お小遣いあるイマドキの若者が変える!? 中国の最新サブカル事情を分析する

アスキー 2017年04月20日(木)12時00分配信
山谷連載
アニメグッズなどを扱う広州の「動漫星城」の入口

 中国の内陸にいる、筆者が昔から知っている中国人の子供(中学生)が日本語で話しかけてきた。

 アニメ「銀魂」にハマったことがきっかけで、日本語を勉強しはじめたのだという。

 一方で今、中国の小学生の子供の中には「ドラえもんを知らない、見たことがない」という子供も出てきている。

 中国の都市部ではスマートフォン普及まで、ゲームといえばPS2やPSPが広く普及していたが、今は誰もがスマートフォンで遊び、かつて遊んでいた日本のゲームには目もくれない。

 一方で当連載で過去に紹介した中国発の和風RPG「陰陽師」は、中国人の間で著名な日本の声優をフル出演させたことで、日本のアニメゲームファンの間でブレイクし、さらに日本に関心のない人々にまで人気が拡大した。

 中国で人気のこの手のサブカルは、ドラえもんやPSPに依存してきた数年前と異なるようだ。中国のサブカル事情はどうなっているのか、改めて分析してみよう。

サブカル系ショップでは女性に姿が目立つ

 中国ではPCショップが集中する場所があり、モバイルショップが集中する場所がある。これと同様に、アニメグッズや家庭用ゲーム機を扱う店が集中する場所が大都市にある。

 たとえば、北京であれば「崇文門」の「SOSHOW動慢城」、上海では「老西門」、広州では「公園前」の「動漫星城」などが挙げられる。

 そこでは正規版輸入ゲーム、フィギュア、プラモデル、中文サブカル専門雑誌、小説、同人誌、コミック、缶バッチや抱き枕などのファングッズ、コスプレ用衣装などが売られている。女性が全体の半数か、それ以上かと思えるほど女性が多い。

 コスプレグッズは数年前にはそれほど売られていなかった。コスプレはかつては自作、もしくは街頭の小さな店に発注するものだったが、最近では当たり前のように商品として買われるようになり、取り扱う店も大幅に増えた。

 これは中国の若者の懐事情が数年前の若者と異なりよくなったのが原因で、今のサブカルファンは、当たり前のようにお小遣いでコスプレ用衣装ほか、さまざまなグッズを買う(買える)ようになった。

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サブカルショップ街では日本らしいものを売る店も
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子供もフィギュアを買いに来る

 日本のもので特に売られているのは、「ラブライブ!」のフィギュアなどのグッズ、「初音ミク」のフィギュアやファンブック、それにガンプラだ(もっともガンプラがヘビーな日本サブカルファン向けかというと微妙で一般向けとも)。

 ラブライブ!以降のコンテンツはグッズはいろいろあるものの、一部の店で点々と扱っている程度であり、ラブライブ!以降、それ並みにブレイクしたコンテンツはないようだ。

ファンの要望で内容を変える小説家も……

 中国系コンテンツも目立つようになった。サブカルショップでも本を中心に販売する店では、漫画やライトノベル(軽小説)で地場中国コンテンツが目立つ。

 ラノベは中国でのKADOKAWAと地場企業の合弁会社「天聞角川」などが出版しているが、2016年の売上がよかったものでは「ソードアート・オンライン(シリーズ累計で300万部)」や「Re:ゼロから始める異世界生活」といった日本のコンテンツに加え、中国産コンテンツのオンラインゲームのプロゲーマーの戦いを描いた「全職高手(マスターオブスキル )」という作品が人気だ。

 また漫画でも、壇九氏が描く百合の要素が入った学園生活「SQ」など、さまざまな中国のタイトルが人気になりつつある。

 天聞角川に聞くと、日本発のラノベの翻訳中文版は男性に人気で、中国のオリジナルタイトルは中高生から大学生くらいの女性に人気だとか。

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書籍の電子化が非常に進んでいる中国だが、紙の本を求める人もいる

 中国ではオンライン小説は一定の人気がある。無名のオンライン小説でも面白ければ、それを気に入ったイラストレーターが自ら挙手をして挿絵を描き、作品が膨らみ、さらにファンを取り込んでいく環境ができている。

 オンライン小説サイトでの掲載も注目を集めるが、むしろ作者がブログや「微博」(Weibo)、「微信」(WeChat)などのSNSに作品を掲載してファンを集め、やがて作者がアイドル的な存在となり、ファンを増やし、信頼関係を構築していく。

 作品が人気になれば有料購読による収入や、電子マネーを活用したファンからの「お布施」が作者へと入る。そのため、お布施をするファンの声に従い、作者がストーリーをころころと変えていくという現象がしばしば発生する。

 オンライン小説を作って膨らます土壌があるように、中国では全土で無数の数えられないほどのイベントがある。動画ライブ配信も2016年から普及し、自己アピールする場が増え、アニソンやダンスなどをアピールし、ファンを集めることで、電子マネーでの投げ銭を受け入れる体制ができている。

 リアルでのイベントの繰り返しによる経験値上昇と、ITサービスの登場で、自己表現の場が増えた。

 以前は「サブカルはお金のない学生の趣味で、大学を卒業し社会人になれば、お金があるので消費する趣味に走る」という状態だったが、今はサブカルファンの年齢層は広がり、自らサブカル関連の会社を立ち上げる人も少なくない。

 日本の残り香のあるコンテンツを作る会社の社長は、20台後半から30台前半が多く、金と人を使って昔ながらの作りたいコンテンツを作っていく。

 中国で一般層まで巻き込んでヒットしたゲーム「陰陽師」は、中国人の作り手が若いころにはまった日本の声優をふんだんに使ったことが大ヒットの背景にある。

 加えて今、サブカル産業は、動画サイトなどによる高額な支払いによるコンテンツ配信権の取得のほか、業界への余剰金の投資(一過性の可能性がある)により金が動くので、サブカル会社を立ち上げれば儲かるという打算がある。

 もっとも、ユーザーの間で「コンテンツは無料」の概念が残る中国では、テキストだろうが漫画だろうが動画だろうが、プラットホーム配信側はあまり儲からないという状況で、他所からの投資で事業が成り立っている状況だ。

 経済が悪化したり、サブカルへの投資ブームが引けば、サブカル産業は打撃を受けるので、「投資ブームが終わる前に買ってもらおう」というチキンレースの様相もある。

イベントは単価、来客数ともに盛況

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中国ではさまざまなイベントが各地で行なわれる

 投資金額に比べれば小さいが、以前に比べてサブカルファンが金を持っているのは救いだ。入場料が1000円前後かかるイベントに大量に押し寄せる。

 2016年は杭州のイベントで138万人を動員したほか、広州の「CICF」というイベントで6日間で延べ22万5000人、上海の「CCG EXPO」というイベントで6日間で延べ20万人を動員した。

 加えて、中国全土で無数のイベントがあるのは前述したとおりだ。そうした場所や出版社のオフィシャルサイトのショップチャンネルでフィギュアなど、さまざまなファングッズが売れていく。

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陰陽師のファンイベントで「恋ダンス」を踊る人たち

 現状から察するに、中国ではアニメであれゲームであれ日本のコンテンツが引き続き注目を浴び、並行して日本テイストの中国発の作品と、純粋に中国らしい作品が出てくる。そして、それぞれにファンがつき、ファン同士が最新のネットプラットフォームで繋がるだろう。コスプレをする、踊る、アニソンを歌う、イラストを描くなどといった自己表現も評価される場が広がりそうだ。

 天聞角川は「今、中国のサブカル文化はカジュアルに膨れている。換言すれば、オタクのアイデンティティーが認められている状況だ。そしておそらく日本人が思う以上に夢があふれている」という。

 また「ファンは純粋にコンテンツを楽しんでいて、イベントなどでもコンテンツを楽しんでいる感がすごく伝わってくる。高校でもアニメサークルがあり、独自のイベントをする、それくらい裾野が広がっていて、携わっている立場としても中国サブカル産業の未来は明るいように思う」と語ってくれた。


アスキー
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    最終更新: 2017年04月20日(木)12時00分

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