富士通PCのレノボ統合は秒読みか、PC事業に求める甘えからの脱皮

アスキー 2017年01月06日(金)13時30分配信

IoT、AI、クラウド、セキュリティーに集中投資する富士通<6702>

 富士通<6702>のPC事業が、レノボグループに統合される方向で検討が進められている。

 レノボグループと、富士通<6702>および富士通<6702>クライアントコンピューティングは、2016年10月27日付けで「富士通<6702>およびレノボによるPC事業における戦略的提携の検討」と題したニュースリリースを発表。グローバル市場に向けたPCの研究、開発、設計、製造に関する戦略的な提携について検討を進めていることを明らかにした。

 リリースでは「本戦略的提携は、富士通<6702>のグローバル販売力、お客様サポート力、開発および製造能力と、レノボの卓越したオペレーションを融合し、ダイナミックなグローバル市場で戦うための成功モデルを目指す」としているほか、「富士通<6702>はこれまでと変わりなく、高品質かつ革新的で信頼性の高い富士通<6702>ブランドのPC製品とアフターサービスを、世界中の顧客や販売パートナーに提供する」としている。

 富士通<6702>は2016年2月1日にPC事業を分社化して富士通<6702>クライアントコンピューティングを設立。レノボグループとの統合は、同社および同社傘下の製造拠点やサポート拠点などが含まれる。また、今回の戦略的提携については、日本政策投資銀行が財務面および戦略面で支援することについても協議を進めていくことを明らかにしている。

 富士通<6702>では、クラウドをはじめとするサービス事業や、メインフレームやサーバー、ネットワーク機器を含むシステムプラットフォーム事業で構成される「テクノロジーソリューション」をコア事業と位置づける。一方、PC事業や携帯電話事業で構成される「ユビキタスソリューション」をコア事業から外している。

 ではなぜテクノロジーソリューションをコア事業に据え、ユビキタスリソリューションをコア事業から外したのだろうか。

 富士通<6702>の田中達也社長は「富士通<6702>はメインフレームやシステムインテグレーション、ネットワーク、半導体、PC、携帯電話など、さまざまな事業をやってきた経験がある。それによって幅広い取り組みが可能になり、製品やサービスを垂直統合の形で、総合的に提供できた。かつては総合的な価値、総合的な提案が求められる時代でもあり、顧客から見れば『富士通<6702>に頼めばなんでもやってくれる』ことが最適解でもあった」と前置きする。

 「だがこれだけグローバル競争が激しくなり、サービスが重視されるなかで、果たして富士通<6702>は『なんでも屋』でいいのかという疑問が出てきた。むしろ、それぞれの事業において過去にいいものがあったとしても、新たな時代に向けて実際に形を変えていかないと、富士通<6702>は顧客の要求に対応できなくなる。一方で、デジタルテクノロジーの進化により、データがすべての機軸となり、社会やビジネスの変革をもたらしている。これからの世の中で最も重視される『データ』を中心に考えたときに、ビッグデータを中心とした『つながるサービス』を作っていくことが大切である。データが入ってきて、それをセンターで蓄え、分析し、顧客に価値を戻していくことを、富士通<6702>の事業の中心に据えるべきだと判断した」と語る。

 ここに、テクノロジーソリューションをコア事業に据えた理由がある。

 「IoTは、顧客のビジネス現場から大量のデータを集めるための手段であり、富士通<6702>はあらゆる業種の有力企業とのアライアンスにより、データを集める間口を広げる。そこで収集したデータを、業種、業務の知と知をつなげるAIによって解析し、顧客が持つ業務アプリケーションや知的作業を、高度化、自動化していくことになる。さらにこれらをつなげるため、オープンソース応用技術<4356>を取り入れた強固なクラウド環境を実現するMetaArcを活用。マルチクラウド上で動作させ、デジタルサービスの運用を支える。そして、これらの根幹を担うのがセキュリティーであり、顧客の事業や社会全体をサイバー攻撃のリスクから守る。この実現のために富士通<6702>はIoT、AI、クラウド、セキュリティーに集中的に投資。M&Aも主要な手法として活用していく」などと語る。

PC事業の甘えを指摘

 富士通<6702>の田中社長は構造改革への取り組みとして、事業部門の改革、デジタル革新、お客様フロント改革という3つを掲げており、2017年度までは「形を変える」取り組みを重視。2016年度からは並行する形で「質を変える」変革に取り組んでいる。

 「形を変える」では、ビジネスモデル変革を継続。事業形態最適化のさらなる追求と、グローバルフロントの強化が課題であり、一方で「質を変える」では、先端テクノロジーの開発やサービス基盤の強化、デジタルソリューションの拡充を進め、つながるサービスへの投資集中、社内実践によるサービスの飛躍的向上に取り組むことをあげる。

 ユビキタスソリューションの再編は、「形を変える」という観点での象徴的な取り組みであり、PC事業のレノボグループとの統合は、その最たるものだといえる。

富士通PCのレノボ統合は秒読みか、PC事業に求める甘えからの脱皮

 田中社長はPC事業に関して「高い信頼性を持ち、新たな技術にも挑戦するという意味からも、もともと非常にいいものを持っていることは理解している。PC事業で培ったブランドも大事にしたい」としながらも、「PC事業にはひとつの事業体としては利益があがらなくてもいいという発想からは決別し、独自に利益を追求し、独自の強さをきちっと追求してもらいたい」と同事業が持つ甘えの構造からの脱皮を求めながら、「独立した環境のなかで新たなアイデアを創出し、富士通<6702>のコア事業とのシナジーを発揮できるものがあれば、連携によって強さを発揮すればいい。独立した立場から自分たちの事業をもう一度見直してほしい」とする。

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 そして「コモディティー化が進展した市場環境のなかで強くなるためには、さまざまな検討をし、いまある課題を打開する道筋を探っている」と語りながら、「まずは部品の調達価格から改善する必要がある。その点で、レノボグループが持つ調達力は魅力。これまでとは違う形で体質を強化することで、富士通<6702>のコア事業とのシナジーを高める方向を模索したい」とする。

 レノボグループとの協議内容については「現時点では具体的なことは言えない」とするが、「富士通<6702>、レノボのそれぞれの強みを生かし、PC事業の強化を図る。一番いい形を模索している」と語る。

 富士通<6702>のPC事業は2017年には、レノボグループと統合することは、高い確率で実行されることになりそうだ。その動きのなかで、2011年にレノボグループ入りしたNEC<6701>パーソナルコンピュータとの間に発生する製品ラインアップや生産体制、サポート体制の重複部分について、どう統合、再編するのかも気になるところだ。また、国内シェアで45%以上となる3社連合の市場への影響力の強さにも注目が集まる。

 レノボ、NEC<6701>パーソナルコンピュータ、富士通<6702>クライアントコンピューティングの動きから目が離せない2017年になりそうだ。

アスキー
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    最終更新: 2017年01月06日(金)13時30分

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