵から雛を孵化させています。そして自社農場もしくは契約農家で、雄は120日間、雌150日間育て、地頭鶏ランド日南の加工センターで食肉として加工し、宮崎日南業態の塚田農場やフランチャイズのじとっこ組合などに運ばれていくわけです。一次産業である農業、二次産業である製造・加工業、三次産業である流通・販売業をグループ全体で手がけていることから、同社は六次産業経営と言っているわけですね。

 卵から孵化のくだりは結構サラっと書きましたが、卵はどこから調達しているんだという疑問に突き当たりますね。地頭鶏ランド日南の2拠点ある雛センターでは、みやざき地頭鶏の卵を仕入れて孵化させているわけでなく、もちろん卵を産むところから自社でやっているのです。

地頭鶏ランド日南
宮崎県東諸県郡綾町にある綾雛センター

 皆さんこの時点で「鶏が先か、卵が先か」というややこしいゾーンに入ってきたかと思いますが、ここできちんと整理しておきましょう。

 そもそも「みやざき地頭鶏」というのは、祖父にあたる鶏が地頭鶏(じとっこ)と呼ばれており、美味だったことから薩摩藩(現在の鹿児島県や宮崎県の一部)で古くから飼育されていたそうです。しかし現在、地頭鶏は天然記念物に指定されているため、食肉として使えません。そこで、地頭鶏の雄と劣性ホワイトプリマスロックの雌を掛け合わせてF1(交雑種第1世代)を作ります。このF1がみやざき地頭鶏の父親が当たります。そして、F1に九州ロードの雌を掛け合わせたのがみやざき地頭鶏というわけです。

地頭鶏ランド日南
地頭鶏の雄と劣性ホワイトプリマスロックの雌を掛け合わせたF1種
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みやざき地頭鶏の母鶏にあたる九州ロード

 では、みやざき地頭鶏の母鶏として文章中に突然現れた九州ロードというのはどういう鶏か。公益社団法人である畜産技術協会の資料によると、熊本県保有のロードアイランドレッド種と家畜改良センター兵庫牧場の白色プリマスロック種13系統を交配した地鶏係数50%の鶏を基礎として、3県共同で7年間7世代の閉鎖群育種を実施したことで誕生した鶏だそうです。

 九州ロードは産肉性と産卵性に優れているため、みやざき地頭鶏だけでなく、熊本県の「熊本コーチン」と「天草大王」、大分県の「豊のしゃも」などの母鶏にもなっているそうです。大事なことなんでもう一度いいますが、みやざき地頭鶏は、天然記念物の地頭鶏の子供(F1)と九州ロードを掛け合わせることで、これらの特徴を引き継いだ地鶏となるわけです。

 では、劣性ホワイトプリマスロックとはどういう鶏か。劣性とつくことからわかるように、遺伝子情報が子供に現れにくいことから、みやざき地頭鶏は父鶏である地頭鶏の子供(F1)の遺伝子を色濃く受け継ぐわけですね。

 さらに、地頭鶏の子供であるF1種をどこで調達しているかというと、ここはさすがに天然記念物の地頭鶏を管理する宮崎県畜産試験場だそうです。

 さて話を元に戻しますと、雛センターではまずF1種と九州ロードを育てて交配させています。通常は、雄雌の鶏舎は仕切りで区切られており、交配のときだけで一緒にするそうです。

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F1種と交配した九州ロードが写真右側の穴に入って卵を産みます
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産み落とされた卵はすぐさま回収されます

 交配後は、卵(有精卵)だけを回収して温度が一定に保たれた冷暗所に保存します。

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卵を孵化させる建物は、F1種と九州ロードが飼育されている鶏舎とは少し離れた場所にあります

 あとは毎月決められた日程で卵を人工の孵化装置に入れて雛にします。卵は産後14日目までのものを使うそうです。それ以上保管していると、孵化率が下がるとのこと。

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空調が一定温度に保たれた場所で卵が一時保管されます

 孵化装置としては、セッターとハッチャーがあり、まずはセッターに入れられたあと、出荷5日前にハッチャーに移されます。孵化までの期間は21日程度とのこと。セッターは定温器と呼ばれるもので、孵化しやすい温度と湿度に保つために使われます。ハッチャーに移した卵は孵化していきます。

地頭鶏ランド日南
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こちらはセッター。孵化しやすい温度と湿度を作る装置です。卵はまずここに入れられます
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手前がハッチャー。出荷5日前になるとセッターから卵が移されてこの中で孵化します
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綾雛センターでF1種と九州ロードの飼育から卵の孵化、雛の出荷までを手がける坂元さん。夏場や冬場はセッター内の温度・湿度管理が大変とのこと

 ここで気になるのが、残ったF1種と九州ロード。これらは飼育期間が長く肉質が固くなってしまうため食肉としての使い道は限られており、F1種のほうはミンチにして地頭鶏のソーセージやフランクフルトなどの原料の一部になるそうです。

雛から雄は120日、雌は150日飼育

 雛になったみやざき地頭鶏は、地頭鶏ランド日南の直営農場や契約農家に出荷されて飼育されます。今回は、西都市にある直営農場で飼育の様子を見学してきました。まずは生後まもない雛。みやざき地頭鶏の面影は特になく、超絶キャワイイ感じです。

地頭鶏ランド日南
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手のひらに3羽ほどが乗るほど体は小さいです。一般的な黄色の雛だけでなく、すでに地鶏色の雛もいました

 隣の鶏舎では生後30日の雄と雌が飼育されていました。まだまだ体は小さいですが、鶏の顔つきになっていますね。

地頭鶏ランド日南
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生後30日までのみやざき地頭鶏が飼育されている鶏舎。もう完全に地鶏の格好です

 さらに隣の鶏舎には生後60日のみやざき地頭鶏が。すでにかなりデカイいので複数に追いかけられると怖いかもというレベル。

地頭鶏ランド日南
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生後60日までのみやざき地頭鶏が飼育されている鶏舎。両手で抱きかかえないといけない大きさです

 生後90日のみやざき地頭鶏。もう出荷できるんじゃないかと思えるほどしっかりした体躯です。

地頭鶏ランド日南
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生後90日までのみやざき地頭鶏が飼育されている鶏舎。さらにデカイ

 生後120日のみやざき地頭鶏。凜々しい鶏冠ですね。首が太いです。雄はこの時点で加工場に出荷されます。

地頭鶏ランド日南
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生後120日までのみやざき地頭鶏が飼育されている鶏舎。雄は体が大きいのでこの時点で出荷されます

 生後150日のみやざき地頭鶏。雌は150日飼育されて出荷されていきます。

地頭鶏ランド日南
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生後150日までのみやざき地頭鶏が飼育されている鶏舎。雌はこの段階で出荷されます。飼育期間は40~50日で出荷されるブロイラーのなんと3倍

 ちなみに雄雌の区別は単純に鶏冠の大きさではないそうです。雌のほうが丸みを帯びた体型をしているそうですが、シロウトのワタクシには見分けがつきませんでした。

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雄雌は鶏冠ではなく体の大きさやフォルムで見分けるそうです

 加工場に出荷するみやざき地頭鶏は、夕方から夜に捕獲します。ご存じの方も多いと思いますが、鳥類は夜になると周囲が見えなくなりおとなしくなるからです。捕獲時は、ライトを頭に付けて追いかけ、ガシっと掴むという感じ。

塚田農場
鳥カゴ1つあたり5羽の鶏を入れます。捕獲作業は日が落ちるころからスタート

 捕獲したみやざき地頭鶏は、5羽ずつ専用のゲージに入れられます。元気いっぱいに逃げ回る鶏もいれば、ゲージに入れられた途端大人しく覚悟を決める鶏までさまざまです。取材時は雄50羽、雌50羽を1時間弱で捕獲していました。養鶏場は山の中腹にあるので、夕方以降はかなり暗いのですが、雄雌をよく見分けられるなぁと思いました。

塚田農場
塚田農場
出荷するみやざき地頭鶏の捕獲は日が落ちる前の夕方から夜にかけての作業になります

みやざき地頭鶏は放血のあと食肉として余すところなく加工

 捕獲されたみやざき地頭鶏は、加工センターに運ばれて食肉として処理されるわけですが、エー・ピーカンパニー<3175>では鶏を絞めることを屠殺とは言わず、放血と呼んでいます。文字どおり、血を抜くことで生き物を食肉にする作業です。

地頭鶏ランド日南
地頭鶏ランド日南
宮崎県西都市にある地頭鶏ランド日南の加工センター

 放血のあとは、羽をむしる必要があるため専用マシーンに放り込まれます。ここにはいくつもの突起があり、放血したみやざき地頭鶏と温水を入れて攪拌することで羽がむしり取られていきます。

塚田農場
右側に見える放血器の穴に鶏を頭から突っ込んで絞めます(宮崎県日南にある本社/処理センターで撮影)
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放血後のみやざき地頭鶏の羽をむしり取るマシーン(宮崎県日南にある本社/処理センターで撮影)

 羽がむしり取られたみやざき地頭鶏は、1時間ほど氷水に浸けられたあと食肉として加工されます。なぜ冷やすのかというと、鶏の表面温度は羽むしり取りマシーンで、内部はそもそもの鶏の体温で温まっているため、一度完全に冷却する必要があるとのこと。

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羽を取り除いたあとは体内にこもっている熱を下げるため氷水に1時間ほど浸けられます

 冷却後に1羽1羽取り出して捌いていくわけですが、この段階で痩せすぎの鶏や赤く変色している鶏などは除外されるそうです。除外された鶏はどうなるかというと、その分の販売代金は養鶏農家から差し引く、返品をというかたちを採るそうです。生育の悪い鶏がいることを農家にきちんと報告して責任をとってもらうことで、飼育環境の見直しなどに役立てるというわけですね。

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加工前に目視で健康状態をチェック。生育の悪いみやざき地頭鶏はここで外されます

 今回は、宮崎県西都市にある加工センターを取材させてもらったのですが、ここでは吊るし切りという方法で加工していきます。食肉の加工方法としては、まな板の上で捌く方法もあるのですが、吊るし切りでは空気以外のものに触れる部分が吊している首の部分だけなので、菌の繁殖を最小限に抑えることができるそうです。また、この方法では内臓を取り出さずに鶏肉を削ぎ切りにしていくため、内臓の菌が鶏肉に付着することもありません。このように加工時に細心の注意を払うことで、塚田農場の店舗で新鮮な鶏が食べられるというわけ。ちなみに吊るし切りのデメリットは、削ぎ切りしていくために歩留まりが悪いことだそうです。

 一方、宮崎県日南市にある本社の処理センターでは、まな板の上で内臓を取り出してから各部位に切り分けて加工しています。銀座中央通り店など一部の店舗では、この内臓を抜いた丸鶏を仕入れて店舗で捌いています。

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西都の加工センターでは吊し切りによって部位に分けられていきます
地頭鶏ランド日南
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各部位に分けられてさらに加工されていきます

 では内臓はどうなるのか。もちろん破棄するわけでなく、扉で区切られた別室で加工します。肉の部分を取り除かれたみやざき地頭鶏は、小窓から内臓加工ルームに移動し、こちらでレバーや砂肝、ハツ、鶏皮、そして首の部分のせせりに分けられます。可食部位が取り除かれたみやざき地頭鶏は、鶏ガラとしてスープを取るためにに使われます。ちなみに、内臓加工ルームで内臓に異常が見つかった鶏については、鶏肉の部分も破棄されるそうです。外と中のダブルチェックで品質を守っているわけです。

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各部位が取られた鶏は扉で仕切られた内臓加工ルームに移されてさらに処理されます

 それぞれの部位に分けられて加工されたみやざき地頭鶏は、じとっこ炭火焼用、じとっこたたき用などに分けられて真空パックされます。

地頭鶏ランド日南
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捌いた鶏肉を部位ごとに分けて真空パックする工程。スタッフの皆さんの連携プレーでどんどんパック詰めされていきます。写真は、じとっこ炭火焼きを真空パックしているところ
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じとっこ炭火焼き用の真空パックには、もも肉、胸肉、手羽などが入っています
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こちらは手羽の真空パック

 真空パックされた鶏肉は、さらに別の部屋に移されてアルコール液による瞬間冷凍(アルコールブライン凍結)でカッチコチに冷凍されます。食品は冷凍時間が短いほど細胞が破壊されにくく旨味成分も逃げないことから、地頭鶏ランド日南ではアルコールブライン凍結を採用しているとのこと。ちなみに瞬間冷凍方法としては、プロセッサーのオーバークロックでおなじみの液体窒素もメジャーです。いろいろ調べて見ると、アルコールブライン凍結は初期導入コストがかかり、設置には広い場所が必要といったデメリットがあるものの、ランニングコストは窒素冷凍よりも有利だそうです。まあ、液体窒素は蒸発しちゃいますからね。そのほか、一度に大量の食品を冷凍する場合は冷凍庫で時間をかけて凍らせるエアブラスト凍結もありますが、前述したように旨味が逃げやすいというデメリットがあります。

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アルコールブライン凍結により旨味を逃さずに瞬間冷凍

 瞬間冷凍された鶏肉は、加工センターにある超低音冷凍庫で保管されて定期的にトラック便で出荷されていきます。

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加工センターにはもちろん超低温の冷凍ルームも併設されています
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たたきや炭火焼き用の別々の段ボールに梱包されています

加工センターで部位に分けられた鶏肉はどんな料理になる?

 ここで気になるのが吊し切りにして部位に分けられた鶏肉の行く末。加工センターでは、使われる料理別にカットされていきます。

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塚田農場メニュー
胸肉はじとっこたたき(650円)などに使われます
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小分けにされたもも肉などはじとっこ炭火焼(中、1220円)に使われます。じとっこ炭火焼には、もも肉以外に胸肉や手羽などの部位も入っています
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もも肉は「鶏とアボカドの山わさび醤油」(480円)などにも使われています
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ささみは「塚田流ミックス盛り」(780円)や「めんたい鶏春巻き」(600円)などに使われています。ミックス盛りにはほかにも、鶏胸肉や馬刺しなどが入っています
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こちらは手羽元。「手羽唐」(300円)などに使われています
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手羽先は「つかチキ」(300円)などに使われています
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レバーは「じとっこれば炭火焼き」(480円)や「ればテキ」(680円)などに使われています
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塚田農場メニュー
鶏ガラは「炊餃子」(1人前850円、2人前からオーダー可能)などのスープに
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鶏の首の部分はせせりと呼ばれる部位です。昨年の期間限定メニューで「じとっこせせりのたれ焼き」などがありました
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こにく(せせり)はよく運動する部位のため歯ごたえもあるため、一部はミンチ状にして「じとっこソーセージ 焼チーズフォンデュ」(760円)のソーセージの材料として使われます
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内臓加工ルームでは鶏皮も処理されます。こちらは「鶏皮ポン酢」(480円)などに使われます
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コチラは砂肝です。みやざき地頭鶏は鶏舎の地面を結構突っつくため、小石などが混ざっていることも多くしっかりと洗浄して洗い出します。「砂肝唐揚げ」(580円)などに使われます

 加工センターでは、食肉の加工だけでなく、塚田農場全業態でおなじみの壺味噌も製造されています。創業当初は、大きな寸胴鍋に味噌と薬味などを入れて巨大なしゃもじ状の器具で混ぜていたそうです。魔女が壺で不老不死の薬を調合しているイメージですかね。しかし現在では、市販されているドリルドライバーなどの工具をカスタムチューンした専用器具で混ぜていました。

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写真ではわかりづらいですが、工具をカスタムチューンした攪拌機で味噌を混ぜています
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レシピどおりに具材を順場に入れてさらに攪拌。ショウガやニンニク、大葉などが入っています
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完成した壺味噌は別室で寝かされたあとに、パック詰めされて出荷されます

 さて、今回の宮崎取材では、雛センター、養鶏場、処理センター、加工センターを回ったわけですが、雛センターと加工センターには見慣れない石のオブジェが必ず設置されていました。この石のオブジェはなにかというと、もちろん地鶏の慰霊碑。雛センターでは親鶏、加工センターではみやざき地頭鶏の命を奪うことから設置されているとのこと。朝礼などでは必ず手を合わせるそうです。

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「鶏魂碑」と刻まれた慰霊碑。裏側には、地頭鶏ランド日南の社長である近藤克明氏と、西都加工センターの初代センター長の小牧寛法氏の名前が刻まれています

 卵を産ませるところから、孵化、養鶏、加工までをひととおり見学して感じたのは、「じとっこ炭火焼」や「じとっこたたき」などは残してはいけないということ。塚田農場では、じとっこ炭火焼が少し残っているとおろしポン酢などを持ってきてくれることがありますが、これは残さずに食べてほしいという想いからだそうです。じとっこ炭火焼の鉄板でじとっこライスを作ってくれるのも、脂まできちんと食べてほしいからとのこと。残さず食べることの重要性を改めて考えさせられました。

塚田農場メニュー
塚田農場メニュー

 ということでみなさん、鶏肉を食べましょう。

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    最終更新: 10月14日(金)17時00分

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