妥協のMacBookから乗り換えも、日本HPのノートPCが売れている

アスキー 12月06日(火)09時00分配信

 日本HPは今年、東京都昭島市の昭島工場を移転し、東京都日野市に日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークを開設した。

 日本HPでは東京で生産する「MADE IN TOKYO」を標榜し、昭島工場での生産により、高い品質の維持とともに顧客ごとの仕様にあわせた柔軟なカスタマイズ対応、5営業日という迅速な納品体制を実現してきた。

 日野への生産拠点の移転は、この体制をさらに強化するものになる。

 品質面においてはさらに厳しいチェック体制を確立したほか、85%という世界的にも高いCTO(カスタム・トゥ・オーダー)比率に対応する柔軟なカスタマイズ対応を実現。また納期についても、今後は最短で3営業日で納品できる体制づくりを目指すという。

 新たな生産拠点で作られたPCには引き続き、「MADE IN TOKYO」のシールが貼付されており、東京生産ならではの品質を保証する証になっている。

妥協のMacBookから乗り換えも、日本HPのノートPCが売れている
大量に刷られるMADE IN TOKYOのシール

 実は昭島工場の移転は、数年前から検討されていたものだった。

 昭島工場はもともと物流倉庫として作られた建物を利用しており、1階から4階までのフロア間を部品や完成品が行き来するなど、工場としては運用しにくい状況にあったのは確かだった。4階の部品倉庫から3階の組み立てラインに部品を移動させたり、完成したPCを1階の配送口に移動させたりといった作業のほか、部品倉庫が異なる場所に置かれていたため、そこから部品をトラック輸送で供給するという手間も発生していた。

 またPCの生産に加えて、サーバーも生産しており、今後の拡張にも課題が出ていた。さらに、建物そのものが20年近くを経過しており、各種設備が古くなっていたことも移転を検討するきっかけのひとつになっていた。

 2015年8月には、PCおよびプリンター事業を行なう日本HPと、サーバーをはじめとするエンタープライズ事業を行なう日本ヒューレット・パッカードに分社。こうした動きも、2つの会社が同じ工場で生産することが、必ずしも最適化にはつながらないという判断に至り、移転をドライブしたといえよう。

生産は15%増で体制は100人減

 2016年6月から移転稼働した日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークは、JR中央線豊田駅から車で約5分に位置する平山工業団地内の三井不動産<8801>ロジスティクスパーク(MFLP)日野のなかにある。

 もともとこの場所は東芝日野工場があったところで、かつては東芝製の携帯電話を生産していた。

 日本HPでは今回の移転にともない、昭島工場とは別に設置していた東京・八王子市の部品倉庫と、千葉県成田市の完成品倉庫も統合。1万9000平方メートルの広さは、昭島工場のPC生産ラインおよび関連エリア、そして、2つの倉庫をあわせた面積とほぼ同じだという。

 だが拠点の統合によって、同じ面積を持ちながらも効率化が図られているのは明らかで、生産ラインにおいては昭島工場時代と同じ8本の生産ラインを持ちながら、一直線でラインを構成できるメリットなどを生かして、生産数量は15%向上。7ラインを動かすだけで、昭島工場と同じ1日6000台以上の生産が可能だという。シンプルな生産ラインの構成は、今後のライン拡張につなげやすいといったメリットもある。

 また昭島工場時代には、3つの拠点を合わせて約600人体制で運用していたが、新体制では拠点統合の成果もあり、約500人体制で運用。これも効率化のひとつといえる。

妥協のMacBookから乗り換えも、日本HPのノートPCが売れている
妥協のMacBookから乗り換えも、日本HPのノートPCが売れている
生産ラインが整然としているのがわかる

 ちなみに新たな生産拠点では、すべての生産ラインでデスクトップPC、ノートPC、ワークステーション、タブレットの生産が可能になっている。これも効率性の向上につながっている。

 日本HPの岡隆史社長は「今後の日本におけるPCおよびプリンタービジネスの拡大に向けて、余力を持った体制へと移行する狙いが大きい」と、日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークへの移転の狙いを語る。

 「時速300kmを出すことができるクルマが100kmで走行するのと、120kmしかでないクルマが100kmを出すのでは、クルマの安定感が違うのは明らか。生産工程もキャパシティーに余裕を持つことで、同様の効果が生まれるはず」と語る。

 日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークでは、昭島工場に比べて、20~25%の生産効率化を目指すことができる拠点と見込んでおり、生産台数も1日8000~9000台規模に拡大でき、今後の国内シェアの拡大にも対応できるとする。

 実際、日本HPの国内シェアは上昇している。

ノートPCの売上が前年比44%増に

 ビジネス向けデスクトップPCやワークステーション、シンクライアントではトップシェアを獲得。これまでの懸念材料だったノートPCについても、「日本のユーザーが好むような薄型の製品を投入することができ、『日本HPのノートPCが変わってきた』という声をあちこちで聞いている」(日本HPの岡社長)とする。

 調査によると、ノートPCは他社の成長率に比べて、5~10%増で推移しており、着実に国内でのシェアを拡大している。

 日本HPがスタートしてすでに1年4ヵ月が経過。岡社長はこの間の取り組みを「自分たちのビジネス領域にしっかりとフォーカスできる体制が整い、様々なアイデアが創出されやすく、意思決定も迅速に行なわれるようになった。そして、日本からの意見も反映されやすくなった」と振り返る。

 グローバル全体で年間5億ドルのコスト削減効果が出ているほか、2014年度比でプラットフォームを27%削減する一方、顧客満足度は30%向上したという結果が出ている。

 「HP SpectreやHP EliteBook Folioといったプレミアムモデルが登場し、これが市場から大きな評価を得ている。これまで仕方なくアップルを購入していたようなユーザーが、Windowsにも優れたデザインの製品が登場したことで、HPの製品を購入している。それにともない、10万円以上のノートPCの領域における売上高は前年比44%増と大きな成長を遂げている」として、高価格帯の製品が売れていることを示す。

写真で見る"薄さ10.4mm" - 日本HP「HP Spectre 13-v000」フォトレビュー
HP Spectre 13
ドックとの併用が便利! クラス最小の極薄ノート「HP EliteBook Folio G1/CT Notebook PC」を試す
HP EliteBook Folio

 また「HP Elite x3のような新たなカテゴリーを創出したことにも評価が集まっている」と語る。Elite x3は、デスクトップ、ノートブック、タブレット、スマートフォンという4つのデバイスを1台に統合し、デスクドックやノートドックを活用した新たな提案の製品だ。

 「国内市場においては、ビジネスPCにおける存在感をさらに高め、将来はグローバル同様、コマーシャルPC市場でのナンバーワンシェアを獲得することを目指す」と語る。

 こうした意欲的な指標に掲げる背景には、新たな生産拠点である日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークの存在が見逃せない。

 最高速が120kmのクルマから、300kmを出せるクルマに乗り換えたことで、日本HPは余力を持って事業を拡大できるようになったといえそうだ。

アスキー
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    最終更新: 12月06日(火)09時00分

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