来年こそSXSWに行こう&楽しもう!達人4氏が語った“攻略法”

アスキー 11月29日(火)07時00分配信

 11月15日に開催された「経済産業省×ASCII STARTUP 日本発グローバル・ベンチャー公開選考会」。経産省のベンチャー支援プログラム「飛躍 Next Enterprise」の関連イベントであり、来年3月10~19日に米国オースティンで開催される「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」への派遣と、トレードショー出展権をかけた最終選考会となった。

 日本でもその名は知られるようになったSXSWだが、他のビジネスカンファレンスや展示会とは大きく違った特徴と楽しみ方があるという。今回の経産省×ASCIIイベントでは、SXSWの魅力に取りつかれ、これまでに何度もSXSWに参加している4氏が登壇し、開催中の現地の雰囲気から、参加することで得られるもの、十分に楽しむための心構え、参加費用を抑えるためのテクニックまで、SXSWの“攻略法”が存分に語り尽くされた。

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「達人に聞く企業担当者が知りたいSXSW攻略法」トークセッション。(左から)モデレーターの西村洋氏、帆足啓一郎氏、中谷和世氏、澤山陽平氏

「これから世に出るテクノロジー」をいち早く体感できるSXSW

 まず、SXSWとはどんなイベントか。モデレーターを務める西村洋氏が、あらためてその概要を紹介した。

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モデレーターを務めた西村洋氏(トーマツベンチャーサポート)

 SXSWは、米国テキサス州オースティンで毎年3月に開催される、インタラクティブ(テクノロジー)、ミュージック(音楽)、フィルム(映画)をテーマとしたフェスティバルであり、米国最大級のビジネスイベントでもある。

 このうちインタラクティブ部門は、世界中から集まる最先端のテクノロジースタートアップが頭角を現す場として知られており、新たな投資先やパートナーを発掘しようと、投資家や大手企業関係者も数多く集まる。過去にはTwitterやfoursquare、Pinterestなどがスタートアップとして出展し、その後の大きな発展につながるチャンスをつかんだ。

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オースティン コンベンションセンターをメイン会場として、オースティン市街で同時多発的にイベントが開催されるSXSW。今年は10万人以上が参加した

 西村氏は、ビジネスイベントとしてのSXSWの位置付けを、「CES(Consumer Electronics Show)」や「MWC(Mobile World Congress)」など他の大規模展示会やカンファレンスと比較して説明した。簡単にまとめれば“コンシューマー向けを中心とした、ローンチ前の最先端テクノロジーのショーケース<3909>”が、SXSWだと言える。

 「『未来のトレンド』になるものを発掘できるのではないか、と考えてSXSWに参加する方が多い。最近は(TwitterのようなWebサービス系だけでなく)モノづくりやバイオといった、新たなテーマもどんどん出てきている」(西村氏)

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西村氏による、CESやMWC、その他の展示会イベントとSXSWの位置付けの違い

 実際、帆足啓一郎氏が2014年に初めてSXSWに参加した理由も、勤務する研究所の業務として、新たなテクノロジースタートアップの発掘を行うためだったという。同じように澤山陽平氏も、2013年当時勤務していた証券会社でベンチャー調査/支援の仕事をしており、そうした興味もあって(ただし休暇中に自腹で)参加したという。スタートアップ側から考えれば、こうした企業や投資家と巡り会うチャンスの場、というわけだ。

 「先進的なものが好きで、オープンな人がたくさん集まっている。偶然隣に座った人とも、ちょっとしたきっかけで話がはずむような雰囲気」(澤山氏)

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帆足啓一郎氏(KDDI<9433>総合研究所)
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澤山陽平氏(500 Startups Japan)

 一方で、VR系のテクノロジーに個人的な興味があり、これまで自腹で3回SXSWに参加しているという中谷和世氏は、初回参加のきっかけは「ミーハーな気持ち」だったと振り返る。「参加経験のある人に『SXSWに行けば、有名なシリコンバレーのスタートアップ創業者がその辺を歩いてるよ』と聞かされて。そりゃすごいね! と興奮し、翌月のSXSWに参加した」(中谷氏)。

 会期中には、ミュージックのライブイベントやフィルムイベントも並行して開催され、オースティンの街がSXSW一色に染まる。著名人たちも気軽に街を歩いており、お祭り的なムードが漂う。中谷氏の語るような気軽な楽しみ方ができるのも、SXSWの魅力のようだ。

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中谷和世氏(グーグル)
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トレードショーの風景

頑張っても「全体の3%」しか見られない!? 下調べとスケジュール作成が必須

 各氏とも「初回の参加ではとにかく疲れた」と口を揃える。特に初めての参加者が「疲れる」のは、朝から晩まで刺激的なイベントが目白押しで、あれもこれも出席しようと移動し続けることになるからだ。

 5日間の会期中、1000を超えるカンファレンスセッションや展示会のほかにも、オースティン市街のいたるところでスタートアップのピッチコンテスト、参加者どうしをつなぐミートアップイベント、ワークショップなどが開催される。さらには、SXSWに便乗した非公式イベントや、シークレットパーティなどに出くわすケースもあるという。

 中谷氏が計算したところ、1人の参加者が物理的に出席できるのは、公式スロットセッションだけをとっても「全体のわずか3%」だという。それに加えて、会場間の移動には時間がかかるうえ、人気セッションでは「1時間前から行列しないと入れない」(帆足氏)こともよく起きる。

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5日間に1000以上のセッションが開催されるので、綿密な下調べをしておかなければ重要なセッションを見逃すことに

 したがって、自分の興味分野に絞り込み、どんな企業が参加しているのかの事前調査も行ったうえで、あらかじめスケジュールを組んでおくことが大切だという。「終わった後に人から話を聞いて、えっ、そんな面白そうなセッションやってたの? ということもよくあるので」(中谷氏)。

 ただし、事前に決めたスケジュールを100%守ろうとしても難しく、それだけで「疲れて」しまうだろう。澤山氏は「どう見て回るかの予定を立てつつも、現地に着いたらそれはいったん忘れて、カオスに身を任せて楽しむくらいでちょうどいい」とアドバイスする。

 また中谷氏は、予定していたセッションが聴講してみると「ハズレ」だった場合、ほかのセッションに出席している知人に「そちらはどう?」と連絡を取って、面白そうなセッションに移動することもあると、自らの経験談からノウハウを披露した。

参加チケット、宿泊、航空券……工夫しだいで3~4割はコスト削減できる

 SXSWに参加するためには、イベントの参加バッヂ(参加チケット)だけでなく航空券や宿泊の費用、現地での移動費用などさまざまなコストがかかる。自腹で参加するならば、このコストはなるべく抑えたいはずだ。

 そこで、参加コストを抑えるためのさまざまな工夫も紹介された。

 まず、SXSWの参加バッヂからだ。たとえば、インタラクティブの参加バッヂは1325ドル(約15万円)と高額だが、早期購入割引があり、半年前ならば825ドル(約9万3000円)で購入できる。仮に行けなくなっても、オフィシャルサイト上で他人に譲渡(Transfer Badge)できる仕組みが用意されているので、早期にバッヂを購入してしまうのが絶対に得策だという。

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「SXSW 2017」のバッヂ料金表(11月25日現在、公式サイトより)。早期割引だと最大500ドルも安いので、のちのち行けなくなっても損することなく譲渡できる

 航空券に関しても同様で、予約する時期が早ければ早いほど安く入手できる。「早めに取れば(往復で)10万円強」(中谷氏)。

 ちなみに、日本からオースティン空港への直行便はないため、サンフランシスコなど別の都市を経由することになる。澤山氏は、少し追加コストがかかるが、そうした都市に立ち寄るのも楽しいと述べた。実際に、この数年は必ずサンフランシスコに立ち寄っているそうだ。

 宿泊に関しては、夜遅くまでイベントに参加しても(飲み歩いても)帰れるという理由で、イベントの中心地であるコンベンションセンターやダウンタウンから徒歩圏に泊まるのがベストな選択である。オースティン市街の治安はさほど悪くない。

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コンベンションセンターの外では、バーやライブハウスが立ち並ぶ「6thストリート」を中心に夜遅くまでイベントが開催される(画像は6street.comより)

 ただし、SXSWの会期中、ホテルの宿泊費はとても高額になる。「ダウンタウンのホテルだと(1泊で)8万円もすることも」(中谷氏)。そのため中谷氏、澤山氏は、「AirBnB」を活用して宿泊先を確保するという。

 澤山氏の場合、早期にダウンタウンから徒歩圏に大きめの部屋を借り、ほかの参加者10人程度とシェアしているという。「5日間借りて、1人あたり8万円くらい」(澤山氏)。西村氏も、ダウンタウン付近にそうした“拠点”があると、SXSWで出会った参加者を招いて交流したりすることもできるのでお勧めしたいと語った。

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中谷氏は、AirBnBを使って1泊7200円で部屋を借りた。市街から少し遠いためレンタカーで通ったが「レンタカー代を入れても、ホテル泊の10分の1で済む」

 では、こうした工夫の積み重ねの結果、コストはどの程度抑えられるのだろうか。会社の経費で参加し、ホテルに宿泊する帆足氏の場合、トータルで「50万円ほど」かかっているという。また、国内旅行代理店が企画するツアーの場合、バッヂ購入費も含めると「55万円ほど」。これが標準的なコストだろう。

 一方で、コスト節約に励んだ中谷氏は、トータルで「33万円程度」まで抑えられたという。標準コストから30~40%も削減できたわけだ。「これなら“ちょっと贅沢なバケーション”だと思って参加できる」と、中谷氏は笑った。

※注:なお、シェアライドサービスの「Uber」や「Lyft」は、いずれも今年(2016年)5月にオースティン市から事業撤退している(市条例改正で運転手の指紋登録が義務づけられたことに反発した結果)。本稿執筆時点では、オースティン市内ではこれらのサービスが利用できなくなっているので、交通手段の確保にはやや注意が必要だ。一般のタクシーや路線バスは営業している。

経済産業省×ASCII STARTUP 日本発グローバル・ベンチャー公開選考会
中谷氏が披露した“SXSW節約術”あれこれ

事前に「仲間」を作って、積極的な姿勢でSXSWを楽しもう

 会期前/会期中の情報交換、宿泊先やタクシー/レンタカーなどのシェア、一緒に食事に出かけるなど、参加する「仲間」がいれば、現地で助け合うことができ、楽しみも増える。

 「最初は一人で参加したので、夜のパーティがすごく盛り上がっているところになかなか入りづらくて……。でも実は、そういう場で大きな企業がパネルディスカッションをやっていたりもする。今から考えるとすごくもったいないことをしたなと。やはり、一緒に行ける仲間がいるといい」(帆足氏)

 「誰かとくっついて行けば、なんだかんだと楽しみが増えるはず。特に(初心者で)わからないことが多いときほど、先輩にくっついて行くほうがいい」(澤山氏)

 毎年、SXSWの開催前には国内で参加者(参加希望者)が集うミートアップが幾つも開催されているので、出発前にそうした場で仲間を作っておくのがオススメだそうだ。

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 トークセッションの締めくくりとして、登壇した各氏それぞれが考える「SXSWの魅力」があらためて語られた。

 「CESなど、ほかの有名イベントのような『完成されたもの』ではないが、その一方で最先端テクノロジーのコンセプトを肌感覚で感じられる。最初は疲れるかもしれないが、これから何度も行くつもりで参加してほしい」(帆足氏)

 「たとえば『昨年よりもVR酔いしなくなった』とか、色々なテクノロジーが徐々に進化していることを実感できる。参加するうちに、新たな分野に興味を持つことも。あとはスタートアップの熱気のすごさ」(中谷氏)

 「“受け身”での参加はやめて、ミートアップなどには多少無理してでも積極的に参加すべき。たとえ英語がよくわからなくても、参加者は先進的なものが好きでオープンな“いい人”ばかりなので、必ず得るものはあると思う」(澤山氏)

アスキー
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    最終更新: 11月29日(火)07時00分

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