ARとVRの違いを改めて解説! - 目指すは“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン”

アスキー 2016年12月09日(金)20時00分配信
“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン” - ARとVRの違いを改めて解説!

そもそもAR、VRってどんなもの?

 AR、VRと話題がネット上を賑わせ、さらに盛り上がりつつあるという状況だ。しかしその一方、AR、VRは似ているようでいて違う概念であるため、ぼんやりとしか把握できていない方もいるはず。そこで今回は、“自称”AR/VRエバンジェリストのASCII編集部編集者・八岡に話を聞きつつ、AR、VRがどのようなものなのか、改めてまとめてみたのだ。

“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン” - ARとVRの違いを改めて解説!
“自称”AR/VRエバンジェリストのASCII編集部編集者・八岡に、イロイロ聞いてみたのだ

現実を“拡張”する「AR」 -「電脳コイル」

 八岡によれば、「ARは、Augmented Realityの略で、日本語では「拡張現実」といいます」とのこと。その名の通り、「現実を拡張する」というのがポイントだという。目で直接見る現実の世界にARを適用すると、その現実空間に本来は存在しない事柄を表示する、というものだ。日本では2009年に登場したスマートフォンアプリ「セカイカメラ」がその端緒といってもいいかもしれない。ASCII.jpの読者なら、2007年に放映されたアニメ「電脳コイル」に登場した“電脳メガネ”というと、イメージしやすいはずだ。現在は、エプソン<6724>の「MOVERIO」(モベリオ)シリーズがその代表格といえる製品だろう。

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エプソン<6724>「MOVERIO」(モベリオ)シリーズ最新モデル「BT-300」

 例えば、自然の山並みを見ていて、そこに見える山の名前を知りたいとき、ARでは山の上に名前が吹き出しで表示される。メガネを通して見える風景は現実なのに、そこに現実には存在しない映像やアイコンなど、さまざまな情報が付加される。現実にはないものがあたかも追加されたように拡張されるのがARだ。

 人気ゲームの「ポケモンGO」も、ポケモンが登場したときにARモードをオンにすると、スマートフォンのカメラで現実の風景を表示しつつ、そこにCGのポケモンが表示され、現実の世界にポケモンが現れたかのように現実を拡張する。

 また、「ARのベースにあるのは現実世界です」と説明してくれた。MOVERIOのようにメガネ型でもスマートフォンのカメラでも、その背景は現実世界がそのまま表示されている。特にMOVERIOの場合、装着していてもシースルーのレンズを通して、そのまま現実が見えている。体の向きを変えても、上や下を見ても、当然ながら現実の風景がそのまま見えている。

仮想の映像空間に入り込む「VR」 - 「ソードアート・オンライン」

 一方、VRはVirtual Realityの略で、こちらは「仮想現実」と呼ばれる。ARとは異なり、現実とは異なる仮想空間内に人が入り込んで活動するイメージだ。現実からは隔離されているのが特徴で、アニメ「ソードアート・オンライン」のような描写が挙げられるだろう。ソニー<6758>・インタラクティブエンタテインメント「PlayStation VR」(PS VR)やHTC「HTC Vive」、サムスン電子「Gear VR」、Oculus「Oculus Rift」などといった製品が登場しており、特にゲームのようなコンテンツに向いている。

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ソニー<6758>・インタラクティブエンタテインメントのPlayStation 4専用バーチャルリアリティシステム「PlayStation VR」

© Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.Design and specifications are subject to change without notice.

 「ARの現実に対して、VRのベースは映像です」(八岡)という。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すると、現実の景色はまったく見えず、CGなどで作られた映像が全体に表示される。上下左右全体を映像がカバーしていて、現実のように周囲を見渡すこともできるが、あくまで用意された映像を表示している。

【違い1】ARとVRのわかりやすい違いは、外界の情報に対するアプローチ

 似て非なるものがARとVR。これにさらにMR(Mixed Reality=複合現実)という概念もあり、マイクロソフトが「HoloLens」という製品を発表している。ARはMRの一種ともいわれ、MRの場合は現実世界にCGなどで存在しないものを表示し、さらにそのCGで作られたモノを手に持って動かすといった具合に現実とCGを相互に関連付けられる。

 例えば一般的なスマートフォンで地図アプリを利用する場合、「次の道を曲がる、その先の建物に入る」といった指示は、画面を見なければ分からない。これがARの場合、装着したメガネに矢印が表示され、周りの景色を見ながら簡単に目的地にたどり着ける。

 VRの場合、自宅でHMDを装着して目的地までのルートの映像を見て、実際に歩いたときにどういった景色か確認するという使い方ができる。Googleストリートビューの世界に入り込むと考えると分かりやすいかもしれない。

 仮想の世界に入り込んでゲームを行なうというような没入型のゲームなどでは、VRの方が適している。「未開のジャングルでモンスターと戦う」といった現実にはありえない状況に入り込んで没頭できるのは、現実を遮断できるVRならではの使い方だ。

 ARだったら、「実際に渋谷のハチ公前に行くとアイテムが手に入る」といったような位置ゲームなどが向いている。現実とリンクして、世界を広げるのがARの特徴だ。

【違い2】実は、「ドローン」との関係も面白い違い

 ほかの例としては、「ドローン」との関係も面白い違いだ。VRの場合、ドローンが撮影した映像を、「後から、ドローンの視点で見る」ことができる。自分が空を飛んでいるような風景を、ドローンの視点で楽しめるのがVR。

 ARの場合、撮影時にも活用できるのが特徴だ。国内の規制上、ドローンの操縦者は目視が必要になり、外界から隔離されたVRでは操縦できない。ARはシースルーでドローンを目視できることに加え、目の前でドローンの飛行データやカメラの映像を確認できるのだ。

画素密度が驚異の3415ppi、新世代MOVERIO「BT-300」はシリコンOLEDで超見やすい!
画素密度が驚異の3415ppi、新世代MOVERIO「BT-300」はシリコンOLEDで超見やすい!
エプソン<6724>の「BT-300」体験会では、「MOVERIO Apps Market」で提供されるアプリ「DJI GO」(12月上旬公開予定)を使用し、ドローン(DJI Phantomシリーズ)で撮影した映像をリアルタイムで確認できるデモを実施していた

【違い3】“モバイル”と“据え置き”も大きな差を生んでいる

 この外界を遮断するVRとリンクするARの違いによって、使い方にも違いが出てくる。VRは仮想の世界に入り込む性質上、据え置きの状態で使われる例が圧倒的に多い。実際に歩いたり乗り物に乗ったりして移動もできるが、あくまで仮想の世界の出来事だ。現実世界側では、利用者の安全が確保されている必要がある。

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「Gear VR」用アプリ「VR Jump Tour」。Gear VRを装着した状態でジャンプすると急上昇する映像になり、空中に飛び上がったような体験を味わえるというもの。軍艦島、阿蘇山、恵比寿ガーデンプレイスなど11ヵ所でジャンプできる

 ARは、現実を拡張するため、そもそも外界が見えていないと意味がない。自由に外を出歩いたり動き回ったりできることが前提と考えても差し支えないだろう。普段の生活と同じように行動しつつ、そこに新たな情報を追加するのがARだ。

“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン” - ARとVRの違いを改めて解説!
島根県にあるテーマパーク「出雲たたら村」のガイドツアーでは、「MOVERIO」(BT-200)が採用されている。EXILE 15周年記念スペシャル映画企画「たたら侍」に関連したテーマパークで、実際に撮影に利用したロケ地でMOVERIOを装着すると、映画の名場面や特典映像を体験できる(画像は利用イメージ)

 現実とリンクするARの特徴を生かして、業務用途としても利用も考えられるだろう。例えば機器メンテナンスでは、ARスマートグラスを装着してメンテナンス現場に行くと、修理すべき機器を見るだけで、その周囲に必要な情報が表示される。さらに、「ここのバルブを右に回し、その上のメーターの数値を確認する」といった作業の指示がそのバルブの上に出現して、確実に作業ができる、といった使い方もありえる。

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八岡は、「MOVERIO BT-300」が搭載しているカメラにも注目。例えば犬や猫にカメラを向けると、尻尾の様子などを元にリアルタイムで感情を教えてくれるアプリを期待していた。また、BT-300を装着した状態でペットと散歩に出かけてみたいそう。散歩中のペットの様子を録画しておき、後で見返したいとのこと

【違い4】ARとVRでは、目指すべきデバイスサイズが違う

 こうした用途の差もあって、ARとVRのデバイスは自ずとサイズ感も異なってくる。VRは室内などで固定して使うことに加え、密閉性が高いほうが没入感が高まるので、なるべく大型のほうが望ましいだろう。あまり重すぎると負担が増えるので限度はあるものの、少なくとも周囲からの光(現実の世界の光)が入らないほどの密閉性は必要だ。

“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン” - ARとVRの違いを改めて解説!
“電脳コイル”と“ソードアート・オンライン” - ARとVRの違いを改めて解説!
PlayStation VRなど、VRデバイスは密閉性が高いほうが没入感が高まるので、なるべく大型のほうが望ましいだろう

© Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.Design and specifications are subject to change without notice.

 これに対してARは、小さいことが重要といえる。屋外でもそのまま装着し続けられるので、一般的なメガネ並みに小さくなることが好ましい。MOVERIOは、最新モデルのBT-300になって、普段装着していても許容できるレベルまで大幅な小型化・軽量化を実現している。複眼式で映像を同期して表示できるタイプのARスマートグラスとして、現実的なサイズまでコンパクト化できているのは大きなポイントだ。

画素密度が驚異の3415ppi、新世代MOVERIO「BT-300」はシリコンOLEDで超見やすい!
BT-300(写真中央)は、前モデル「BT-200」(写真右)から約20%の軽量化を実現した。BT-300がヘッドセット重量約69g、BT-200が約88g、BT-100(写真左)が約240g(それぞれケーブル、シェードは含まず)

 こうしたARとVRの違いを理解すれば、それぞれが得意とする分野で使いこなせばいいということになる。ARとVR、どちらもそれぞれ特徴と楽しさがあり、それぞれのメリットを生かした新たな体験を楽しんでほしい。

アスキー
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    最終更新: 2016年12月09日(金)20時00分

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