「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!

アスキー 2016年11月29日(火)11時00分配信
「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!

 エプソン<6724>のスマートグラス「MOVERIO」(モベリオ)。その最新モデルとなる「BT-300」は、独自開発のシリコンOLED(Si-OLED)ディスプレイを採用するなど、これまでよりも大胆な小型軽量化を実現している。そこには、シリコンOLED採用だけにとどまらず、「削れるところはすべて削った」という多彩な工夫が盛り込まれているのだ。そのBT-300のこだわりについて、ビジュアルプロダクツ事業部HMD事業推進部の主任である髙木将行氏と鎌倉和也氏に話を聞いた。

「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
エプソン<6724>のスマートグラス「MOVERIO」(モベリオ)シリーズの最新モデル「BT-300」
「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
セイコーエプソン<6724> ビジュアルプロダクツ事業部 HMD事業推進部 髙木将行氏(写真左)、セイコーエプソン<6724> ビジュアルプロダクツ事業部 HMD事業推進部 鎌倉和也氏(写真右)

すべてのメガネに対応したい

 シリコンOLEDは、従来に比べて小型軽量でありながら高輝度・高コントラストでレンズに表示される映像が格段に向上した。OLED(有機EL)はそもそも自発光デバイスであり、従来の液晶ディスプレイに比べてバックライトが不要となり、小型軽量化が実現できる。

 MOVERIOはスマートグラスであり、基本的なデザインは一般的なメガネに近い。装着すると、目に対して幅広いレンズが搭載されている。これは、日本人の場合メガネをかけている方の割合が高いので、メガネを常用している状態でも気兼ねなく装着できるようにするためだ。BT-300は、レンズだけを本体にセットできるアダプターも用意しているものの、メガネの存在を考えると「このサイズが限界」(髙木氏)だという。

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メガネの存在を考えると「このサイズが限界」(髙木氏)だという

 それでも、上下の幅を限界まで削るなど、光学レンズのサイズも小型化している。実は、本体の幅自体は大きくなっていて、これは、前モデルまでは大きなメガネが干渉して入らないことがあったために力を入れた。「どうせやるなら、すべてのメガネに対応したい」(同)ということで、幅を広くしたという。その一方で、本体の内側の幅でスリム化を図ることで、トータルでの横幅がそれほど広がらないようにしたと明かした。

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上下の幅を限界まで削るなど、光学レンズのサイズも小型化している

 このスリム化に影響したのが、投射レンズの小型化だ。シリコンOLEDの光をメガネのレンズに投射するためのレンズで、OLEDからの光を内側に集光するように射出する技術を使うことなどにより小型化が可能になったという。

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光学レンズ、投射レンズを含む光学エンジンの小型化も大きく貢献している。写真左が「BT-300」、写真右が前モデルの「BT-200」
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メガネのツルの付け根部分に、投射レンズが収められている
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投射レンズが収められている箇所を拡大
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写真左が「BT-300」、写真右が前モデル「BT-200」。シリコンOLED側にディスプレイ内蔵ドライバーICを組み込むことで、駆動基板の面積を縮小した

フレーム素材を従来のアルミニウムからマグネシウムに変更

 大きな工夫として、フレームの素材を従来のアルミニウムからマグネシウムに変更した点も軽量化に効いている。素材として比重が軽いため、マグネシウムに変更するだけでも軽くなる点に加え、さらに光学レンズを支えるために「コの字」にして、全体で挟み込む形状にした。これによってフレームを従来の2mm程度から約1.3mmへと薄くしながら強度も確保できたという。このコの字の部分にはハーネスも入っているため、コの字のデザインは大きな役割を果たしている。

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フレームの素材を従来のアルミニウムからマグネシウムに変更した点も軽量化に効いている。さらに光学レンズを支えるために「コの字」にして、全体で挟み込む形状にした
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継ぎ目のない一体成形で、放熱にもひと役買っているという

 このマグネシウムフレームは継ぎ目のない一体成形で、「放熱にも活用している」(鎌倉氏)という。発熱が最も大きいのはOLEDで、これをフレーム全体を使って放熱することで、やや温かくなる程度の温度上昇にとどめた。

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鎌倉氏が、マグネシウムフレームについて解説。発熱が最も大きいのはOLEDで、フレーム全体を使って放熱することで、やや温かくなる程度の温度上昇にとどめたという

 シリコンOLEDになったことでドライバーが基板側に不要となるなど、基板の小型化も図られたほか、部品点数も削減。組み立てを簡単にするために基板の配置を変更するなどの工夫をしたことで、基板が入るボックスのサイズも小さくなった。

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「BT-300」のシリコンOLED(写真左)。従来モデル(写真右)より小型化していることが一目で分かる
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写真左が「BT-300」のシリコンOLED、写真右が従来モデル
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写真左が「BT-300」のシリコンOLED。OLEDの自発光という特徴により、従来の液晶パネル(写真右)のようなバックライト(白色のパーツ)が不要となった
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組み立てを簡単にするために基板の配置を変更するなどの工夫をしたことで、基板が入るボックスのサイズも小さくなった
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分解の様子。非常に短時間で分解と組み上げを行なっていた
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コントローラー部から「BT-300」本体内の基板につながるケーブル。実はこのケーブルの中に37本の信号線を収納している。本体内では、薄型化して光学エンジン部につなげている

 この、基板を小さくすることで設計はかなり苦労したようで、ここのパーツを「どんどん小さくしてもらった」と鎌倉氏。デザイン部によるデザインにもこだわりがあり、従来に比べコンパクトになった継ぎ目のないシンプルなデザインを実現することが難しかったという。「デザイナーと意見をぶつけ合いながら進めていった」(髙木氏)。

装着感に影響する鼻あて部分と"ツル"に、メガネならではの技術と考え方を採用

 デザイン上では、従来のプラスチックの鼻あてから、ワイヤーと鼻あてのタイプになった。これは、メガネメーカーと協業したことで実現したという。ワイヤー部分はチタン<4098>を採用しているが、「チタン<4098>を扱える業者が意外に少ない」(鎌倉氏)ため、メガネメーカーとの協業で実現した。このワイヤーを成形する技術も、このメガネメーカーによるものだという。鼻あてもシリコンを採用しており、ズレにくくした。

「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
従来のプラスチックの鼻あてから、チタン<4098>製ワイヤーとシリコン製鼻あてのタイプになった

 軽量化したBT-300とはいえ、一般的なメガネよりは重量があるため、ワイヤーも重さに耐えられるチタン<4098>を採用するといった部分もメガネメーカーの提案によるものだそうだ。

 こうした工夫では、今まで付属していた耳かけをなくした。ツルを内側に巻き込むようなデザインにし、ラバーも配置したことでズレなくなったとのことだ。これが実現したのも、本体が軽量化したからだ。

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ツルを内側に巻き込むようなデザインにし、ラバーも配置したことでズレなくなったとのこと

 ちなみに、一般的なメガネは装着したとき、10~15度ほど下に傾いているということで、BT-300でも10度傾けて装着される。その方が自然に映像が見られるのだという。

 軽量化し、小型化したことで、こうした「メガネ」と同じ技術や考え方が導入されたのもBT-300の特徴だ。

シリコンOLEDと光学レンズの位置合わせに専用機器を導入して組み上げ

 同じメガネ型ウエアラブル機器でも、他社製の片目に映像を表示するタイプの場合、片目に映像を映すと、人間の目はどこを見ていいか混乱する視野闘争が起きる。そのため、MOVERIOは両目に映像を表示して視野の一部に映像が浮かぶ複眼タイプを採用した。この場合、両方の光学レンズに表示される映像がほんのわずかでもずれると、きちんとした映像が表示できない。

 この位置合わせは、シリコンOLEDを本体に接着する際に、専用機械が自動で位置合わせを行うという。このために作られたという専用機器だが、シリコンOLEDになって部材が減ったこともあって、位置合わせが簡単になるというメリットもあったそうだ。

初代からこだわり続けているケース - 「500mlのペットボトル」サイズ

 こうして完成したBT-300だが、もうひとつ、大きな工夫がある。それがケースだ。これまでのケースは、大型のケースだったため、持ち運びのしやすさでは課題があった。BT-300自体が小型化したことに加え、これまでのノウハウを盛り込んだ結果、ケースサイズが「500mlのペットボトルサイズ」まで小型化できたのだ。

「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
写真左が「BT-300」のケース。こちらもひと目でわかるほど小型化している。「500mlのペットボトル」サイズにこだわり続けてきた成果だ

 これは、初代の頃から目指していたサイズで、実際にはペットボトルよりはやや大きいが、一般的なバッグによくあるペットボトルを収納するポケットにすっぽり入るサイズに収めたのだ。

「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
500mlのペットボトルとの比較。一般的なバッグによくあるペットボトルを収納するポケットにすっぽり入る
「MOVERIO BT-300」徹底分解! これが、"こだわる"ということだ!!
ケースを開けたところ。持ち運び中のゆれや衝撃などが「BT-300」に影響しないよう、ケース内の配置も考え抜かれたものだ

当初から求めていた形が実現した

 BT-300は、持ち運びやすくなったうえに、メガネと合わせて装着しても違和感の少ないデザインとサイズになった。HMD事業推進部部長で、MOVERIO事業を主導する津田敦也氏は、BT-300によって、当初から求めていた形が実現したと笑みをこぼす。エプソン<6724>が考えるスマートグラスがいよいよ登場することになるからだ。

 究極まで完成度を高めたBT-300は、スマートグラスの新たな世界を切り拓く可能性を秘めた製品といってもいいだろう。

(提供:エプソン<6724>販売)

アスキー
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    最終更新: 2016年11月29日(火)11時00分

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