信頼もコスパも大事! Kingstonのビジネス向けSSDを試す

アスキー 2016年10月22日(土)11時00分配信

 高いパフォーマンスを発揮し、価格も安いTLC NANDフラッシュメモリー採用のSSD。TLCの弱点である書き込み性能や耐久性といった面も、さまざまな技術の採用でライトユースでは、不満や不安を感じることなく使えるようになっていると言って良いだろう。

 とは言え、日々仕事で使用するPCやノートPCのメインストレージとして使う場合は、不安要素は限りなく減らしたいところだ。

 そんなビジネスユースで目を引かれたのが、MLC NANDフラッシュメモリーを採用したKingstonの「SSDNow KC400」だ。今回はその性能をチェックしていこう。

信頼もコスパも大事! Kingstonのビジネス向けSSDを試す
ビジネス用途に最適とされているKingston製SSDの「SSDNow KC400」。MLC NANDフラッシュメモリーやクアッドコアコントローラーを採用し、データ保護機能なども備える

 「SSDNow KC400」(以下:KC400)シリーズは、昨年末に登場したSATA3(6Gbps)に対応する2.5インチSSDで、容量のラインアップは128GB、256GB、512GB、1TBの計4モデルを用意。

 SSDコントローラーは、NANDフラッシュへの8チャンネル同時アクセスに対応しているクアッドコアコントローラーのPhison「PS3110-S10」だ。TLC採用の安価なSSDの増加とともに、Phison「PS3110-S10」は知名度が上がった感があるが、コントローラー自体はMLC NANDフラッシュメモリーに対応している。

 「KC400」シリーズは、そんなPhison「PS3110-S10」とMLC NANDを採用するほか、エンドツーエンドデータバス保護やSmartECC、読み取りエラーに対するSmartRefreshといったデータを保護する機能に対応。

 さらに予期しない電源シャットダウンからデータを復旧可能にする電源損失管理機構をファームウェアに備え、重要なデータを保存するビジネス用途のストレージに最適としている。

 SSDの信頼性や耐久性の指標となる総書き込み可能容量(TBW)は、売れ筋容量の256GBが300TB、512GBが800TBと、Kingstonのコスパ優秀なTLC採用SSDの「SSDNow UV400」シリーズと比べて、2倍以上のTBWを実現。保証期間も5年間と長くなっている。

 パフォーマンスは容量で異なるが、最大シーケンシャルリード550MB/sec、同ライト540MB/sec、最大ランダム4Kリード8万8000IOPS、同4Kライト8万9000IOPSの高速アクセスが可能だ。

 なお「KC400」シリーズは、ほかのKingston製SSDと同じく、2.5インチUSB外付けケースや7mmから9.5mmに変換するスペンサーなどが付属したインストールキットモデルも用意されている。

 価格はSSD本体のみよりも若干高くなるが、ノートPCなどへ導入する際は、インストールキットバンドルモデルが狙い目だ。

メタル筐体採用の「KC400」を分解チェック

 スペックも価格もなかなか魅力的な「KC400」。まずは恒例の分解作業を実施。コントローラーやNANDフラッシュメモリーなどをチェックしていこう。

 分解、パフォーマンスチェックには、実売価格が1万1500円前後となっている容量256GBモデルの「SKC400S37/256G」を使用している。なお、分解時の定番だが、分解するとメーカー保証やショップの初期不良交換は受けられなくなる。

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SSD本体のみで付属品がない「KC400」シリーズの容量256GBモデル「SKC400S37/256G」
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「KC400」シリーズはメタル筐体を採用。表面にはKingston製品でおなじみのモアイ像風ロゴが描かれたシールが貼られている
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裏面にネジが見当たらなかったので、てっきりはめ込みタイプと思ったら、ネジは表面のシール下に隠れていた。なお、ネジはいじり止めタイプの六角星型(トルクス)が使われていた

コントローラーからの熱は
メタル筐体全体で放熱

 4ヵ所のいじり止めタイプの六角星型(トルクス)ネジを外して分解すると、Phison製コントローラーの「PS3110-S10」とDRAMキャッシュ、Kingston刻印が入ったNANDフラッシュが見てとれ、コントローラー部には熱伝導シートが貼られており、メタル筐体全体で熱が放熱される形になっている。

 ビジネス向けをうたうだけに、NANDフラッシュメモリーに熱対策が施されていないのは残念だが、この点はパフォーマンス計測時にチェックすることにしよう。

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蓋を外した「SKC400S37/256G」。コントローラー部には熱伝導シートが取り付けられており、メタル筐体全体で放熱する仕組みになっている
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基板表面にはコントローラーとDRAMキャッシュ、8枚のNANDフラッシュメモリー配置
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基板裏面には8枚のNANDフラッシュメモリーを搭載
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Phisonのクアッドコアコントローラー。刻印は「PS3110-S10-X」だった
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「SKC400S37/256G」のDRAMキャッシュは容量256MBで、メモリーチップはNANYA製DDR3L-1600の「NT5CC128M16IP-DI」が採用されていた

 KingstonはNANDやメモリーチップ自体の生産は行なっていないが、NANDチップ上の刻印は自社型番で、「FD16B08UCT1-DC」になっていた。

 データシートがないため詳細は不明だが、15nm MLC NANDフラッシュメモリーなのは、Kingstonに問い合わせて確認しているので安心してほしい。

MLC&「PS3110-S10」を採用した「KC400」の実力をチェック

 ここからは「KC400」のパフォーマンスをチェックしていこう。実行したベンチマークソフトは「AS SSD Benchmark 1.9.5986.35387」、「ATTO Disk Benchmark 3.05」、「CrystalDiskMark 5.1.2」、「HD Tune Pro 5.60」の4種類(実行順)。

 計測は別に用意したSSDからOSを起動し、「SKC400S37/256G」にはデータがなにも書き込まれていない状態で実施している。なお、テストに使ったPC構成は以下の通りだ。

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「SKC400S37/256G」のCrystalDiskInfo

圧縮率に関係なく安定したリード・ライト性能を発揮

 まずは「AS SSD Benchmark」で、「SKC400S37/256G」の基本性能と圧縮率の影響をチェックしていこう。

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AS SSD Benchmarkの結果。シーケンシャル、ランダムともに悪くない結果になっている
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ファイル容量の大きなISOファイルのコピーなど、実使用に近いパフォーマンスを計測する「Copy-benchmark」の結果
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「Compression-Benchmark」の結果

 シーケンシャルはリード・ライトともに500MB/secを超え、ランダム「4K-64Thrd」もリード388MB/sec(9万9435IOPS)、ライト330MB/sec(8万4568IOPS)の良好なアクセス性能を発揮している。総合スコアはメインストリーム向けSSDに多い1100スコア台を超える、1240スコアを出している。

 「Copy-benchmark」の結果も良好で、「Program」が300MB/sec、「Game」が374MB/secだ。

 また、圧縮率の影響を確認できる「Compression-Benchmark」でも、リード・ライトともに、ほぼ500MB/sec台を維持する非常に安定したグラフになっており、「KC400」は圧縮率の影響は受けないことがわかる。

公称値オーバーのシーケンシャルアクセス性能を発揮

 続いては「ATTO Disk Benchmark」で、最大シーケンシャルリード・ライト実行。リード・ライトともに公称値を超えており、リード約564MB/sec、ライト約545MB/secを記録している。

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ATTO Disk Benchmarkの結果

データサイズの違いによる性能ダウンもなし

 引き続き、「CrystalDiskMark 5.1.2」を使ってパフォーマンスをチェックしていこう。データサイズ50MiBから32GiBまで、9つのプリセットで計測。データサイズの違いによるパフォーマンスへの影響を見ていこう。

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50MiB
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100MiB
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500MiB
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1GiB
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2GiB
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4GiB
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8GiB
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16GiB
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32GiB

 50MiBから32GiBまで安定したアクセス性能を発揮。シーケンシャルリードが560MB/sec台、同ライトが540MB/sec台の公称値通りになっており、キャッシュあふれによるリード・ライト速度の低下もない。

 ランダムは「AS SSD Benchmark」と同じく、「4K」リードが35MB/sec前後と今ひとつの数値だが、ライトは最大137MB/sec、「4K QD32T1」は最大リード・ライト370MB/secで安定。用途を限らずに不安なく使えるパフォーマンスをとなっている。

「HD Tune Pro 5.60」でもド安定の結果に

 ベンチマークの最後は「HD Tune Pro 5.60」を実行して、「KC400」の傾向とパフォーマンスを確認。計測は「FileBenchmark」、「Benchmark Read」、「Benchmark Write」、「Random Access Read」、「Random Access Write」を行なっている。

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FileBenchmark
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Benchmark Read
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Benchmark Write
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Random Access Read
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Random Access Write

 「HD Tune Pro 5.60」での計測結果も、ここまでのベンチマークと同じ傾向で、非常に安定した結果を出している。

 「FileBenchmark」のシーケンシャルアクセスは、公称値こそ下回っているが最大リード534MB/sec、最大ライト513MB/secを記録し、グラフもほぼ安定。

 また、「Benchmark Read」、「Benchmark Write」も、横一線とはいかないが良好で急激なパフォーマンスダウンなく、最低でもリードは421MB/sec、ライトは408MB/secとなっている。

 「KC400」は、圧縮率やデータサイズに関係なく、安定したパフォーマンスを発揮できると見て問題ないだろう。

高負荷でも温度の不安はナシ

 NVMe SSDと違って温度に不安のないSATA SSDだが、念のためOS起動後10分間なにも行なわなかったアイドル時と、「CrystalDiskMark 5.1.2」のデータサイズ16GiBを3回連続した高負荷時を確認してみた。

 なお、「KC400」はメタル筐体に熱を伝える熱伝導シートがコントローラー部にしか備わっていない。NANDフラッシュメモリーの温度も気になるところなので、チップに接触型温度計を取り付けてNANDの温度も計測している。

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SSD温度(単位:℃) ←better

 S.M.A.R.T.で読み取った温度は、アイドル時で28度、高負荷時でも最高41度に。バラック状態だが、まったく不安なく使える温度と言える。

 NANDチップも同様で高負荷時でも37.7度になっている。NANDチップは、基板むき出しの状態で計測しているため、筐体に収まっている状態では温度は上昇すると思われるが、まず問題ないだろう。

データ保護機能と安定したアクセス性能の
「SSDNow KC400」はイチオシ

 「SSDNow KC400」シリーズは、用途を選ばない高速なアクセス性能が実測で判明したうえ、MLC採用SSDのなかでも手ごろと言える価格帯で、なかなか魅力的。

 さらに、ビジネス向けをうたうデータ保護機能に、TLC採用SSDを大きく上回る総書き込み可能容量(TBW)があることから、企業への導入に足る信頼性を確保しているといえる。耐久性や安定性を重視する人にオススメSSDと言えるだろう。

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ビジネス用途はもちろん、耐久性や安定性を重視する人にオススメできる「SSDNow KC400」シリーズ

 ただ、問題もある。それが秋葉原でも在庫を持っているショップが見当たらないため、即購入、導入とはいかない点だ。Kingstonウェブサイトの「SSDNow KC400」紹介ページから取り扱っている(取り寄せできる)ショップを確認できるので、購入時はチェックしよう。

アスキー
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    最終更新: 2016年10月22日(土)11時00分

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