グーグル流、自社サービスのバズらせ方

アスキー 12月10日(土)15時20分配信
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ドドーンと世界各国から集結した参加者

 人々が利用する習慣すらない新しいサービスやアプリを開発し発表する場合、どのような手段を取ればより、多くの人に広めることができるのか?

 

 グーグルが、日本・金沢を舞台に開催した新アプリやサービスの体験会が、とても楽しくてユニークであった。ASCIIは日本のメディアとして東京から唯一同行したので、その模様をレポートする。

目的地は謎、グーグル主催のミステリーツアー

 朝9時、東京・六本木にあるグーグルのカンファレンスルームは、ヨーロッパやアジアから集まった人々で定員いっぱい。訪問者は、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インド、インドネシア、韓国、香港、中国から60名近くが集まったという。

 会場ではグーグル アジア太平洋地域製品広報担当部長のデーヴィッド マークスさんが、同社サービスの新バージョンに追加された機能や知っていると便宜な使い方を披露。

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その場で、日本語で書かれたカフェのメニューを撮影
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画像に写った文字をスマホの液晶上でなぞり、Google翻訳で英語に翻訳

 特に東京の交通機関は電車、バス、タクシーなど選択権も多く、運行間隔も短くて素晴らしいが、旅行者の立場になると、路線が多く複雑である。そこでグーグルの各種サービスを使いこなすことで、より快適に旅行を楽しんでほしいとデモを交えて紹介した。

突然、グーグルから提示されたアドベンチャー<6030>とは?

 マークスさんのプレゼンの後、参加者は四方が鏡で囲まれた部屋に案内された。そこはまるでアミューズメントパークの中にいるような不思議な空間。突然、壁にアニメーションが映し出され、金沢の大名が東京にいた将軍に氷を献上したストーリーが流れた!

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突然始まったアニメーションに参加者一同、ドギマギ。「メモらないと!」と、スマホやカメラで記録開始

 その後、部屋の外でグーグルのスタッフから渡されたナップザックに入っていた封筒を開けると……、そうアドベンチャー<6030>の内容が記載されていたのだ。

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グーグルから受け取ったミッションカード

 「All aboard for Tokyo Station(東京駅からご乗車ください)」と書かれたカードには、東京駅をよく利用する人にとっては「ニヤリ」としてしまう写真が添えられていた。参加者たちは、ここで「自分たちの目的地は金沢」だということを知る。初めて日本に来た参加者も多い中、問答無用で「Suicaを使って電車で東京駅に行くように」という記載。

 つまり、Suicaが何を指すものかわからない参加者は、まずのカードに出てきたSuicaをGoogle検索することから、旅が始まるという趣向なのだ。

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グーグルから受け取ったナップザックの中身を撮影する参加者。旅のしおりやGoogleカードボード、もちろんSuicaも入っていた

 ミッションが記載されたシートや参加者に配られたナップザックは、すべてこの日のためにグーグルスタッフが中心になって集めたモノ。もちろん、ナップザックにキットを収める作業もグーグルの有志によるもの。

 人によって、グーグルは「なんだかわからない、謎のハイテク集団で、オフィスの食事は無料!」というイメージかも知れないが、中の人たちはものすご〜く人間味のあり、俗にいう20%枠で行われる活動は手弁当で行われていたりする。

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それぞれの宿泊先からホテルで金沢城公園に移動。ここで各チームのミッションをGet!

10ヵ国から集まった参加者が金沢で大オリエンテーリング

 翌朝、金沢城公園に全員集合し、チームごとにミッションを受け取る。なぜ、東京から金沢に移動した当日に実施しなかったのかというと、「それぞれチームごとのスキルが不明で、金沢到着が読めない」ため。

 勘違いして神奈川県の「金沢文庫」に行ってしまう……という参加者はいなかったが、最初の金沢ミッションを受け取ったらすぐに東京駅には向かわず、グーグルのオフィスで昼食をゆっくりとってから移動した参加者もいたらしい。

 異なる文化圏の人々が集まるので「思わぬ場所に行ってしまった」は、もちろん柔軟で多様性に含んだプログラムが設計されていた。

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台湾&香港チームの最初のミッションは「サムライに会って、新しいアートフォームを習う」から、スタート

 ASCIIが同行した台湾&香港の参加者による連合チームは、「宇多須神社でサムライに会い、新しいアートフォームを習う」というもの。宇多須神社を検索し、金沢城公園からの行き方を調べ、いざ移動! 日本在住者としては「タクシーと言わないまでも、バスを使えばいいのに」と思ったが今回は「アドベンチャー<6030>の参加者」ではなくあくまでも「取材同行者」のため、「日本語が読める」、「日本の交通事情がわかる」などを活かした口出しは厳禁であった。

超オリエンタルな空間でデジタルスキルも向上!

 なんだかんだと話しながら宇多須神社を発見! 境内をサムライ・マスターの姿を探し求めて、ウロウロする参加者。なんとか入り口を見つけて、サムライ・マスターの登場を待つ一同。

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サムライ・マスターの登場!!! 刀の型をマスターから習う

 障子が開いて、シュッー!!! 「ドヒャー!!! カッコいい!!!」といきなりテンションが最高潮! ノリノリのままマスターに型を教えてもらい、カメラで撮影しミッション、完了。

 次は近江町市場で、Googleアドベンチャー<6030>のTシャツを着たスタッフを探すことからスタート。市場でスタッフから渡された「将軍の買い物リスト」と「手がかり」を元に、将軍がほしいものを買ってくるというミッションが待っていた。

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非英語圏の参加者は英語で書かれた問題を、自国の言葉に翻訳する作業からスタート
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手がかりカード

 ここで必要なスキルは、手がかりに記載された「モノ」が何かを調べる、市場で購入してスタッフに渡す、というもの。だが、外国から集まった参加者には異国の市場で「どんな品揃え」があるか「市場の面積、見取り図」、「各店のスタッフと会話をして購入」という、ハードルが高いミッションといえよう。

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無事に買い物したあとは、正しい答えかどうかのチェックが待っている。今回のイベントで参加者が購入した食べ物はイベント終了後、食事の支援活動をしている団体に寄付された

 グーグルはこのミッションで、Google検索はもとより、音声入力を使った検索や会話形式での翻訳を参加者には体験してほしいと、計画。多くの参加者は「○○ありますか?」と聞いたり、店員にGoogle画像検索で調べた写真を見せることで、ミッションを完了していた。

楽しいエンターテイメントを体験しながらGoogleサービスを使い倒す

 10ヵ国から一同に会した参加者は、デジタルスキルはあるものの、日常利用頻度は各々の国の交通機関の発達、利便性などによって異なる。また英語圏の参加者は、特別な機会がないかぎりアジア各国の言語に翻訳をする逼迫性もないだろう。

 そんな異なる背景をもった人々に、自社サービスを体験し、波及させる方法とは?ーーグーグルが今回のイベントのために導き出した回答の一つが、「金沢に人を集めてサービスを体験してもらう」というものだ。

SlaimanさんとKateさんはオーストラリア在住のユーチューバー。2015年3月に配信を開始したばかりというが、フォロワー数はなんと94万人強!


 これまで新サービスの発表は、テクノロジー専門の記者を集めた発表会で披露してきた。しかしグーグルの各種サービスは、「旅行」と親和性がとても高い。ならばと、参加者に旅先で各種サービスを実際に「体験する」シチュエーションを作り、その使用感を身をもって体感してもらおう、という試みなのだ。

 また今回のGoogle アドベンチャー<6030>の参加者は時代を反映した、ユニークなメンバーたちで構成されていた。個々の参加者の人選については、国ごとのグーグル担当者に委ねられていたというが、一番の選出基準が「情報波及効果が高い人物」。

 その代表例が100万弱、数十万のフォロワーを持つユーチューバーたちだ。もちろん、テレビや新聞、雑誌、ウェブなどのメディア関係者も招待されていたが、参加者の大半を占めていたのがユーチューバーやブロガーであった。

現在、インドネシア在住で韓国人のHan Yoo Raさんは、ファッション、ライフスタイル、ビューティのビデオブログが人気。彼女はイベント中に金沢城公園から、YouTubeで生配信をしていた


 アドベンチャー<6030>開催中、彼らは要所々々、まるで息をするかのようなタイミングで、YouTube用の動画を撮影し、InstagramやFacebook、Twitterにガンガンとハッシュタグ付きで投稿していた。

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最終日に「独創的な投稿をSNSした」と特別賞を受賞した台湾のゲーム系ユーチューバーの阿神さん。彼は毎日、YouTubeライブを公開している

「僕たちは東京に滞在するのかと思ってた」という阿神さんは、旅の様子を感動いっぱいに紹介


 彼らが発信する情報に対してグーグルからの要求はただひとつ、#GoogleAdventureというハッシュタグを付けてほしい、というもの。もちろん、投稿は今でもそれぞれのサービス上で観覧可能で、参加者がいかに金沢を満喫しているかを見て取ることができる。

ドイツのファッションデザイナーのMelissaさんは、ボーイフレンドでトラベルブログの編集兼フォトグラファーのCaroさんと一緒に来日。カップルの参加者も多く、どちらかが撮影を担当し、もう一方がリポーターを務めるパターンが基本だったが、もちろん自撮りも

 各国選りすぐりの情報波及効果が高い人物、つまりインフルエンサーが集結したことで、新しい交流やアイデアが生まれ、参加者自身にもたらした効果もただならぬものであっただろう。

台湾からはユーチューバーだけではなく、TV局の記者も参加。三立新聞網の黃 郁棋さんのレポート。各参加者の動画は、それぞれの視点でGoogle Adventureを紹介していて、見比べるのも楽しい

 ではなぜ、参加者として日本のメディアやインフルエンサーが選ばれなかったのか? グーグル曰く「日本に住んでいる人だと、日本語が読め、地の利があるので「グーグルのサービスを使って見知らぬ土地でサバイブする、といった企画に適合しなかった」という。

 そのため、日本からのGoogleアドベンチャー<6030>の情報発信は、東京から同行したASCIIと金沢を中心とした地元のメディアのみであった。開催地は日本ながら、世界を見据えた大規模なイベントは参加者が大いに楽しみながら終了した。


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    最終更新: 12月10日(土)15時20分

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