オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか

アスキー 2016年12月20日(火)09時00分配信

 セイコーエプソン<6724>は、オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)A-8000」を製品化。2016年12月から発売する。

 同製品は、2011年から開発を開始。2015年12月に試作機を発表。それから1年で製品化にこぎつけた。昨年発表した試作モデルに比べて、電源部分を独立させることでメンテナンス性を向上させるといった改良を加えている。価格はオープンプライスだが、2000万円台前半になる見込みだ。

紙の未来を変える製品

 PaperLabは、世界で初めて、使用済みの紙を原料として、オフィス内で新たな紙を生産できる製紙機だ。

オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
PaperLab。サイズは幅2.6×奥行き1.2×高さ1.8m

 エプソン<6724>独自の新開発技術「ドライファイバーテクノロジー」により、使用済みの紙を細長い繊維に変え、文書情報を一瞬で完全に抹消。一般的な製紙方法で必要とされている大量の水を使わないため、給排水工事は不要であり、オフィスのバックヤードなどに設置することができる。繊維化された使用済みの紙は、結合素材である「ペーパープラス」を使用することで結合。白色度の向上や色付けなどもできる。

 これらの実現には、エプソン<6724>が持つ「省・小・精」の技術や、プリンターで培った材料技術やメディア技術が生かされている。

 結合した繊維を加圧することで、新たな紙を作り上げるが、加圧時に密度や厚み、形状をコントロールすることで、A4やA3サイズの紙のほか、名刺向けの厚紙なども生産できる。

 A4の無着色の紙であれば約0.45円で再生可能であり、市場紙購入では、0.5~0.7円かかるのに比べてもコストが低い。色紙や厚紙用紙、名刺用紙も同様にPaperLabで再生した方が安くて済む。

 「紙の普遍的な価値はコミュニケーションのシンプルさにある。見やすく、理解しやすく、記憶に残りやすい。そして、持ち運びや書き込みがしやすい。エプソン<6724>はプリンターメーカーとしての責務から、便利な紙を安心して使ってもらうためにPaperLabを開発した。紙の未来を変えることができる製品」と、セイコーエプソン<6724>の碓井稔社長は語る。

シュレッダーよりも高いセキュリティー

 すでにセイコーエプソン<6724>の碓井稔社長をはじめとする同社役員の名刺は、PaperLabで作られた再生紙を使ったものに変更しており、「今後、全社員の名刺をPaperLabで作った再生紙を使用したものへと変更していく」という。

 東京・新宿のミライナタワーにあるセイコーエプソン<6724>の新宿ミライナオフィス内に、PaperLab A-8000を設置。デモストレーションができるようにしているほか、ここで再生した紙を、同社社員の名刺などに使用する予定だ。

 ちなみにPaperLab A-8000は使用済みの紙を投入してから、約3分で1枚目の新たな紙を生産。A4用紙であれば、1時間あたり約720枚を生産できるという。

 「繊維化、結合、成形といった各工程において、エプソン<6724>独自の技術を採用している。機密文書などの使用済みの紙を、自社内で細長い繊維に分解し、情報を完全に抹消するため、シュレッダーには実現できない水準で情報漏えいを防ぐことができる。さらに新しい紙の調達や、使用済みの紙の処理にともなう輸送を減らすことで、CO2の削減に貢献できる」としている。

 環境配慮という点では、エプソン<6724>が強力に推進しているオフィス向けインクジェットプリンターも同様だとする。

オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
髪を繊維に戻してから紙にし直す
オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
シュレッダーと比べてもセキュリティーが高いことをうたう
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セイコーエプソン<6724>が掲げる環境ビジョン
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サンプル
オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
PaperLab A-8000で作った再生紙を使用した碓井社長の名刺

環境負荷の低減に製品でアプローチ

 「独自のマイクロピエゾ技術を採用したエプソン<6724>のインクジェットプリンターは、印字プロセスに熱を使わないため、ページプリンターに比べて圧倒的に消費電力が少なく、オフィスのランニングコストを抑制できる。また大容量インクタンク搭載プリンターを活用すれば、インクカートリッジ49個分が必要だった6000枚の印刷を、わずか4本のインクボトルでまかなえる。インク交換の回数を少なくすることは業務効率の向上にもつながる」とする。

 一般的なページプリンターが5.2kWhの消費電力であるのに対して、エプソン<6724>のインクジェットプリンターは0.6kWhと、約88%も低減。ページプリンターでは7万5000枚の印刷のために、52個のトナーカートリッジが必要であったものが、エプソン<6724>のインクジェットプリンターでは4本のインクパックだけで済む。

オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
環境負荷の低減もアピール
オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
エプソン<6724>のオフィス向けインクジェットプリンター「PX-S840X」

 「エプソン<6724>製品を使ってもらうことで、環境負荷を低減しながら経済発展を遂げられ、顧客と社会が持続的な成長を続けられる世の中を実現することができる」と語る。

 PaperLab A-8000はエプソン<6724>が提案する価値に賛同し、導入を検討しているペーパーラボプレミアムパートナー向けに、2016年12月から順次設置を開始し、それ以外の顧客に対しては2017年秋から販売を開始。受注生産とし、正式発注から約3ヵ月で納品する予定だ。

 ペーパーラボプレミアムパートナーには長野県塩尻市役所、カネカ<4118>住友理工<5191>、世田谷サービス公社、トランスコスモス<9715>八十二銀行<8359>東京センチュリー<8439>が参加し、導入を計画しているほか、諏訪市役所、北九州市役所、東京海上日動、みずほ<8411>銀行などが同パートナーとして導入を検討している。PaperLab A-8000の活用をもとに、実使用データやアイデアを提供。今後、商品価値の向上へと反映させる。

 「オフィスで使い終わったコピー用紙を、将来を担う子供たちの折り紙やノートブックに変える。PaperLabのユーザーが持つ願いや創造力により、紙による豊かなコミュニケーションを生み出し、世の中をよりよいものに変えていくことが可能である」と碓井社長。

 紙の使用を削減することが必ずしも最適解ではないとするエプソン<6724>は、紙の文化と真剣に向き合い、環境負荷の低減に取り組んでいる。

オフィスで再生紙作れる「PaperLab」は紙文化を変えられるか
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    最終更新: 2016年12月20日(火)09時00分

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