狭い机上で本格ハイレゾオーディオ! 最新デスクトップコンポを試す

アスキー 11月15日(火)12時00分配信
PCオーディオ特集

 直径30cmのアナログレコードの時代から、直径12cmのCDを経て、今やストリーミングやダウンロードによる音楽配信と、音楽ソフトの形態は時代とともに変わってきた。

 黎明期はMP3などの圧縮音源を使っていた“PCオーディオ”というスタイルも、現在では非圧縮やロスレス圧縮音源を使ったハイレゾ再生となっている。

 e-onkyo musicが国内で初めてハイレゾ音源配信サービスを開始したのが2005年だから、ハイレゾで音楽を楽しむ時代となってからすでに10年以上が経過していることになる。

 音楽を聴くというスタイルはここ最近で急激に変化しているのだ。

 本特集は、そんなPCやスマホをメインソースとして音楽を楽しんでいる人たちに向けて最新かつ高音質で音楽を楽しむための製品やソフト、使いこなしのノウハウを紹介する。

 第1回は、現代ならではのスタイルにぴったりとマッチする最新鋭のデスクトップオーディオ(ハイレゾコンポ)を取り上げる。

ウッドコーンスピーカーが付属するJVC「EX-NW1」

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EX-NW1の外観。よくできたミニュチュアかと思ってしまうくらいのコンパクトさが、この状態でも横幅は30cmに満たないのだ

 まずはJVCブランドで12月上旬に発売される最新モデル「EX-NW1」(実売予想価格 7万円前後)を紹介しよう。

 横幅110mmのコンパクトなアンプユニットと、カードサイズのコンパクトさを実現したウッドコーンスピーカーをセットにしたモデルだ。

 パッと見ると、ちょっと大ぶりなポタアンと、持ち運び可能なスピーカーとさえ思ってしまうような超コンパクトさ。しかし、その作りはかなり本格的なものになっている。

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EX-NW1のアンプユニットの正面。大きめのボリュームの右側に入力切り替えと再生/一時停止ボタン、ヘッドフォン入力がある。左側にはディスプレーとUSB入力がある
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EX-NW1のアンプユニットの背面。左側にはアナログオーディオ入力、光デジタル入力、USB入力が、右側にはバネ式のスピーカー端子とACアダプター入力がある。取付用のネジには銅メッキされたネジやワッシャを使っている
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EX-NW1のアンプユニットの天面。前側に前面ボタンがあるだけのシンプルなデザインだ。前方の中央付近にはNFCマークがある
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EX-NW1のアンプユニットの底面。シャーシとフロントパネル、側面/背面パネルをシャーシと固定するネジは銅メッキネジを採用
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EX-NW1に付属するリモコン。各種の入力切り替えのほか、USB/Bluetooth再生時の選曲操作ボタンなども備えている

 アンプユニットはかなりコンパクトなサイズだが、入力はアナログ(ステレオミニ)、光デジタル、USB(PC入力)となかなか充実している。

 もちろん、Bluetoothも内蔵しNFCによるワンタッチでのペアリングも可能だ。このアンプユニットは、後で紹介するケンウッドの「KA-NA7」とベースが共通となるが、それぞれの音質チューニングは異なっている。

 EX-NW1はスピーカーとセットのモデルなので、スピーカー込みの状態で音質をチューニングしている。

 パーツの吟味などのチューニングだけでなく、振動対策としてシャーシと基板を固定するネジや、シャーシとフロントパネルや側面パネル、背面パネルを固定するネジを銅メッキとして振動の制御を行なっている。

 コンパクトなサイズながらもしっかりとしたインシュレーターを備えるなど、しっかりと作られていることがわかる。

カードサイズの超コンパクトスピーカー

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EX-NW1のスピーカー。コンパクトなサイズながら、なかなか質感の高い仕上がりとなっている。ユニットの木目が最大の特徴だ
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スピーカーの背面。上部にはパッシブラジエターを備えている。スピーカー端子は金メッキ仕上げとなっている
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EX-NW1のスピーカースタンド部を下から見ると、音響調整のために、前側にウェイトが配置され、竹の響棒を追加して音の響きを調整していることがわかる

 そして、大きな特徴となる超コンパクトなスピーカーを詳しく見ていこう。このサイズは机の上のような狭いスペースで高音質で音楽を楽しむためのもの。

 サイズが小さいと低音の再生能力が劣るなど数々のデメリットがあるが、それらを克服し、最小のサイズで本格的な音を追求した。

 ウッドコーンユニットは、新規開発の3cm口径凹型ウッドドーム振動板を採用。ユニットの振幅を高めるために蝶ダンパーを採用し、高磁力のネオジウムを使った磁気回路を採用している。

 これに背面のパッシブラジエターを組み合わせて低音の再生能力は高めた。バスレフポートでは風切り音が出てしまうため、パッシブラジエターを選んだという。

 もうひとつユニークなのが、響きのコントロール。小口径ユニットの構成のため、エンクロージャーの響きも最大限に活かす設計となっており、美しい響きのためにユニット後方に人口熟成メイプルウッドブロックを装着。

 エンクロージャー内も人口熟成スプルースと人口熟成チェリーの響棒を最適な位置で装着している。これらによってエンクロージャーの響きを最適に制御し、豊かな再生音に仕上げているというわけだ。

 また、専用設計の傾斜したスタンドを加えており、こちらにも響きのコントロールのための真鍮とポロン材を組み合わせたウェイトの装着、竹の響棒で響きを調整するなど、入念な作りとなっている。

 胴の鳴りまでチューニングするという発想は、ヴァイオリンのような楽器の作り方に近いものだ。さらに、これらの音は音源を制作しているビクタースタジオの録音エンジニアと共同でチューニングを行なっている。

超小型らしからぬ鳴りっぷりの良さ
熱気のある生々しい音はなかなか魅力的

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10インチのノートPCと組み合わせた状態。スピーカーのコンパクトさがよくわかる。これならば、机の上に置いても邪魔になることはないだろう

 こちらもUSBメモリーでのハイレゾ音源と、iPhoneでのBluetooth再生を試したが、その音の出方に驚かされる。スピーカーに手が届くくらいの5~60cmほどの距離で聴いたが、なかなかスケール感があり雄大な音なのだ。

 フルレンジ構成だから定位に優れ、音場感豊かなことは当然だが、単に広がるだけでなく音にしっかりとした厚みがあり、聴き応えも十分。

 「シン・ゴジラ音楽集」は、緊迫感たっぷりのオーケストラの演奏がかなりのテンションの高さで出てくるし、絶対的な低音の伸びはないのだが、それでいて低音感も物足りなさを感じない。

 女性ボーカルを聴いても、情感たっぷりの歌声で音が前に出るようなぐいぐいと迫ってくるような鳴り方をすることもあり、かなり魅力的なものに感じる。一言で言うと「熱い音」だ。ライブ録音のような熱気やエネルギーを感じるものがある。

 Bluetoothの再生もなかなか優秀。音質的な劣化感はほとんど感じず、熱気あふれる音で不満なく楽しめる。最新モデルということもあり、Bluetooth用のチップも最新のものとなっていると思うが、それを含めてかなり出来がいい。これならば、普段の音楽再生をBlutoothで行なってもまったく不満なしと言っていいくらいだ。

 音の実力は優秀なのだが、いくつかの弱点もある。まずは良好なステレオ感が得られる範囲が極めて狭いこと。スピーカーと視聴位置を正三角形の頂点に置き、スピーカーも60度ほどの内振りにした標準的な置き方だと、頭1つ動かしたくらいでも定位感が変化してしまう。

 これについてはスピーカーを正面に向けておく(内振りにしない)ことである程度スイートスポットが広がるが、音像の厚みもやや薄まるので好みに合わせて微調整したい。

 これと類似するが、リビングの広い場所で遠い距離で聴くというのもあまり適していないと思う。せっかくの音像の厚みや実体感、自分に迫ってくるようなエネルギー感が失われ、持ち味を活かせないと感じた。机の上限定、お一人様専用のシステムと考えた方がいい。

 もうひとつは、箱を鳴らすタイプのスピーカーにありがちだが、音色の傾向に一定のキャラクターが表れること。熱気たっぷりでエネルギー感のある鳴り方は多くの人にとって好まれるものだと思うが、繊細さやきめの細かい表現を求めると物足りなさも感じる。

 ハマればどんな高価なスピーカーよりも魅力的と感じるが、聴く人によって好き嫌いが別れるタイプだと思う。

 決して、アクが強いとかクセがあるというほどにやんちゃな音ではないが、最近では珍しい個性を主張するタイプのスピーカーだ。これは実際に聴いてみて好みに合うかどうかを判断するといい。

誰にでも、どんな使い方にも合う
柔軟さが持ち味のケンウッド「KA-NA7」&「LS-NA7」

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KA-NA7とLS-NA7を組み合わせた状態。スピーカーも決して大きいわけではないが、JVCと比べるとかなり大きく感じる

 続いては、ケンウッドブランドで発売される「KA-NA7」(実売予想価格 4万1000円前後)と「LS-NA7」(実売予想価格 2万円前後)。どちらも11月下旬の発売となる。

 プリメインアンプのKA-NA7は、JVCのEX-NW1のアンプユニットとベースは共通で、基本的なデザインや機能も同じ。

 アンプとスピーカーが別売となっていることからわかるように、KA-NA7はほかのスピーカーとの組み合わせも想定した音質チューニングとなっている。

 同社の上位クラスとなるスピーカーを組み合わせるなど、自由にスピーカーを選びたい人のためのモデルと言える。

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KA-NA7の前面。ボディカラーやボリュームの形状が異なっているが、各種のボタン配置や装備は同じだ
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KA-NA7の背面。オーディオ入力、光デジタル入力、USB入力を備えるのは共通。スピーカー端子もバネ式だ
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KA-NA7の天面。ケンウッドのロゴが大きく描かれたデザイン。電源ボタンやNFCロゴなどが前面側に用意されている
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KA-NA7の底面。シャーシとパネルの組み付けなど、作りはまったく同様だが、使われているネジなどの多少の違いもある
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付属のリモコンはカードタイプ。基本的なボタン配置はJVCと共通。カラーが濃いめのグレーとなっているのが違いだ

 コンパクトなサイズとは言え、回路設計などはしっかりと作られており、デジタルアンプを採用した回路は入力からフルデジタル処理となっており、音質劣化を最小に抑えている。

 オーディオ用の電解コンデンサーの採用など、高音質パーツも吟味して採用しており、音に磨きをかけている。また、ヘッドフォンアンプ部も、スピーカー用アンプとは独立しており、きちんと音質チューニングされている。

組み合わせるのに最適な
ハイレゾ対応のコンパクトスピーカー

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LS-NA7の前面。2Wayユニットの配置などを含めて見慣れたスピーカーのデザインとなっている。トゥイーターの周囲は微妙にラウンドした形状となっていて音の広がりを調整している
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LS-NA7の背面。バスレフポートは背面に装着されている。スピーカー端子はバナナプラグにも対応するネジ止め式を採用する

 スピーカーのLS-NA7は、オーソドックスな2Wayスピーカーだ。サイズは横幅102mm、高さ181mmとコンパクトながら、19mm口径ソフトドームのツィーターは40kHzの再生周波数帯域を実現。

 ツィーター部には吸音材を配置し、高音域の不要なピークを抑えてスムーズな高域特性を実現している。

 80mm口径のウーファーはピュアパルプ材にコーティングを施した振動板を採用。パルプの繊維の長さを緻密に制御することで音質をチューニングし、メリハリのある音に仕上げた。

 見た目はごく普通のスピーカーなのでインパクトには欠けるが、木目調の落ち着いたデザインなのでインテリアとも合わせやすいだろう。

聴き心地がよく、親しみやすいサウンド
どんなジャンルとも相性がいい

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B5サイズのノートPCと組み合わせた様子。サイズ感はこちらもぴったりと合う。スピーカーの黒いカラーがちょっと無骨な印象に感じるかも

 こちらは試聴距離を1m弱として、USBメモリーでのハイレゾ再生とBluetooth再生を試した。

 「シン・ゴジラ音楽集」を聴くと、ちょっと落ち着いたトーンで表現。ゴジラの怖さを感じさせるような力強さよりも、人々の哀しむ様子や困難に立ち向かっていく様子を丁寧に描く方が得意な再現だ。

 個々の音はくっきりとした粒立ちも良好だが、高域は滑らかだし、低音域もそれなりに力のある再現をするがブリブリと鳴るような力強さは控えめだ。すごく品が良く、丁寧な音と言える。

 アコースティック楽器主体の演奏による女性ボーカルを聴くと、歌声を丁寧に描き、声の質感や高く伸びていく様子が美しい。

 ちょっとおっとりとした感じはあるが、きめ細やかさもしっかりと出ており、味わい深い再現になる。上品で大人しいだけかと思うが、声の張りや力を込めてうたった部分、また低音楽器の力強い鳴りなどはきちんと再現する力があるので、非力な感じにはならない。リズムの切れが重要なテンションの高いジャズの演奏でもやや大人しい感じはあるがリズムが弛むようなことはない。

 ジャンルを問わず、気持ち良く楽しめる音で、JVCとは対極で誰が聴いても好まれやすいまとまりの良い音になっている。

 Bluetoothも、音質劣化を感じさせずまとまりの良い音を楽しめる。クセっぽさを感じないニュートラルな音は、もう少し派手さがあっても良いと感じるが、飽きることなく長く付き合える親しみやすさがある。メインのプリメインアップがJVCとベースが共通と考えると、スピーカーの違いで随分と鳴り方が違っている。

 聴くジャンルを問わないだけでなく、セッティングもあまり神経質ではないので使いやすいことも特徴。

 デスクトップの近接視聴だけでなく、2mを超えるような距離で聴いても持ち味が損なわれにくいので、広い場所で使うのもいいだろう。

 KA-NA7には光デジタル入力やアナログ入力があるので、薄型テレビと組み合わせてテレビ用スピーカーとして使ってもマッチすると思う。

見た目も機能もシンプルなコンポの草分け的存在
ソニー<6758>「CAS-1」

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ソニー<6758>「CAS-1」。スリムなアンプユニットとステレオスピーカーのセットだ。カラーは写真のホワイトのほか、ブラック(スピーカーはダークブラウンの木目)もある

 ソニー<6758>の「CAS-1」(実売価格 8万5000円前後)は、サイズも縦置きで高さ178mmというコンパクトさで、セットとなるスピーカーと高さが揃っている。

 普段ノートPCなどを置いている机の上で使えるサイズ感と、デスクトップ再生というスピーカーとの距離が比較的近い聴取位置での再生を前提としたシステムで、メーカーの推奨値としては、スピーカーとの距離が75cm~2mほどとされている。

ワイヤレススピーカー特集
CAS-1のアンプユニットの前面。上部から電源ボタン、入力セレクター、ボリューム、USB端子、ヘッドフォン出力を備える
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CAS-1のアンプユニットの背面。上部にはBluetoothのペアリングボタン、ヘッドフォン用のゲイン切り替えがあり、中央にスピーカー接続端子を備える。下部には、オートスタンバイスイッチと、AVアダプター端子、USB端子がある

 入力は前面のUSB-A、背面のUSB-B、Bluetoothのみ。ライン入力なども備えないのは潔いシンプルさだが、PCやスマホと組み合わせて使うならば必要十分だろう。肝心なのは、スピーカーやアンプは本格的にこだわった作りを採用していること。

 外観はネジ類などがほとんど目立たないすっきりとした作りだが、内部には独立したシャーシを持っており、内部基板を強固に装着し、振動に強い構造としている。

 搭載されるアンプ基板も、スピーカー用アンプとヘッドフォン用アンプとの基板を独立させ、相互の影響を受けないような作りとなっている。

 スピーカー用はソニー<6758>独自のフルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載。ヘッドフォン用のアンプは、同社のポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-2」と同等の高音質デバイスを搭載し、スピーカー再生だけでなく、ヘッドフォン再生でも高音質が楽しめるようになっている。

角度調整も可能な付属スピーカー

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CAS-1のスピーカー。オーソドックスな2Way構成で、バスレフポートは底面部にある。背面のスピーカー端子はバナナプラグの使用も可能なタイプ。太めのケーブルにも対応可能だ
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CAS-1のスピーカーの底面。ポートの長さをかせぐため底面に配置。開口部をフレア形状としてポートの風切り音が目立ちにくいように配慮されている

 スピーカーは、14mmソフトドームツィーターと、62mmカーボンファイバーコーンウーファーを採用。

 小口径のユニットながらも最適に設計されたバスレフポートと組み合わせることで低音の再生能力を高めている。

 ユニークなのが、底面に真ちゅう製のスパイクを備え、接地用のスチール製スピーカーベースを備えていること。5mm厚のずっしりとした重みのあるベースを使うことで、机の上など置き場所の関わらず安定した接地が可能になる。

 また、スパイクは仰角を変更するための交換用スパイク(大)も用意されていて、前側のスパイクを交換することで上斜め8度の角度に変更することも可能だ。

 このように、しっかりとしたセッティングを行なうためのアクセサリーが一通り揃っており、音質にこだわりのある人にはうれしい。

 さらには、付属のスピーカーケーブルも折りグセがつかないようにゆる巻きで同梱されている。作りだけでなく、付属品や梱包まで心配りが行き届いたものになっており、購入者の満足度も高いと思われる。

粒立ちと見通しのいい音楽再生
小型ながらも完成度の高いサウンド

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ノートPCと組み合わせた状態。B5サイズのノートとはサイズ感もぴったりで、非常にまとまりがいい。机の上でも邪魔になりにくいだろう

 音楽再生は、USBメモリーに保存したハイレゾ音源を直接再生するほか、iPhoneを使ってBluetooth再生も行なった。

 試聴距離はデスクトップ再生をイメージし、およそ1m弱の距離で聴いている。まずはハイレゾ音源の再生だが、ここ最近よく聴いている「シン・ゴジラ音楽集」では、ステレオ録音の楽曲ではオーケストラの配置がよくわかる見通しのよい再現だ。

 音の粒立ちがよく個々の音がくっきりと歯切れ良く描かれるのが大きな美点。モノラル音源でも音の厚みや重量感がしっかりと出て、低音感もなかなかしっかりとしていることがわかる。

 女性ボーカルを聴くと、声がきれいに中央に定位し、周囲の楽器を含めた音場感も豊かに再現される。声の質感や抑揚もきめ細かく描かれるし、エコー感や楽器の響きなどの微小音も丁寧に再現される。音の繊細さと力強い迫力がきちんと両立されており、サイズの小ささを感じさせないバランスの良いサウンドに仕上がっている。

 試しにスピーカーの間隔を広げて2mほどの距離で聴いてみたが、十分に立派な音が楽しめる。音量的なパワー感も不足はないし、スケール感もより雄大になる。だから、デスクトップ再生だけでなく、リビングのような広い部屋で使っても満足度が高いと思う。

 唯一惜しいのは、Bluetoothの再生音。CAS-1の情報量の豊かな再生音の表われと言ってもいいのだが、USBメモリー再生と比べると音が曇ったような感じになり、圧縮伝送による音質の劣化を感じてしまった。

 Bluetooth用のチップはこのところ急速に音質がよくなっているので、発売からそろそろ1年が経過するこのモデルだとBluetooth用の回路もやや古く、音質劣化等の影響に気付きやすいのかもしれない。

デザインだけでなく、音の個性も多彩
好みに合うモデルをじっくり選びたい

 今回紹介したコンポは、いずれも決して高価なモデルではないが、しっかりと作り込まれており、現代の生活様式にフィットするコンパクトさを狙っただけの製品ではないとよくわかった。

 ノートPC+ヘッドフォンや内蔵スピーカーでの再生からのステップアップにふさわしい、優れた音と満足度の高い質感も備えている。

 個人的な感想としては、総合的な音質の実力ではソニー<6758>が頭1つ抜けている印象だが、価格がやや高いのでこれは当然だろう。

 唯一気になったBluetoothの音質がやや物足りない点があるので、ワイヤレス再生主体の人は事前に確認してみるといい。

 JVCは音質の好みも合うし、可愛らしい小さなサイズが気に入ったので、一番欲しいと感じた魅力的なモデル。

 ケンウッドはオーソドックスな外見が他と比べて主張に欠けるのが惜しいが、誰にでもおすすめできる優等生だ。このように個性もさまざまなので、自分の好みに合うモデルをじっくり選べば、より豊かな音楽生活が楽しめるだろう。

 さて、次回はPCを使ったオーディオ再生を詳しく解説する。PCでの音楽再生の基本から、ハイレゾ再生のために必要なソフトの紹介、音質向上のためのテクニックなども含めて解説していく。

 インターネットで配信されるハイレゾ音源は、現在でもっとも音質的に優れたものだし、PCで再生するのがもっともシンプルだ。そんなハイレゾ音源の良さをじっくりと楽しみたいという人ならば必見だ。

アスキー
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    最終更新: 11月15日(火)12時00分

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