2万円強になったモバイルノート「ポータブック」を衝動買い!

アスキー 2016年11月23日(水)12時00分配信
T教授
発表11ヵ月後に衝動買いしたが、発表キャンペーンの付属ケースが付いてきた

 忘れもしない2015年の12月8日、その日に先立ちネット上ではティーザー広告がバンバン流れ、鳴り物入りで、キングジム<7962>から「ポータブック」(XMC10)という名前の“Windows 10 Home搭載 モバイルPC”が登場した。

 アイデアメモや短い原稿のラフを近所の博物館やホテルのカフェでテキスト入力するためだけに同社の「ポメラDM100」と東芝製Wi-Fi SDカードである「FlashAir」を愛用していた筆者は、期待半分、不安半分で発表商品のスペックと値段を見て愕然とした。

 ワンストップで著名なクラウドサービスと連携した、WAN内蔵型のクラウド型ポメラ風の商品を想像して待ち望んでいた筆者は、予想を大きく裏切られた。

 長い実績のある、ステーショナリー系の面白い会社が、今さらながらレガシーなパソコン市場に参入しようとしたことに正直驚いてしまった。

 発表当時の価格は税込みで約9万円。スペックは、一年後の今さら話題にする内容でもないので、ここでは割愛したい。

 市場がどう思ったかは別にして、ポメラユーザーでもあった筆者は、Windows 10 HomeというOS名を聞いた時点で、自分の買いたいモノではないと悟ったが、まさか9万円とは想定外だった。

 斬新な“折りたためるキーボード”(スライドアークキーボード)とは言え、20年前の1995年に登場し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品となった「ThinkPad 701c」(愛称バタフライ)のトラックライトキーボードとはインパクトが違い過ぎた。

 発表当初は、大人の理由か、本当の気持ちなのか、どちらか分からないが、9万円という価格を前提としても、ポータブック賛辞の声もあったが、実際にそれらの評価をされた方々がご自分で買われて今も使われているのかどうかは定かではない。

 筆者は出荷がはじまった2015年末頃には、「将来、必ず1万9800円になるから、その時には絶対に買う!」とSNSでコメントして少なからずひんしゅくを買ってしまった。

 しかし、その後も価格は一向に下がる気配はなく、少しは業界にいた感覚から、これはきっといずれ大ディスカウント攻勢がはじまるなと予想していた。

 そんな矢先、製品発表からきっちり11ヵ月目の11月8日朝、突然、筆者もひいきにしているヨドバシ・ドット・コム上で、税込み2万3540円(10%ポイント付き)で投げ売りがはじまった、という知人がSNS上に書き込んだコメントに自然と目が行ってしまった。

 筆者の安直な予想価格の1万9800円にはわずかに届かなかったが、これはきっと早々に売り切れると判断した筆者は、散歩中の上野公園でワンコのリードをベンチの肘掛けにくくり付け、その場でポチった次第だ。しかし、筆者の予想に反して、まだまだあちこちのショップに在庫はありそうだ。

ポータブックとYOGA BOOK、ポメラDM100を比較

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使い勝手のいい専用ケース。ケース単体でも現在5860円……かなり得してしまった

 翌日に届いたパッケージには、ラッキーなことに発表記念のキッティングモデルにしか入っていないはずの“専用ケース”まで付属していた。

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昨今はいずれのパソコンメーカーもコレゾ! という機種には採用している凝った外箱
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コンパクトなACアダプターと取説、クイックスタートガイドなどが入ってる。オフィス365の1年間の利用券だけでも相当のお得感!

 文具メーカーらしい真っ黒なしゃれたパッケージには、ポータブック本体と、ACアダプター、USBケーブル、ユーザーガイド、クイックスタートガイド、Office 365の1年間のライセンス、保証書が入っている。

 これは極めてお得な買い物だ。もはやスペックをどうこう言う価格でもないので、今回は、ここ最近入手したレノボの「YOGA BOOK」と、すでに何年か使っているポメラDM100とを少しだけ比較して、激安になったポータブックを眺めてみたい。

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上から見ると最も正方形に近くレガシーイメージの強いポータブック(左)、ポメラDM100(中央)、YOGA BOOK(右)
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横縦ほぼ4:3の筐体にWXGA(1280×768)の液晶を採用している
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薄さ34mmのポータブック(上)と9.6mmのYOGA BOOK(下)。薄いのが正しいわけでもなく、分厚いのが正しいわけでもない。その特徴を何にどう活かすのかが重要だ

 いずれもカラーリングは黒に近いオフグレイで地味なイメージの製品だ。分厚く正方形に近いポータブックと、一番ワイドで奥行きがなく、ユニークなデザインのポメラDM100、そして上からではまったくわからないが、9.6mmという激薄のYOGA BOOKは、三者三様で個性がまったく異なるモバイルガジェットだ。

 ポメラDM100を除くと、ポータブックとYOGA BOOKはWindows 10搭載パソコンなので、厳密には三者を用途とは関係なく比較してもそれほど意味があるとも思えないが、クラウドコンピューティング時代のテキスト入力機という基本的な機能においてはそれほどおかしなことではないだろう。

 バタフライキーボードが世に出た今から20年前には、TFT高輝度の妥当な値段の液晶は最大でも10.4インチサイズしかなかった。

 フルキーボードによる自然で快適な入力環境の確保と、イージーな可搬性を前提とした小型で狭額縁の液晶を組み合わせるウルトラCは、折り畳めるバタフライキーボードの登場しかなかった時代だ。

 今ではさまざまなサイズの液晶パネルも入手は簡単で、ポータブックが採用した珍しい幅広額縁の8インチ液晶が飛び抜けて入手が容易で安価だったとは考えにくい。

 そんな時代になぜあえて折りたためるキーボードを採用したかは不思議だった。また、普通のA4サイズモバイルPCも余裕の新幹線テーブルだが、より小さなA5サイズのこだわりがそれほど重要だったのだろうか?

 真実ではないかもしれないが、筆者の稚拙な想像では、最初からスライドアークキーボードが存在したのではと勘ぐってしまう。

特徴的なキーボードの展開はスムーズだが
液晶の開閉角度とポインティングデバイスに不満も

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液晶のフタ部分を引き上げた時の状態
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両手で左右に分割されたキーボードの手前の左CtrlキーとEndキーを持って広げる
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キーボードを最終的に止まる位置まで広げると左右のキーボードは連結する
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ちょっとした移動ならキーボードはそのままで液晶フタ部分だけを閉めても大丈夫そうだった

 さて、そのキーボードだが、実際に左右に分離したスライドアークキーボードを開いて連結するには、収納位置ではキーボードには軽くロックがかかっているので、両手で左右それぞれのキーボードをもって手前に引いて広げる感覚だ。

 キーボードの拡張、合体に両手の補助が必要なことは多少のマイナスだが、液晶フタの開閉操作との連携がないがゆえに、キーボードの分離・合体はメカが簡単な分、比較的スムーズだ。

 やって意味があるかは別にして、室内のちょっとした移動やオフィス間の移動ならキーボードを閉じることなく、液晶のフタを閉めてしまうことも可能だろう。

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液晶画面の仰角が最大で125度近辺だった
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実測してみたところ、ポメラDM100のほうが最大仰角は大きかった

 実際にキー入力をやっていて、気になったのは、昨今は180度以上開く液晶画面が普通の時代に、ポータブックは最大125度しか仰角が開かないことだった。

 ポメラDM100でも150度近くまでは開くので、液晶面と眼の位置関係やキーボードの入力位置に細かくこだわる人なら、慣れるまではやや面倒かもしれない。

 実際のキー入力には、左右に分割収納できるスライドアークキーボードの弊害はまったくないと言えるが、ごく普通の昨今のWindows 10 モバイルPCと比較して傑出したキータッチ感覚とも言えないだろう。個人的感覚で恐縮だが筆者の好みはポメラDM100の方だった。

 大雑把な筆者はそれほど時間がかからずにポータブックの操作環境には慣れてしまったが、いまだに慣れないのは光学式のトラックポイント(フィンガーマウス)だった。

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光学式フィンガーマウスには慣れがいる人もいるだろう。筆者は、左右のマウスボタンの幅サイズも狭くて馴染めなかった
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現在は外付けマウスを併用して快適になった

 簡単に言えば、フィンガーマウスは、光学式マウスを逆さまにひっくり返して、指先がマウスパッドの役を演じるポインティングデバイスだ。

 光学式フィンガーマウスは、筆者が一時期使っていたThinkPadタブレットにも採用されていたが、やはり慣れることなく、早々に他人に譲ってしまった。

 人生でノートパソコンを使っている期間のほとんどがトラックポイントだったので、これは個人の特殊事情だろう。そんな筆者は早々にフィンガーマウスは諦めて、ごく普通のBluetoothマウスを併用している。

USBメモリーを差したままでも液晶を閉じられるが
SDメモリーカードははみ出す

 謎の多いポータブックがなぜA5サイズなのかはこの際忘れて、A5サイズゆえ、中に入る“あんこ”のサイズが同じなら、ポータブック本体は当然ながらかなりの厚みとなる。

T教授
高さのあるRGBポートがあるだけでレガシー感満載になるが、実際は便利だ

 昨今のトレンドとは異なるが、厚みがある事は決して悪いことではなく、近頃のノートパソコンには滅多にないレガシーRGBポートが余裕でついている。

 多くの企業でHDMIが普及の段階にあるとは言え、まだまだRGBタイプのプロジェクターしか用意のない会社や官公庁も多いので便利だろう。

 考えればポート部分にフタが閉まるモバイルPCも、昨今ではそれほど多くは見かけない時代になってきている。フタを開けて最初に目に入ってくるのは、左側にある周囲に贅沢なスペースを使った1つのUSBポートだ。

T教授
イヤフォン端子の横で余裕のスペースを使っているUSBポートが独特。超コンパクトなUSBメモリーをセカンドディスクとして挿入したままフタを締めることができる

 USBポートは2.0だが、このUSBポートの面白いのは、なぜかかなり奥まったところにあり、最近の爪の先くらいのコンパクトなUSBメモリーなら、常時挿入したままフタを閉めることが可能な点だ。

 筆者は32GBしかない本体のストレージメモリーの不足分を補うつもりで64GBのUSBメモリーを常時挿入しているが、安心感としては極めて大きい。

 背面のポート部分をじっくりと眺めてみると、USBポート付近の余裕のスペースにレガシーで有益なRJ-45イーサネットポートがひとつあれば、HDMIポートを除いてまったくレガシーなノートパソコンの背面を見ているようなイメージだ。

 余裕のUSB周りに対して、一方、余裕がまったくなさそうなのが側面裏側にあるSDメモリーカードスロットだ。デジカメなどからの画像の取り込み用に一時的に使用するということが前提なのだろう。

T教授
一方、SDメモリーカードはその本体の半分以上があふれてしまう仕様だ
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表側から見てもSDメモリーカードの飛び出しは顕著だ。USBメモリーのように常時挿入して持ち歩くことはほぼ不可能だ

 挿入時にもSDメモリーカード本体の3分の2程があふれてしまう。USBメモリーもSDメモリーカードも、同じ外部ストレージとして、同様のコンセプトで望むのが美しい気がする。

T教授
筆者がiPhone用の予備バッテリーとして持ち歩いているUSBモバイルバッテリーを使っても充電可能だった

 ポータブックも昨今のモバイルPC同様、USBモバイルバッテリーで充電可能な点はスマホのオーナーでもあるユーザーにとってはありがたいことだ。

 しかし、内蔵バッテリーだけでの駆動時間が公称5時間という数値は、ポータブックの使命を前提とすれば、少し物足りない駆動時間に感じてしまう。

2万円ちょいという価格であれば間違いなく買い!

T教授
8インチWXGAの画面は文字サイズを拡大表示することでかなり使いやすくなる。筆者は、ポータブック(左)とYOGA BOOK(右)をアウトドアでの原稿書きツールとして使い始めている。いずれのモデルもポインティングデバイスとしては外付けマウスを使用している

 付属の専用ケースに入れて830gのポータブックを持ってみると、軽量なスマホやタブレットの軽さにマヒしてしまった昨今、超軽いとは感じないが、どことなく懐かしくうれしい厚みと質量感だ。

 現在の販売価格である2万3540円が、まだ下がるかどうかは筆者の知るところではないが、タブレットユーザーが初めて買うパソコンや、モバイルPCユーザーのセカンドコンパクトモバイルPCとして狙うなら、ポータブックは絶対に間違いなく買いだろう。

T教授
筆者の個人的感覚だが、折り畳んで90度角度を変えたキーボードを挟み込んだこの角度はなかなか個性的で気に入っている

 残念ながら、昨今はキングジム<7962>のFacebookページにもまったく登場してこないポータブック。すでに企業的には忘れたい過去の商品になっている感もあるが、今後もパソコン分野でチャレンジするのなら、今こそユーザーの意見を取り込み、意見を未来の商品企画に活かすチャンスだと思うが、いかがだろうか?

アスキー
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    最終更新: 2016年11月23日(水)12時00分

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