PCの終了は誤解、モバイル浸透する中シェア伸ばすデル

アスキー 2016年11月01日(火)12時00分配信

 米Dell Technologiesが、2016年10月18日~20日(現地時間)までの3日間、テキサス州オースティンのオースティンコンベンションセンターで「Dell EMC WORLD 2016」を開催した。

 2016年9月7日にEMCとの統合が完了。それからわずか6週間後の開催となったばかりでなく、それにあわせてこれまでの「Dell World」のイベント名称を「Dell EMC World」へと急きょ変更。イベントの中心は、デルとEMCによって実現されるエンタープライズソリューションとなった。

 実際、発表された製品は、コンバージドプラットフォームにPower Edgeを採用したVxRail 4.0 with PowerEdgeおよびVxRack 4.0 with PowerEdgeや、オールフラッシュのDell EMC Isilon All FlashおよびEMC VMAX ALL Flash 250Fといったエンタープライズソリューション製品群。

 EMCジャパンの大塚俊彦社長は「両社の統合が発表されて以降、デルとEMCが持つそれぞれのテクノロジーが融合し、競争力が高く、付加価値を持った製品が提供されることに一番の期待が集まっていた。Dell EMC Worldではその期待に沿う形の製品を、第1弾として発表できた。統合を象徴するような製品であり、今後もこうした製品の発表が続くことになる」と語る。

 まさに、Dell EMC Worldという名称に変わったことを象徴する内容だったといえるだろう。

デルのPCは日本でシェアを伸ばしている

 だが、その一方で、新製品はひとつも発表されなかったクライアントソリューションについて、マイケル・デル会長兼CEOが積極的に発言していたのが印象的だった。

PCの終了は誤解、モバイル浸透する中シェア伸ばすデル

 会期2日目に開催されたデル会長兼CEOによる基調講演では「PCビジネスはDell Technologiesにとって、重要な事業の1つ。経営戦略の中核を占める」と発言。「デルのシェアは15四半期連続でシェアを拡大しており、最新四半期では、他社がPC市場におけるシェアを縮小させるなか、デルだけが唯一市場シェアを伸ばした」と語る。

 実は、日本でもデルのシェアは急速に高まっている。

 第2四半期の国内PC市場におけるデルのシェアは、3.3ポイント上昇。とくにコンシューマPCでは5.6ポイント増という大幅な成長を遂げている。「今年度(2016年)上期は、世界180ヵ国の中で、日本の成長率と達成率はナンバーワンになった」(デルの平手智行社長)という。

 そして、デル会長兼CEOは、今後もPC事業に力を注ぐ姿勢を示す。

 「過去5年でPCの性能や容量、速度は10倍になっている。15年後には10×10×10となり、1000倍も進化した技術が使われるようになる」としながら、「15年後の2031年には、データセンターやクラウドに接続されるデバイスは、2000億台に達するとも予測されている。IoTの広がりによって、エッジ部分ではさまざまなイノベーションが起きている。クライアントソリューションはさまざまな領域で活用されることになり、このビジネスの重要はますます高まる」と語る。

 PC市場は衰退するとの指摘がある。その一方で、スマホやタブレットは成長するというのが、多くの業界関係者に共通した指摘だ。

 だが、デル会長兼CEOは、「PCは衰退し、スマートフォンにとって代わられてしまう意見に、私は、いまも賛同していない」とする。

スマホがPCに取って代わることはない

 「たとえば企業のなかに一歩足を踏み入れると、『スマートフォンは手元にあり、PCは使われていない』という状況ではなく、『スマートフォンは手元にあり、PCも手元にある』という環境にある。多くの人がPCは終わるという見方をしていたことが、この誤解が、私たちに絶好のビジネスチャンスを与えてくれた。実際に起きていることと、実際に人々が考えていることとの間に相違が生まれ、そこにビジネスチャンスがある。多くの人が考えているのは、『多くの仕事はスマートフォンでこと足りるだろう』ということ。しかし、実際の顧客の多くは『スマートフォンは好きだが、PCを捨てることはできない』と考えている。PCでなくてはできない仕事がある。つまり、PCかスマホか、という話ではなく、どちらも必要であるということ」と話す。

 そして、デル会長兼CEOは、こんな比喩を述べる。

 「移動手段には、歩行、自転車、車、飛行機、ボート、カヤック<3904>、そしてグライダーなどがある。コンピューティングもこれと同じ。PCだけでなく、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末など、様々なものがある。そして自転車を持っているから、クルマを所有してはいけないというわけではない。飛行機を持っていたとしても、歩くことはやめない。あなたが靴を手に入れたときに、『私は二度とボートには乗りません。なぜなら、靴があるからです』などということはありえない。移動の手段ということを考えれば当然のこと。コンピューティングも、『手段』としてとらえれば同じことです。スマホを所持しているから、PCやウェアラブル端末を所持しないというということではない。複数を持ち合わせていることが大切である。だからこそ、PCの成長にはまだまだ可能性がある」

 だが、その一方で、デル会長兼CEOは、スマホ市場への参入には、まったく興味を示さない。

スマホによって生まれるデータに需要がある

 デル会長兼CEOは、「スマートフォン市場への参入はまったく考えていない。その理由は、世の中が、スマートフォンの会社をもう1社欲しいとは考えていないからだ。答えはそれほど簡単だ」と続ける。

 しかし、この領域において、別の角度からこの分野のビジネスに取り組む姿勢をみせる。

 「スマートフォンに保存する情報は日々増加しており、それらの情報が仕事でも利用されるようになっている。またスマートフォンは購入したときにはなにも情報が入っていないが、使い始めた途端に、あらゆる情報やアプリがデータセンターから提供される。言い換えれば、スマートフォンが1台売れるごとにサーバーの需要が生まれる。我々はそこでモバイル事業をやっている」とした。

 収益性の高いビジネスにフォーカスしているのが、デルのモバイルビジネスというわけだ。

 実は、PCビジネスも収益性の高いビジネスにシフトしているという。

 「デルは台数成長で最も成長を遂げている企業だが、現時点では台数ではトップシェアではない。だが、売上高ではトップである。利益率の高い製品を売っていることの証だ。デルはベンツのSクラスや、BMWの7シリーズといった高級モデルを売っているのと同じで、競合他社は別のものを売っている。だからこそ、デルは利益率が高い。これまで以上に利益性の高い事業にしたいと考えている」とする。

 デル会長兼CEOは、今後15年間でPCの性能は、1000倍に進化すると予測する。だからこそ、より高い付加価値を提供でき、そこに大きなビジネスチャンスがあると予測している。

 PCビジネスが、Dell Technologiesにとって、中核となる事業だと断言している理由はそこにある。

PCの終了は誤解、モバイル浸透する中シェア伸ばすデル
会場には平手智行社長(左)とEMCジャパンの大塚俊彦社長(右)の姿もあった
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    最終更新: 2016年11月01日(火)12時00分

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