総務省では自席持たない課長も――「働き方改革」は実現するか

アスキー 2016年11月22日(火)09時00分配信

 政府が掲げる「世界最先端IT国家創造宣言」のなかでは、テレワークの推進やワークスタイル変革などが提唱されている。

 そして世界最先端IT国家創造宣言では、2020年にはテレワーク導入企業を2012年度比で3倍に増加。週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を、全労働者数の10%以上にするといった具体的な指標を示している。

 安倍晋三首相は2016年8月3日の会見で、一億総活躍時代の実現に向けた挑戦として改めて「働き方改革」を掲げてみせたが、「働き方改革」はテレワークに続く新たなキーワードとなりそうだ。

 ただ働き方改革というと、テレワークをはじめとしたICT活用にフォーカスが集まりがちだ。しかし、オフィスレイアウトの大胆な改変や活用するオフィス家具の見直し、勤務体系の見直しや就業規則の変更など、幅広い改革が必要となる。

 これまでのように勤務時間をベースにした評価基準から、時間や場所を有効に活用し、生産性を高めるための柔軟な働き方に進化させるという姿勢も求められる。

 それが働き方改革に向けた基本的な姿勢だといえよう。

働き方の変化が垣間見られる新製品とコンセプト

 内田洋行<8057>は11月9日~11日の3日間、東京・新川<6274>の同社本社において「UCHIDA FAIR 2017 in 東京」を開催したが、ここで発表したオフィス家具の新製品や、新たなオフィスづくりのコンセプトの進化は、まさに働き方が新たなフェーズに入ったことを示すものになった。

 たとえば2009年の発売以来、7年ぶりにフルモデルチェンジしたテーブルシステム「LEMNA(レムナ)」は、まゆ型やウィング型など8種類の天板形状と、脚部とテーブル部に新たなカラーを採用してみせた。また上下昇降が可能なテーブルである「OPERNA(オペルナ)」では、オフィスワーカー自らが高さを調整して、立ち作業や着座作業など、自由な作業環境とコミュニケーション環境を実現できる製品として投入したものだ。

 さらにオフィス向けソファ「TRIIVIO(トリヴィオ)」では、グループワークやミーティングだけでなく、仕事の休憩の合間にソロワークをするといった用途にも適したデザインが特徴。複数の人が同じソファに座りながらも、隣の人と目線が合いにくいシートデザインを採用している。

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テーブルシステム「LEMNA(レムナ)」やオフィス向けソファ「TRIIVIO(トリヴィオ)」など

 これらのオフィス家具を活用することで、カフェワーク、ライブラリワーク、ソロワーク、プロジェクトワークに適した使い方が可能であるほか、大規模会議室などの構成にも適したオフィス家具へと進化させたという。

 またICTツールの新たな活用提案では、PCにボタンを挿して押すだけで、PCからのワイヤレス投影が可能なワイヤレス投影システム「ClickShare CSE200」や、各自のPCから無線でプレゼンテーション資料を投影できる「wivia4 & wivia Button」を、国内向けに内田洋行<8057>が販売することを発表。

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無線でプレゼンテーション資料を投影できる「wivia4 &#38

 ソフトウェアのインストールが不要なため、簡単な操作でゲストが使用できたり、投影コードキーを利用することで、セキュリティー機能も向上させたりといったことが可能だ。

 こうした新製品には、同社の働き方研究の成果が反映されている。

書類と会議時間が減り、顧客との対面時間が増えた

 内田洋行<8057>では1989年に知的生産性研究所を開設。「働き方」と「働く場」の実証研究を推進。さらに2012年1月からは、営業部門における「働き方変革」を研究するために、社内実証をする「チェンジ<3962>・ワーキング」プロジェクトを開始。ワークショップや分科会活動を通じて、課題を見つけるとともに、変革に関する目標の共有や、達成に向けた変革促進施策の抽出などをしてきた。

 過去4年間のチェンジ<3962>・ワーキングブロジェクトの実績として、個人所有の書類が6.1fm(ファイルメーター)から1.6fmに減少。会議時間は95分から75分に21%削減。会議室稼働率は38%から57%に増加し、顧客との対面時間は24%から43%へと1.8倍増加したという。

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4年間の実績

 今回の新製品にもこれらの取り組みが反映されている。

 内田洋行<8057>の大久保昇社長は「日本では1995年をピークに、生産年齢人口の減少がみられている。そうしたなかで、生産性や効率性は経営者にとって最大の関心。なかでも、その生産性、効率性を実現するために、経営者に加えて現場においても関心が高いのが、コミュニケーションの活性化や組織間連携の強化」だとし、今回の新製品もそうした動きを反映したものだと位置づける。

 そして昨今の社内実践のなかからはオフィスワーカーが1日の3分の1の時間をコミュニケーションに費やしており、社内のソロワーク時間の9割は自席以外でできる点などが浮き彫りになったという。

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テレワークの可能性も十分にある結果だ

 「今回発表した新製品は社員が主体的に、働く場を選べる環境を実現するための製品。可変性、柔軟性を高めたオフィス家具であり、アクティブ・コモンズを進化させることができる」と、大久保社長は語る。

 アクティブ・コモンズは一般的なフリーアドレスではなく、部門を越えたコミュニケーションの強化と、他者とのスピーディーな情報共有、自己作業の集中といった仕事の内容に合わせた場所を選択する働き方を実現しるもので、その事例のひとつとして、総務省行政管理局情報企画室の導入例をあげ「総務省行政管理局情報企画室では、課長も自席を持たないという環境を実現。あの霞が関がここまで変わるのかというような状況が生まれている」(大久保社長)とする。

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事例として紹介された総務省行政管理局情報企画室

 今回のアクティブ・コモンズの新たな進化では「自在な働き方をサポートする空間づくりへの挑戦」を掲げ、集中したソロワーク、専門性の高いプロジェクト型、思い立ってすぐにできるミーティング、他者と情報を共有するカフェワーク、最新情報に触れるライブラリワーク、休憩の合間のラウンジワークといった提案をしている。

 また従来は効率性、統一性という観点から、オフィスファニチャーのカラーには、ホワイトが採用されることが多かったが、昨今ではクリエイティブな作業を促進するという観点から、木目調やブラック調が求められており、カラフルな配色も採用した。

 内田洋行<8057>では本社に隣接する新川第2ビルのワークスペースをリニューアル。固定席を廃止し、オフィスワーカー自身が仕事内容に応じて最適な場所を選んで業務ができる環境を作ってみせた。

 このなかでは、スタンディング・コミュニケーションや、ソロワークとグループワークの可変性を取り入れ、リラックス空間の提供や、健康や活力の訴求、能動的な仕事の仕方を提案しており、「これがアクティブ・コモンズの第2クールになる」とする。

 新たなオフィス環境はコミュニケーションを促進し、社内外とのコラボレーションも加速。それが企業の活性化につながることになる。

 ちなみに、「コラボレーション」は内田洋行<8057>の登録商標だ。

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リニューアルしたアクティブ・コモンズの社内実践の様子
アスキー
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    最終更新: 2016年11月22日(火)09時00分

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