インテルはPC事業主軸をやめてスマートデバイスを提供する

アスキー 2016年12月27日(火)09時00分配信

 米インテルは、2016年4月に、大規模な方針転換を発表した。

 新たな方針では、これまでのPCを主軸とした事業体制から、データセンターおよびIoTなどの分野へとシフトする姿勢を打ち出す一方、従業員の11%に相当する1万2000人を削減することも発表した。

 インテルのブライアン・クルザニッチCEOは「インテルはPCに主軸を置いた企業から、クラウドや数10億台のネット対応スマートデバイスを提供する企業へと進化していく」と発言。新たに一歩を踏み出したことを示している。

 これを補足するように、インテルの江田麻季子社長は「インテルは『PC一本足打法』から脱却し、様々なハードウェアを組み合わせた価値を提供していくことになる」と語る。

 この方針をわかりやすく示したのが「戦略的サイクル」という図だ。これは社内では「好循環のサイクル」とも呼ばれている。

インテルはPC事業主軸をやめてスマートデバイスを提供する
インテルが示す戦略的サイクル

 この図ではPCやウェアラブル、クルマ、製造機器といった各種デバイスがネットワークに接続し、ここから発生する新たなデータが、クラウド&データセンターに集まり、新たな知見を生み、それを活用するために各種デバイスを利用。このデバイスからまた新たなデータが発信され、クラウド&データセンターへの要求がさらに高まるというサイクルを指す。このサイクルを高速に、効率的に回すことで、インテルはさらに成長していくというわけだ。

 そして、このサイクルを回すためにはネットワークが重要であり、そのためにインテルは5Gのような次世代の通信技術に対して積極的に投資をする。またメモリーとFPGAも、戦略的サイクルを高速で回転させるためのアクセラレータの役割を果たすと位置づける。2015年12月にアルテラを買収し、FPGAをインテルの製品ポートフォリオに加え、メモリー事業に再参入したのも、PCに主軸を置いた企業から脱皮したインテルの成長にとっては、メモリーが不可欠な要素だと判断したからだ。

 「この戦略的サイクルをポジティブに、好循環に動かすことで、成長していくのがインテルの基本的な姿勢である」と、インテルの江田麻季子社長は語る。

 インテルの今後の方向性を示す言葉として、インテルの江田社長は「データ・カンパニー」という言葉を用いる。

 「これからのインテルはデータを作る『デバイス』、データを運ぶ『ネットワーク』、データを解析する『クラウド/データセンター』のすべてに関わることになる。データを生み出して、送り、分析するサイクルに関わる会社がインテルである」と、その理由を語る。

 ただ、これはいまに始まったことではない。振り返ってみれば、インテルは数年前からクラウド、IoT、データセンターといった領域にフォーカスし、事業展開を進めてきた。これをより明確な形で方針として打ち出し、そこにシフトしたのが、2016年だったというわけだ。

今後の注力領域は日本にとって大きなチャンス

 インテルでは、今後の注力領域として、自動運転、AI/機械学習、IoT、5G、VR/ゲーム/e-Sportsの5つの領域をあげる。

インテルはPC事業主軸をやめてスマートデバイスを提供する

 自動運転では、車載コンピューティングやヒューマン<2415>・マシンインターフェースなどの開発のほか、BMWおよびMobileyeとの協業、アリゾナのインテルの研究拠点における技術を活用した自動運転車の研究に取り組んでいることなどを示す。

 またAIについては2016年11月に、インテルとしての戦略を発表。オープンフレームワークを提供し、多くの人が参加できるような環境を作るとともに、日本においても、AIの専門知識を持った人材の配置することを明らかにした。

 IoTでは、ヘルスケア分野や小売業、電力業界などにおいて、インテルの知見を活用した事例が出ていることを示したほか、5Gでは、2020年の商用化を目指して、NTTドコモ<9437>と協業していることや、自動運転の実現においても重要なインフラになることに言及しながら、インテルの戦略サイクルをまわすために重要な投資になると位置づけた。

 そして、VR/ゲーム/e-Sportsでは、インテルの技術を活用することで、臨場感があるVRゲームなどの広がりを支援することができると語る。

 インテルの江田社長は「インテルの5つの注力領域という観点から見ても、日本法人にとっては、これから大きなチャンスがあると考えている」と語る。「日本は課題先進国であるとともに、インテルが今後注力する自動運転、AI/機械学習、IoT、5G、VR/ゲーム/e-Sportsの5つの領域の要素やインフラが揃っている数少ない国のひとつ。また、日本は優れた技術を持ったパートナーも存在する。インテルのハードウェアがさまざまな場面で活用されることによって創出される価値を、日本から発信したい。新たな使い方を提案すること、そして日本のパートナーを巻き込んだ新たにビジネスモデルを作り上げることが、インテルの収益につながる」と語る。

 インテルは、2017年1月1日付けで、35年の歴史を持つ、つくば本社を東京本社に統合する模様であり、新たな体制で一歩を踏み出すことになる。

 2017年は、新たなインテルの姿がより表面化する1年になりそうだ。

アスキー
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    最終更新: 2016年12月27日(火)09時00分

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