中古に信用のなかった中国で、2017年はPCやスマホの中古サービスが盛り上がる!?

アスキー 2017年01月12日(木)12時00分配信
山谷連載
愛回収のスタンド

 中国の大都市のショッピングセンターなどでスマートフォンやパソコンを回収するスタンドを見るようになった。

 名前は「愛回収」。読んで字のごとく“回収を愛する”という意味合いのスタンドがあり、そこにはスタッフらしき人が立っている。

 ただ回収するだけでなく、スタッフがスマホやパソコンやスマートウォッチなどを査定して、新品同様のものは高額で買い取ってくれる。スタンドの「店頭買取」が愛回収の買取の半数以上を占めるが、出張買取やネットでの直接買取も行なっている。

デジタルガジェットの買い取りサービスが
盛り上がりを見せる中国

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買取が多い機種

 この利用者がなかなか多い。北京、上海、広州、深セン、杭州、成都など十数都市で150ヵ所程度の買い取りスペースがあり、2016年の買い取り台数は500万台を超え、しかも2015年と比べて倍以上の買い取り台数と急増している。この数字は、日本の定番の中古チェーン店と比べても決して少なくはないのではないか。

 これまでに延べ約2615万ユーザーが買い取りを利用した。2016年の同社のメーカー別買い取り端末数では、小米(シャオミ)が108万9000台、アップルが105万8000台、サムスンが64万7000台、ファーウェイが42万3000台、魅族(Meizu)が19万1000台となっている。

 また機種別買い取り数では、「iPhone 5s」が20万9000台となるのを筆頭に、「iPhone 6」が13万9000台、「小米(シャオミ)3」が13万4000台、「小米4」が13万1000台、小米の低価格ブランドの「紅米Note」が11万3000台といった具合になっている。

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「痕跡」と「傷」で4段階に製品を評価
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愛回収で買取価格チェック。買取価格チェックは中国向けか輸入品かエンジニアサンプルかなどまで設定する

 もちろん、完動品や美品でなくても減額こそされるが買い取ってもらえるし、結構前の製品でも買い取ってもらえる。たとえば中国の都市部でかつて大ブレイクした「PSP」も一定数の買い取りがある。

 では、買い取った製品をどうするかというのは気になるところ。商品価値のある、比較的新しく状態のよい製品は、口袋優品のサイトで販売される。

 7日内なら理由なしで返品でき、180日以内でも指定範囲内での無料修理に対応するので安心して購入ができる。

 スマホにしてもパソコンにしても売れ筋の商品しかなく、マニアックな製品が置かれてないのが残念なところ。もう少し古い製品は口袋優品では販売されず、信頼できる会社に依頼して、農村市場や新興国などに流すという。

 どうにも動かない製品や古すぎる製品については、リサイクル処理される。いずれにしろ最近中国では個人情報漏洩にうるさくなってきているので、がっつりとデータ消去も行なう(ただ中国では組織が大きくなると、だいたいにして悪いスタッフが何かやらかして問題が起きがちなので、今後はそうしたニュースがおこるかもしれない)。

これまでの中国では中古販売は成立しなかった

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自己責任でリスキーな中古市場

 今まで中国でまともなPCスマホの中古販売・買取店は存在してなかったといっていい。

 少なくとも筆者は長くウォッチしてきたが知らない。つまりPCやスマホを買い取ってもらったり、中古を購入するという習慣は多くの人にはない。

 ジャンク屋とも泥棒市場ともいえるような個人商店や、「淘宝網」(Taobao)などのサイトで中古商品を出品する人もいる。

 不良品や盗難品を販売しているだろうという認識から、これまで中古市場は未開拓の「ブルーオーシャン」の1つでありながら、誰も手をつけない領域だった。

 日本でソフマップやじゃんぱら、最近ではツタヤやGEOやブックオフ<3313>などが中古販売や買取を行なえたのは、中古でもちゃんとチェックして商品として成り立つだろうという、消費者の信頼を得ているからだと中国から見て思う。

信頼と提携を武器に中古市場を開拓

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中古販売はアップルほか中華スマホが多い

 そんな不毛の中国中古市場を突然「愛回収」が変えているのはなぜなのか。

 2016年、愛回収をよく見るようになったが、それ以前から低空飛行ながらサービスをひっそりと行なっていた。

 2013年にはECサイトとしてまずまず有名な「1号店」と提携の後、2014年には家電製品販売から拡大していったECサイト大手の「京東(jd.com)」と提携、2015年には小米(シャオミ)やサムスンと提携した。

 メーカーによる提携により、中古で販売されるそのメーカーの中古製品の信頼があがるし、また京東はアリババ系の「天猫」同様、信頼ある=騙されないECサイトを目指している。

 著名ECサイトやメーカーと提携し、これまでに欠けていた中古製品の信頼を獲得していく。リアルでは、各都市で人々の移動の導線に愛回収のスタンドを置くことで、愛回収の認知度を高めていった。

 また、愛回収に将来性を感じた企業が愛回収に投資、その資金をもとに事業スピードを加速させている。

 愛回収のユーザーデータを見てみれば、買い取りの利用者はこれまでの中古市場の悪いうわさをあまり聞かなかったり、中古市場にトラウマのない、20代に集中(46%)している。その世代やその下の世代が口コミを通じて中古を受け入れる文化を徐々に作るのではないか。

中国では今後中古市場がますます加速する!?

 多くの中国人がスマホを所有する現在でも、年間1億台のスマホが中国で売れる。つまり毎年1億台が廃棄される可能性があるのだが、電子機器回収率は2%ともいわれており、リサイクルは不十分だ。筆者自体も愛回収以外では、リサイクルボックスは見たことがないし、どこで「正しく」廃棄していいか知らない(違法回収業者は電脳街で見かける)。

 愛回収はまだ大都市での普及がはじまろうとしている段階といってよく、これからより利用されるだろうし、その先にはさらに大きな地方都市市場がある。

 また愛回収が進出する前に、「これはおいしいビジネスだ」とばかりに、愛回収を模倣したサービスが出てきてもおかしくない。そうなれば一層中古市場浸透が加速するだろう。


アスキー
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    最終更新: 2017年01月12日(木)12時00分

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