いちばんやさしい“ハンダづけ”と“プログラミング”講座/文系女子大生と一緒にKidsVentureと同じことをやってみよう!

アスキー 11月28日(月)12時00分配信

PCや設定不要・予算2,000円~はじめられる!

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IchigoJamとプログラミング個人指導の風景

 子供のプログラミング教室のようすを実際に見てこようという企画の第3回目。「IchigoJam」は、キットなら1,890円で買えるいちばんシンプルな子供用のコンピューター。それなら、「うちでも同じことをやってみたい!」と思われた方もいらっしゃるのではないですかね?

 そこで今回は、このIchigoJamを使った小学生向けプログラミング教室「KidsVenture」とまったく同じことに、文系女子大生の私、天音ほのかがチャレンジしてみます。内容は、第1回で紹介したIchigoJamのハンダづけとゲームのプログラミング。たぶん、世界でいちばんやさしい電子工作とプログラミングの講座になると思います!

 KidsVentureは、さくらインターネット<3778>株式会社・ビットスター株式会社・株式会社ナチュラルスタイル・株式会社jig.jpの4社が合同で運営する非営利団体。また、この記事に関連して、さくらインターネット<3778>代表取締役の田中邦裕さんへのインタビューに私もついて行きました! 実際のIT企業があつまってKidsVentureをやっている背景やプログラミングへの熱い思いをぜひ読んでください(田中邦裕氏インタビュー)。

 それでは、私の人生初めてのハンダごてとプログラミング体験、どんな展開になったのか? 実は、熱くなった部品に触ってしまうなど(!)ちょっとした失敗はありましたけど、自分で組み立てたコンピューターで、自分の書いたプログラムが動くんですよ! 未経験な人はぜひ一度やってみることをお勧めします。

生まれてはじめてハンダとご対面

 10月はじめ、東京西新宿にあるさくらインターネット株式会社の会議室で、今回、私がIchigoJamを体験するレクチャーをしていただきました。講師を務めて下さったのは、KidsVenture夏休みスペシャルでも講師をされていたさくらインターネットの尾村亮多さんと、大竹健太さんです。さっそく、IchigoJamの組み立てのようすから紹介しましょう。

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大竹健太さん
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尾村亮多さん

 IchigoJamを組み立てるには、ドライバーやネジを使う必要はなく、”ハンダづけ”だけでやっていきます。ハンダとは、もともと“鉛”と“スズ”の合金で熱して溶かすことで電子部品を接続するためのもの。はじめにハンダ付けに必要な道具の確認をします。

 まず、今回の主役ともいえるハンダ。先ほど説明した通り、ハンダには鉛が含まれていますが、KidsVentureで使用しているのは”鉛フリーハンダ“という、その名の通り鉛が含まれていないハンダなのでご安心を。ちなみに、この場で説明されてはじめてハンダがこのような針金状のものだということを知りました……(笑)。

 ハンダを熱して溶かす道具がハンダゴテ。鉛筆持ちが正しい持ち方だそうです。ちなみに、電子部品は、”足”と呼ばれる部分を基板の穴に通してハンダで固定します。そのときに不要な部分をパチンと切り落とすのがニッパーです。なんと、ニッパーとハンダとハンダゴテ、たったこれだけで電子工作ってできちゃうんです!

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ハンダ
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ハンダゴテ
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ニッパー

 いまではネット通販でも買うことができますが、秋葉原の電子部品店(秋月電子、千石電商、aitendoなどが有名)などにでかけて自分で探してみるのもよいでしょう。

 道具の確認が終わったところで、尾村さんから「まずこのハンダゴテが420度になっているかを確認してください。コテの先の部分は焼肉の鉄板と同じくらいの温度になるので触らないように気をつけてくださいね」という注意とともに、IchigoJamの組み立て説明書を渡されました。

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IchigoJam Tハーフキット説明図

 パーツのひとつひとつに写真と説明が書いてありますね。今の今まで、ハンダが何であるかということすら知らなかった私にとってはとてもありがたい内容。ちなみに、こちらのプリントは、実際のKidsVentureのセミナーで使われているものと同じだそうです。では、早速、パーツ横に記載されている数字の順にハンダ付けを進めていきます。

いざ! 子供パソコン「IchigoJam」の組み立て開始

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抵抗

尾村「僕たちはよくこの”抵抗”を”イモムシ”と呼んでいるのですが、このイモムシ、全部同じというわけではなく、4本それぞれ違う色がついてるんです。まずはじめに黄色と紫と茶色と金色のラインが入ったイモムシを探してみてください」

 視力が悪く色の見分けがつかないという本筋に全く関係のない壁にぶつかりつつ、なんとかR1を見つけ出しました。

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ビデオを使うことでドアップでハンダづけを学ぶ

 ひととおり道具と部品が揃ったところで、実際にハンダ付けをしている動画を見てやり方を確認していきます。もちろん文字やイラストの入ったテキストも配られましたが、映像なら大きな画面に映し出してみれるので、今回のような個別レクチャーでも有効だと思います。しかも、子供でも感覚的に理解できる。ということで、いよいよハンダ付け作業に入っていきます!

部品を基板にハンダづけする7つのステップ

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1.取り付ける穴の幅に合わせてイモムシの足を直角に曲げます(まっすぐだったイモムシの足を曲げて“コ”の字の形に)。

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2.足を曲げたイモムシを基板の穴に差し込みます。

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3.ハンダづけする際にイモムシが穴から落ちないように、穴の外側に向けて足を広げます。

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4.ハンダづけする箇所(イモムシの足が穴から出てきたところ)にコテをあて、基板とパーツの両方を1~5秒かけて熱する。

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5.そのままコテの先にハンダを押し当て、穴が埋まるまでハンダを溶かし、流す。

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6.流し込んだハンダが綺麗な三角の山になったところで先にハンダを離し、続いてコテを離す。

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7.ハンダ付けを終えたら、破片が飛ばないよう指でイモムシの足先をつまみながら余計な部分をニッパーで切り落とし、完成。

 人生初のハンダ付けでしたが、意外と簡単にできちゃいました!

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尾村「これで1個目完成ですね!あと残り70カ所ほどです」

天音「な、70カ所~~~!?!?」

大竹「そうなんです、70カ所…でも、このペースなら意外に早く終わりそうですよ。あとはとくに質問がなければどんどん進めていただくっていう感じでいきますね」

R2~R4のハンダづけも同じ要領で進めていきます。

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天音「ところで、部品が落ちないように曲げるって、どれくらい曲げればいいんですか…?」

尾村「う~ん、そうですね、よしなにというか。この質問も、大人が初めて電子工作をやる時に多く出ますね。子供から聞かれたことはないです」

天音「それにしても、こんなものを小学生が作っているなんて信じられないです」

尾村「小学生だけじゃなくて、中には幼稚園の年長さんもいますよ」

天音「え、年長さん!? 信じられない」

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microUSB端子

尾村「続いてmicroUSB端子はですね、刺して、パタンとします」

天音「刺して、パタン?」

 “Don't think. Feel!”といったところでしょうか? とにかくやってみましょう。

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刺して……。
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パタン。

 なるほど、これはやってもらうしかないですね。ものすごく的確なアドバイスでした! microUSB端子もあとはハンダづけをするだけ。取れやすい部分なのでハンダを多めにつけるのがミソ。R1~R4と同じく基本的な手順でハンダ付けできます。

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クリスタル
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スライドスイッチ

 次にスライドスイッチですが、このパーツは特に足を曲げたりする必要もなくそのまま差し込んでハンダづけするだけ。しかし、見ての通りこの飛び出したレバーのせいでひっくり返したときに基板に対して斜めになってしまうんです。その状態のままハンダづけしたところ、案の定スイッチが斜めについてしまいました。

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天音「あのぉ、すっごい斜めになっちゃたんですけど、大丈夫ですかねこれは」

大竹「いや、でもそれくらいだったら意外と大丈夫ですよ。もっと斜めになってる子もいますし」

尾村「裏面を温め直せば取れるので直せることには直せるんですけど、三箇所同時にあたためないと取れないんです。冷えると固まっちゃうので。かなり熱くなるので普段は講師がやってあげているんですが、自分でやった方が絵になりますね(笑)」

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 ということで、大人の事情でチャレンジすることに……。注意されていたにもかかわらず「なかなか取れないな?」なんて言いながらコテをあて続けていたところ、熱せられたスイッチで軽く火傷してしまいました。

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コンデンサ106
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コンデンサ15

こちらも基本的なハンダづけの手順で進めていきます。しかし、正しい方法を正確に理解しないままやっていることもあり、「ハンダづけのコツとかってありますか?」と尾村さんに聞いたところ、「僕も別に本とか読んでいるわけではないし感覚でできちゃうんだけど、強いて言うならばよく熱することかな」とおっしゃっていました。

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タクトスイッチ

 このタクトスイッチがなかなか硬く、入らない! 故障してるのでは? と言ってしまいましたが、単に力の問題だそうです。言いがかりつけてすいませんっ。

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 無事はめ込みに成功したときには、指にボタンの跡がくっきりとついていました。意外なところで苦戦を強いられました。

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USB端子

 USB端子は、基板にそのまま差し込んでハンダづけ。注意書きにもある通りかなり熱くなりやすいので、やる際には注意が必要です。

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他の部品のにくらべてなぜか穴が大きい

大竹「あ、ここはですね、結構、穴が大きいのでたくさんハンダを流さないといけないところですね。いや~それにしてもだいぶ慣れてきましたね!」

天音「あ、本当ですかありがとうございます!」

尾村「それでもやっぱり、子供に比べて慎重な感じですねぇ(笑)」

 電子工作もプログラミングも、苦手意識がつく前にやってしまうのがよさそうと、前回、KidsVentureを見学したときの感想を書かせてもらいました。今回、まさに私がそのパターンにはまっているのかもしれません。

尾村「大人はみんなそうで、失敗したらどうなるかというのが分かってしまうからですね。逆に、大人は1回慣れてもう大丈夫だとなるとサラサラと進められるようになります。《オレって、これもう仕事にできるんじゃないか?》って具合になります」

 なるほど、大人は、そういうことなんですね。

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赤色LED
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3端子レギュレーター

 LEDと3端子レギュレーターは、ハンダづけする向きに決まりがあり、間違えてつけると動かなくなってしまいます。実際の教室では講師の方のチェックが入るポイントだそうです。

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 LED1は足の長い方を内側、3端子レギュレーターは平らな方を内側にする必要があります。よくチェックしてからハンダ付けしましょう。

大竹「いまちょうどハンダ点数的には折り返し地点ですね」

 ちなみに、ここまでの所要時間はだいたい30分でした。

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14P ピンソケット

尾村「完成したときにここの上にいろいろな部品がのってくるので、ここはとくに斜めにならないように注意する必要があります。しかも、見ての通りこのパーツはハンダづけする箇所が多いですよね。先ほど実際にやってみて分かったと思うのですが、これを全部ハンダづけし直すとなるとかなり大変です。そこで、ここではいちど、1つだけ付けたら斜めになっていないかしっかりと確認してみてください」

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傾きを確認する私
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5P ピンソケット

 こちらもひとつ前の14Pソケットと同じく、1箇所つけたら確認、という流れで進めていきます。

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天音「このハンダゴテの先っちょについたダマダマはどうしましょう?」

尾村「それはですね、コテ台の下にあるスポンジでぬぐってください。そのためのスポンジなので」

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ビデオ端子

 最後にビデオ端子もハンダ付けして、全体で75カ所にもおよぶハンダ付け作業は、1時間と10分程度で完成!

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ハンダづけが終わったら動作確認してみよう!

 IchigoJamの組み立てが終わったら、さっそく動作確認。IchigoJamのビデオ端子とテレビのビデオ入力の間をケーブルで接続します。次に、USB接続のPS/2対応キーボード(または、PS/2キーボード+変換アダプタ)をUSB端子に接続。最後に、コンセントにつないだACアダプタからmicroUSBケーブルで電源を供給して、電源をON!

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 テレビ画面に「IchigoJam BASIC……」という文字が表示され、次に「OK<3808>」と出ました! 続いてはLEDのランプがつくかチェックです。

尾村「LED1と打ってください」

天音「L……EDの1と……」

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シーン。

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天音「あ、あれ? つかない……」

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尾村「じゃあ、どこが違うのか確認してみましょう。LEDのつかない原因の100%はLEDの向きが違うんですよ。って、あれ! 合ってますねぇ」

 試行錯誤のすえ、LED部分のハンダづけが甘かったことが判明。ハンダを足したところ無事ランプが点灯しましたっ。

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尾村「いや~これは初めてのケースでした(笑)。とにもかくにもこれでハード編は終了です。お疲れさまでした!」

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完成したIchigoJam

 “電子工作”などというと、いかにも難しそうな感じがしますが、正直なところ意外と簡単にできてしまいました。やってみないとわからないものですね! 前々回、小学生が、ハンダゴテをどんどん使っていたのには驚きましたが、本当に、先入観はいけないと思いました。

いざ、最終目標のプログラミングへ!

 LED点灯で動作確認ができたところで、早々、キーボードに触れながらプログラミングの世界に入っていきます。今回は、ちょっぴり大人向けのIchigoJam講座ということで、小学生向けのKidsVentureでは省略してしまう用語解説なども詳しくやっていただけるとのこと。

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大竹「では、コンピューターに命令をしてみましょう。試しに”KONNICHIWA”と打ってみてください。画面にはなんと出ていますか?」

天音「“シンタックスエラー”と出ています」

大竹「ですよね。これは”KONNICHIWA”だからダメというわけではなくて、”OHAYO”でも”KONNBANNWA”でもこうなります。つまり、コンピューターに命令をする時に日本語をローマ字で打っても通じないということです。では、どうすればいいとおもいますか?」

天音「コンピューターがわかる言語にする?」

大竹「そうなんです。IchigoJamにはBASICという言語で命令してあげる必要があるんですね。先ほど動作確認として打ったLED1で《ランプを点ける》、LED0で《ランプを消す》というのも命令のひとつです」

おねがい
KidsVenture「IchigoJamプログラミング教室」配布資料より

尾村「KidsVentureでは、IchigoJamの中には“ダンブン”という“中の人”がいますと説明しています。LED1と命令するとダンブンがLEDのスイッチを入れて、LED0と命令するとスイッチをオフにして電気が消えるといった感じです。ですが、今回は”大人向け”ということで、サクサク進めてしまいますね。次に登場するのは《:》です。これを使うと命令をつなげて書くことができます。では《LED1:LED0》と打ってみてください」

天音「光った……のかな?」

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大竹「そうなんです。実はこれ光ってて、命令をした瞬間にLEDがついて消えたんですね。というのも、 IchigoJamは1秒間におよそ5千万回の正確な計算ができるので、《LED1:LED0》つまり、”つけて、消せ”という命令だと目で追えないほどの速さで処理を終えてしまうんです」

天音「1秒間に5千万回? どのくらいの速さか想像もできないです」

大竹「ちなみに、いまどきのスマートフォンには1秒間に20億回計算できるような人が8人も入っていたりします。スーパーコンピューターなんかは、1秒間に20億回計算できるような人が何十万人も入っているそうです」

天音「インフレっぷりがドラゴンボールの世界ですね」

大竹「次に、これを人間が目で追えるくらいの速さで点滅するようにしようということになると、出てくるのが《WAIT》という命令。《WAIT60》と、打つとだいたい1秒経ってから《OK<3808>》と出てきます。お察しの通り数字が増えれば増えるほど、IchigoJamが待ってくれる時間も長くなるということです。ちなみに、調子に乗って《WAIT30000》とかって命令してみると、その間、ほかに何も命令が送れなくなっちゃいます(笑)。こういう時は、Escキーを押すと《BREAK》と画面に表示されて命令がキャンセルされます。ということで、《LED1:WAIT60:LED0》と命令してみましょう」

天音「わっ、ちゃんと光って1秒後に消えました!」

大竹「では、WAITを覚えたところで、LEDを点滅させ続けることで、”深夜の信号機”を作りたいと思います! 1回点けて消すことはできたと。では、2回点滅させるにはどうしたらいいですか? っていう風にいつもは前に座ってる子に聞いたりするんですけど、だいたいそう聞くと《何回も書く!》っていう答えが返ってくるんですね(笑)。それで”深夜の信号機”を作るとなると途方もない数を書かないといけなくなりますよね。では、どうすればいいと思いますか?」

天音「あ、えっ、分からないです」

大竹「では説明していきますね。まずは次のプログラムを打ってみましょう」

大竹「これが深夜の信号機のコードです。これはつまり……」

大竹「こういう意味の命令が並んでいるわけです。《GOTO 10》で《10に戻る》のところがポイントですね。これで何度も同じプログラムを書き続ける必要がなくなるんです。このように書いて、《RUN》と打ちこめばプログラムが実行されます。プログラミングのお勉強では、よく最初に書くプログラムとしてて《Hello, world!》とだけ表示するコードを書きます。でも、我々は、このLEDの点滅をやってもらうようにしてるんですよ。《Hello, world!》よりもちょっとだけ複雑で、かつ楽しいIchigoJam流の最初のプログラムです」

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BASICには、さまざまな命令がある

LISTとCLS、SAVEとFILES

大竹「ここからはいくつかの命令を紹介しますね。まずは、何かとよく使う《LIST》から。これは、例えば、20行くらいのプログラムを書いている時にどこまで打ったか確認したいなって時とか、この命令をつけ加えたいなって時に、この命令を使うと打ったプログラムが画面に表示されます。《CLS》は、ごちゃごちゃとした画面を一度消すことができて、それから《LIST》であらためてコードを確認するのが一般的です。ちなみに、コードの頭の数字が10ずつ間隔があいているのは、書きたいコードが後から増えた時に書き足せるように、慣習的にこうなっています。15などの数字を書けば10と20の間に命令を追加することができるんですね」

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大竹「しかし、一生懸命プログラムを書いても、このまま電源を落とすと今まで書いていたものは消えてしまいます。と、なると次に行うのは”保存”ですよね。それには、《SAVE0》《SAVE1》《SAVE2》《SAVE3》の4つのセーブ命令が用意されています。つまり、IchigoJamは、プログラムを最大で4つまで保存することができるんです。ということで、いま打ったプログラムを《SAVE0》で保存しておきましょう」

天音「ドラクエでいえば、”冒険の書”が4つといったところですかね」

尾村「そうですね! って、この例えは今の小学生に通用するのでしょうか(笑)」

大竹「で、このようにSAVE0~SAVE3まで保存した時に、何のコードを何番に登録したかって、わからなくなってきちゃいますよね。そんなときに便利なのが《FILES》というコマンドです。これを使うと各コードの1行目が表示されるので、いちいち全部のセーブデータを開かなくても、どの”冒険の書”にどのデータが入っているかがわかります。SAVE0には先ほど書いたLED1から始まるコードが表示されているはずです」

PRINTと変数

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大竹「突然ですが、《?1》と、うってRUNすると《1》と画面に表示されるんですが、《?1+6》とうった場合はどうなるでしょうか?」

天音「7ですかね?」

大竹「正解です。要するに、この《?》っていうのは、その後ろに書かれているものを表示してくださいという命令なんです。かつ、それが計算式だった場合は計算してくれると」

天音「なるほどぉ」

大竹「ちなみに《?》という命令は、《PRINT》という命令を省略したものなんです。たった5文字を省略してどうするんだと思われてしまいそうですが、実はIchigoJamで書けるコードの文字数は約1000文字と決まっているんですね。なので少しでも命令を短くして長いプログラムにも挑戦できるようにしようということでKidsVentureでは《?》を使うことがあります。あと、単純に小学生なので《PRINT》と打つのに結構な時間がかかるんです。つまりいろんな意味での短縮になっているわけです(笑)」

大竹「では、続いて画面右をみてください。《A=5》とうったら《OK<3808>》と表示されました。では、続いて《?A》と打ったらどう出るでしょう?」

天音「5ですかね?」

大竹「大人相手の座学って安心感がすごいですね(笑)。正解です。この《A》がいわゆる変数というやつです」

変数
KidsVenture「IchigoJamプログラミング教室」配布資料より

大竹「変数の概念を知っていれば話は早いんですが、”小学生向けのプログラミング教室”では通用しないですよね。なので、ここでまたダンブンの登場です。A~Zまでの箱があって、《A=5》という命令をしたら中の人がAの箱に5を入れて保存しているんだよ、といったようなことをイラストを使って説明しています」

RANDOM

大竹「では最後に《RND》という命令について説明します。まずは《PRINT RND(3)》と打ってから実行してみてください」

天音「数字の2が出ました」

大竹「なるほど。ではそのまま何度か実行してみてください」

天音「2、2、2、1! 1が出ました!」

大竹「そうなんです。この《RND》は”Random”の略で、さっき打った命令は、0・1・2の数字の中から数字をランダムに出してくださいという命令なんです。これは余談ですが、ゲームを起動するとよく《PRESS START BUTTON》とか出てくるじゃないですか。あそこの画面でボタンを押すまでの時間によってRNDで出てくる数字のパターンが決まる、なんていうゲームもあるみたいですよ。だから、例えばそれが格ゲーだとして、ファミコン2台のボタンを同時に押したら理論上は敵の動きは全く同じになるはずなんです(笑)」

天音「えー! そんなの初めて知りました!、すごい!」

大竹「このRNDを応用してジャンケンをすることもできます」

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 ここで、「IF」という命令が出てきました。しかし、KidsVentureでもそうだったのですが、すべての命令をその都度は深く説明していかないのですね。まずは、講師が説明したプログラムをそのまま真似て自分のコンピューターに打ち込んでいきます。前回も、少し触れましたがこういうことを“写経”と言ったりするようですが……。

プログラミングしてゲームを作ろう!

縄跳びさっちゃん

大竹「では、これでひととおりの説明は終えたのでいよいよゲームを作ってみましょう! まずはじめに、《縄跳びさっちゃん》にチャレンジしてみましょう」

 「縄跳びさっちゃん」は、その名の通りスペースキーを押して縄を跳ぶ、というシンプルなゲームです。

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 打ち間違いでスコアが出ないトラブルに見舞われながらもなんとか完成。ちゃんと、縄跳びさっちゃんをプレイして遊ぶことができました!

大竹「無事完成したということで“改造”してみましょうか!」

天音「か、“改造”!?」

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大竹「100行目にある《?-》という命令、見覚えありますよね。さっき座学の時間でやった画面に文字を表示する命令《PRINT》です。そして《-》は、さっちゃんが跳んでいる縄です。実は、《@》でも《☆》を跳ぶのでもいいんですけど、もうすこし凝ってみましょうか? 例えば、Altキーを押しながらDを押すと宇宙人の記号が出るんですけど、《-》の部分をこの宇宙人に置き換えると、はい。宇宙人で縄跳びをしているなんていうシュールなゲームになりました」

大竹「あとは、70行目に《V=-3》とありますよね。これはさっちゃんのジャンプ力を決めています。ここを例えば《-10》とかにしてみましょうか」

天音「わ! めっちゃジャンプ力上がって、さっちゃんが画面からいなくなっちゃった」

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大竹「次は、20行めの《V=V+1》となっているのを《V+3》にしてみましょうか。ここの数字は“重力加速度”を決めています」

天音「もうなんていうか、これだと重力強すぎて地面に張り付いちゃってますね。逆に数字を“0”にして無重力にしてみると、ジャンプしたらさっちゃんがそのまま帰ってこなくなっちゃいましたぁ。え? 面白いですねこれは。自分でゲームの設定を変えられるのって新鮮です」

大竹「そうなんです。そこが自作ゲームのいいところですね。まぁ自分が作ったゲームなんで、禁断のスコア改造とかもできちゃいますよ。1回とぶたびに25点入るようにとか。ゲームの世界では《チート》と呼ばれているものです(笑)。では最後に、《KidsVenture夏休みスペシャル》でも作った川下りゲームを作りましょう!」

 「川下りゲーム」は、画面上に散りばめられた障害物を左右のカーソルキーを使って避けながら進んでいく“縦スクロールゲーム”。

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大竹「実は、このゲーム。とある裏技があるんですけど、気づきましたか? いちばん端っこまで行くと障害物に当たらないんですよ(笑)。男の子たちはいちばん端まで行ってポイントを貯めてたりします。楽しいかな? とは思いますが(笑)。ということで、これを修正してみましょう。プログラムの35行目に《X=(X+32)%32》という命令を追加してみてください。これで、一番はじまで行くと反対側のはじに自動的に行くようになるんです。マリオブラザーズ的な(笑)。これは細い話にはなりますが、Xは自機(いまの場合は船)の座標なんですよ。これの設定をいじることでチートもできてしまう。あとですね、さっちゃんのように自機や障害物の表示を変えることもできます。こういう風に色々といじってみると、そのうちに出てくる変数や数字が何を表しているかっていうのがわかるようになってくるんです」

尾村「それと、今日作ったゲームの命令って実はさっきまで基礎的なレクチャーで教わったものがほとんどなんです。こんなに少ない命令でこれだけ楽しめるゲームが作れるというのは素晴らしいですよね。それと意外なのが、子供達の中に《跳ぶだけなんてつまんない》とか《もっと派手にしたい》とかいう子がいないんですよ。川下りとかでもずっと飽きずにやっている。いまの子供達がマイコンゲームに夢中になれるってすごいことですよね」

天音「まさに《遊びから学ぶ》といった感じですね」

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 おまけで見せていただいたのが、こちらのIchigoDotS。KidsVentureでは、前回お伝えしたようにIchigoJamをベースにpaprikaというロボットを作りましたが、この小さなデバイスとIchigoJamを繋いで1文字ずつメッセージを表示できるそうです。今日は、プログラミングだけでしたが、こんなこともできると楽しいですよね。

なぜ電子工作もプログラミングもできたのか?

 電子工作に約1時間、座学を含めプログラミングに約2時間と、たっぷり3時間もレクチャーしていただきました。尾村さん、大竹さんありがとうございました。電子工作もプログラミングもやる前から苦手意識がありましたが、やってみると意外に簡単(?)、楽しいものでした。たった3時間でここまで意識が変わるとは……。

 とくに、ゲーム好きの私としてはプログラミングしてゲームを作るのが楽しく、アルファベットを打ち込むだけでゲームができるようになるというのは! なんだか魔法みたいだなと思いました。しかし、そんなノンキな印象を受けてしまったのも、いま冷静に考えてみれば、実は、すべて講師の方々の教え方にあるのですよね。

 「じゃんけんプログラム」で「IF」という新しい命令が出てきても説明せずに、とりあえず入力して実行していきましたよね。川下りゲームのコードも、実は、《INKEY》、《SCR》、《TICK》、《END》、《LC》と、実は、5つも新しい命令が登場しているんですよ。ぜんぜん尾村さんのいう「基礎的なレクチャーで教わったものがほとんど」じゃないんですよ!! 本当に! でも、これが徹底して「ついてくれば大丈夫だから」と生徒を安心させるんです。

 実は、KidsVentureの小学生たちも同じように、まずは講師の示すコードをそのまま打ち込んで入力していました。ということで、いわゆる「まる写し(“写経”)で学びになるのか?」と心配される人もいると思います。しかし、自転車の練習でいえば、荷台をおさえてもらいながらでも、自分で強く漕いだほうが安定することやハンドルを切るとどうなるかが分かってきます。プログラミングでも、「改造」して中身のことが少しずつ分かってきます。このやり方だと、興味を持った子は、自分のペースでまさに遊ぶように理解していくことができるのだと思いました。

 つまり、「とにかくやってみる」ことが大切。BASICというプログラミング言語も、小学生でも1人も落ちこぼれなく本当に軽々やれていました。むしろ、ギアボックスの模型工作や小学生なら得意なはずのボール紙工作のほうが難航していました(ギアボックスはかなり細かい作業ですが)。なんとなくですが、ちゃんとできあがっているものを"壊す"(改造する)ことで理解するほうが、子供には向いているのかもしれません。

 ちなみに、川下りゲームで出てきた新しい命令は次のような意味があるらしいんですが、これを全部解説されても頭がバクハツしてしまいます。

 3回にわたりお届けしてきた小学生のプログラミング教室のレポート、いかがでしたでしょうか? プログラミングについて、よくわからないけど難しそうくらいにしか思っていなかった私が、まさかプログラミングをすることになるとは夢にも思いませんでした(笑)。

橋本さん

 さて、そんなKidsVentureの教室が、12月10・11日に札幌にて行われます。ここまで紹介してきたように、これをやるのに必要なものは意外に少ないので、「札幌には行けないよ」という方は、この記事を見ながら是非とも自宅でチャレンジしてみてほしいなと思います。ここまで、私のレポートを読んでくださってありがとうございました! この記事で、プログラミングの魅力に少しでも気づいてくれたらうれしいです。

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    最終更新: 11月28日(月)12時00分

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