これはきっと日本だからできた「ウスカル」ノート、新dynabook Vは東芝の技術がてんこ盛りだ!!

アスキー 2016年12月02日(金)23時23分配信
dynabook V
タッチパネルと360度稼働する二軸ヒンジを持つ2in1タイプ(タブレット+モバイルノート)の製品だが、東芝<6502>ではノートとしても何も妥協しなくていい=メインマシンにもなりうる「3in1の機種だ」としている。

 パソコン開発に技術力の粋を集める。そんな気概を感じさせる魅力的な製品に仕上がったのが東芝<6502>クライアントソリューションの新製品「dynabook V」シリーズだ。既報の通り、合計4モデルを12月9日に販売開始する。

dynabook V
中央が東芝<6502>クライアントソリューション取締役(技術・品質所管)の柏木和彦氏

 いずれも12.5型でフルHDのディスプレーを搭載。低消費電力だが性能は譲るCore mではなく、最新第7世代のCore i7(Uプロセッサー)を採用。それでいて16mmを切る薄型の本体と、17時間のバッテリー駆動時間(JEITA 2.0測定基準)を持つ。

 世界最薄、世界最軽量といった、分かりやすいワードを冠するわけではないが、PCを快適に使うために必要な様々な要素を吟味し、技術の力で課題をクリアーしたと思わせる完成度の高さだ。発表会では豊富な技術展示で、各技術を担当者が詳しく解説していた。その内部を眺めると、開発者の努力と製品の魅力の一端が垣間見られた。

スケルトンモデルを見て、バッテリーの大きさに気付く

 まずはスケルトンモデルから。底面を見るとほとんどのスペースをバッテリーが占有していることに気付く。メイン基板の小型化が技術的な課題のひとつだった。小型化したからそのぶん大きなバッテリーを積めた。結果、マーケティングサイドから要望があった12時間を大きく上回る17時間のバッテリー駆動時間を得られた。

dynabook V
dynabook V
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メイン基板とバッテリー
dynabook V
バッテリーは44Whと大容量。駆動時間に直結するバッテリー容量に求められるのは、スペースの取り合い。基板をどれだけ小さくするかにかかっている。
dynabook V
新モデルのメイン基板(裏表)。10層HDI構造で、実装はCPUなどのある表面に集中している。裏面にはSSDを取り付けるコネクターがある。
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SSDはPCI-EにもSATAにも対応できるが、店頭モデルでは当初SATAのみがリリースされる見込み。
dynabook V
基板の大きさを従来モデルと比較したところ。14%小型化している。

薄型の筐体で、熱を効率よく管理する

 性能に妥協していないという点もポイントの一つだ。15Wの第7世代Core i7(Uプロセッサー)を搭載した。4.5WのCore m(Yプロセッサー)を利用すれば、熱対策の面でもバッテリー駆動の面でも有利で、薄型の筐体にも収めやすい。しかし敢えてCore i7にこだわった。

 そのために採用したのが「W吸気 新空冷システム」だ。高性能なCPUを搭載できると同時に、ファンの長寿命という点にも取り組んでいる。

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従来の空冷機構は底面吸気で背面排気だった。
dynabook V
新モデルでは底面に加え、背面からも吸気して、背面に排気している。
dynabook V
ファン自体も薄型化している。3.7mmの厚さで、HDDの軸受技術を応用し長寿命化も図っている。

薄型でも丈夫な筐体と、快適な打鍵感を得るために

 頑丈な筐体はラフな使用にも耐えうる信頼性に加えて、キータッチを始めとした操作感という意味でも重要だ。軽くするだけであれば、バッテリーを削ったり、マグネシウム合金を薄くするといった単純な解決策もあるが、それではダメだ。そこで、要所要所にリブを設けつつ、合計数十本という多数のネジを柱のように使って支える、独創的な発想が生まれた。

dynabook V
トップカバーを裏側から見たところ。
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パームレスト付近にリブを置き、軽量性と強度を両立している。
dynabook V
薄型筐体だが、キーボードは1.5mmのストロークを確保している。キートップには0.2mmのへこみを付け、バックライトなども備える。
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トップカバーにキーボードをはめ込み、裏側から見たところ。
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キーボードの裏側に非常に多くのネジ穴がある。
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トップカバー側のフレームにあるネジを受ける穴。非常に小さい。
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トップカバー、キーボード、二軸ヒンジなど
dynabook V
本体は全面マグネシウム合金製だが、アンテナが入る天面の上部だけは樹脂になっている。表面から見ると気付かない精度の高さだが、裏面から見ると分かる。

急速充電とバッテリーのサイクル寿命の両立

 使用されている細かなデバイスにも注目。今回の機種では0%から、たった30分間の充電で約7時間の利用ができる、急速充電に対応している(お急ぎ30分チャージ)。しかし大量の電流を短時間で流せばその分バッテリーの劣化は早くなる。バッテリーメーカーとの協業によって、バッテリーのサイクル寿命を維持しながら、高速に充電できるインテリジェントな充電カーブを試行錯誤した。

dynabook V
dynabook V

 本体に内蔵するチップを使い、バッテリーの特性を加味しながら、充電時に流す電流をコントロールする。急速充電には専用のACアダプターを使わなければならないとするメーカーもあるが、東芝<6502>の場合は十分な電力が供給できるUSB Type-C対応のアダプターであれば、メーカーを問わず急速充電の効果が得られるという点もうれしいポイントだ。スマホ用など今後選択肢が増えそう。ただし本体付属のものは45W出力に対応する、10~20W程度のよくあるスマホ用のアダプターでは速度は遅くなる。

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二軸ヒンジ。2万回開閉できる強度を確保するため、素材などにも気を配った。
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Windows Helloの顔認証を効果的に実施するため、赤外線カメラを装備している。ただ既存のものではどうしても部品が大型化してしまうため、Cortana用のステレオマイクやウェブカムなどを一体化したモジュールをこの製品のために開発した。
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Windows Helloの指紋認証に対応するため、指紋センサーを一体化したタッチパッドを装備。

高音質についても徹底的にこだわる

 ノートパソコンとしてもタブレットとしても動画を快適に見たいというニーズはあるはず。だから音も重要な要素だ。そこでharman/kardonスピーカーによる高音質を追求した。豊かな低域を得るために、バスレフポートなど、スピーカーモジュールの形状にも工夫を凝らしている。また内部の空気の流れを阻害しないよう、スピーカーケーブルの取り付け位置もミリ単位で調整したという。

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1~2万円の外付けスピーカーに迫る高音質を内蔵スピーカーで得る、というのが目指したコンセプトだ。
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こだわりのステレオスピーカー。
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指向性や反射、低域の量感などに配慮して取り付け位置や形状などを吟味している。;
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ユニットは面積をとりやすい楕円形。ただし四角にしてしまうと歪みやすくダメとのこと。ユニットの周囲にはフエルトの様な振動吸収材が貼られている。
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背面にはharman/kardonの文字と吸音材。ここはビビりを防ぐ効果もあるとのこと。
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側面にバスレフポートが見える。この穴をふさがず空気が流れるようケーブルの位置や内部のレイアウトを工夫した。

インターフェースは割り切る、その代わりアダプターを標準添付

 I/O端子はAC入力を兼ねたUSB Type-C(Thunderbolt3共用)端子と、逆側にあるType-A フルサイズの端子のみ。薄型化のため、LANやD-Sub端子は入れられなかった。しかし変換アダプターが標準で付属する。

dynabook V
薄型化のためにレガシーのインターフェースはバッサリと削った。そこでLANやHDMI、D-Subなどに対応するめの変換アダプターを標準で同梱している。
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USB Type-Cに接続するが、アダプター使用時に充電できるよう、ACアダプターからの給電も可能だ。
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参考出品のThunderbolt 3ドック

 またペン芯、液晶の表面材料などにも配慮して、ペンの書き心地を追求した。筆速が速い場合でも遅い場合でも反応を紙とペンに近い、適度な摩擦感になるよう調整しており、実際に書いてみると非常に自然だと感じられた。

dynabook V
開発担当の柏木和彦取締役とクライアント設計部の島本肇部長にお話を聞いた

週アス宮野編集長が聞く、最新dynabook Vの魅力

── 製品の計画はいつごろ始めましたか?

柏木 そうですね。話が出たのは……

島本 大体去年の冬、ちょうど1年前ですね。TCS(東芝<6502>クライアントソリューション)が発足する以前から、2in1は今後伸びるし、やっていこうという意気込みがありました。デタッチャブルはあっても、コンバーチブルタイプの製品はいままでなかったですから。

柏木 一方でコンセプトを決めるための議論はありました。

島本 画面サイズを含めて、様々な選択がとれますからね。

柏木 最初にこだわったのはコンバーチブルタイプでもきちんとキーボード入力ができるようにするという点です。フルサイズのキーを入れるとなると、キーピッチは19mm、ストロークも1.5mmを確保したい。となると12.5型以上になるはずです。12.5型か13型かという議論があって、モビリティーを優先して12.5型だろうという選択になりました。

編注 今回の製品は、KIRAではなくVシリーズとしてリリースされた。KIRAはディスプレーの画質への高いこだわりがあったが、今回は性能や携帯性に特化し、ヒンジも異なる。しかしながら、今回の製品もKIRAと同じVシリーズの一角を占めている。ハイスペックかつモビリティーの面でも気合が入っている点は間違いがない。

1㎏は切りたかった、しかしそれで犠牲になるものがあるなら意味がない

── 薄さや軽さのターゲットは?

島本 マジックナンバーはやはり1㎏を切ること。そこへのチャレンジはありましたが、タッチパネルを付けたり機能をリッチにすれば難しくなります。とはいえ薄さは1番に追求したいという面があり、なおかつ性能が高いUプロセッサーを入れたかった。PCとして幅広く使おうと思うと、Yプロセッサーでは心もとないと感じたためです。Uプロセッサーで、12.5型のコンバーチブルを作る。これが最初に決まり、それをとにかく薄く、軽くするチャレンジが始まりました。

柏木 島本がいうように1㎏はマジックナンバーです。しかし1㎏を切ろうとすると何かが犠牲になる。今回は17時間のバッテリー寿命を確保しましたが、バッテリー容量を削ってまで軽くすべきかどうかは議論しました。

島本 それだとすぐできちゃうんです。バッテリーを削ったり、マグネシウム合金を薄くしようとかね。しかしこれでは、製品の品位が下がってしまいます。

── 隙間があるならバッテリーを埋めようということですね(笑)

柏木 野球に例えるなら、ホームランだけ70本目指すあり方もあれば、4割の打率を目指す選手もいるでしょう。しかし今回の製品は3割、30本、30盗塁みたいな価値を追求した製品です。打率、ホームラン、盗塁を高い次元で融合させることが狙いでした、薄くするだけならもっとできたし、軽くすることもできた。

島本 できるだけ薄くを狙ったというのもありますが、グローバルで戦っていくことを考えると、Uプロセッサーでどれだけ薄くできるかのチャレンジだと思いました。Uプロセッサーで15.4mmの薄さなら競争力があるという会話を海外のマーケティング担当としました。要望としては16mmをとにかく切ってくれというものでしたが、結果として15.4mmという薄さを実現しました。

── バッテリー寿命に関しても目標はありましたか?

島本 商品企画部からは12時間という数字が提案されました。しかし製品として完成度を詰めていく過程で、より高い水準が実現できた形ですね。いい意味でわれわれの見積もりからはずれました。JEITA 2.0で17時間ですからヘビーに使えば、8時間、9時間となるかもしれません。しかし1日使っても安心な数字が確保できたと思います。今回は基板を小さくして、空いたスペースにとにかくバッテリーを入れてやろうという作戦です。基板を小さくすれば空いたスペースで何かができる。

── 44Whのバッテリーは最初はもっと小さかった?

島本 もともとは40Wh以下を想定していました。基板グループのがんばりの結果ですね。XYのサイズは画面とキーボードでだいたい決まりますから、内部は基板をどれだけ小さくするかがポイントになる。バッテリーはリチウムポリマーとすることでフレキシブルにスペースを使えます。

柏木 基板面積が14%小型化したことがバッテリー寿命にきいてきます。

島本 一方でType-Cコネクターのワンワイヤーにも取り組みました。時期尚早という意見もあったのですが、フラットなデザインを実現するという意味も含めてミニマムな端子に絞り込みました。

── いまどきのノートでType-Cがないと古臭く感じるので正解です。一方でType-Aの端子も備えているから最低限の拡張性は確保できています。

島本 アダプターは全世界共通ですから、メーカーを問わず、どの地域でも利用できるというメリットがあります。

柏木 モバイル系デバイスのひとつの方向感です。

── 一方で取材する際にはSDメモリーカードスロットが欲しいとも思ってしまうのですが。

島本 あの面積がレガシーなんですよね。一方でmicroSDカードでは不要と言われてしまう。Type-Cアダプターであれば何でもさせますのでサードパーティーの周辺機器の増加に期待したいですね。

── 全面マグネシウムでアンテナ部分だけ樹脂ですが、全然わからないですよね。

島本 アンテナの感度を考えると上に置きたい。そこだけ樹脂にして塗装しています。

── 剛性感も大事な要素だと思います。

島本 今回キーボードのフィーリングを高めるために、数十本のネジを使用しています。組み立てでは嫌がられそうですが、そこまでやってでもしっかりとしたフィーリングにはこだわりたかったのです。ふわふわと上下に動く、トランポリンをいかにしてなくすかです。今回0.2mmのへこみやバックライトもあり、キーボード自体は厚めなのですが、チャレンジしています。

柏木 ストロークを確保し、キートップにも配慮して、さらにこの薄さを目指すという苦労がありました。

── 30分で7時間という急速充電もビックリですね。

柏木 電流の供給量を通常の120%に増加させて時間を短縮しています。

島本 バッテリーメーカーと一緒でないとできない部分です。バッテリーがすぐへたらないように、バッテリーの特性を加味して調整する地道な作業が必要です。

── 充電器は東芝製でなくても大丈夫ですか?

島本 はい。本体内部の電源回路側で、電流をコントロールしているのでクイックチャージ自体は一定のワット数が確保できていれば、他社のACアダプターでも問題なく利用できます。

柏木 急速充電でも従来と同じサイクル寿命を保証していますが、グラフで見ると急激に電流を流して最後の最後でくっと量を絞るのが大事なのです。最後を優しくすることでバッテリーのサイクル寿命を長くできます。

── 大型のごついパソコンでしか利用できないと思っていたWindows Helloの顔認識にも対応するなど、魅力はまだまだありますね。ありがとうございました。

アスキー
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    最終更新: 2016年12月02日(金)23時23分

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