Ryzen 3は7月、Threadripperは8月出荷 AMD CPUロードマップ

アスキー 2017年06月19日(月)12時00分配信

 前回はひさびさにインテルのデスクトップ向けプロセッサーのロードマップを更新したので、今週はAMDのロードマップをお届けしよう。

 実はこの連載、ここ半年くらいの間Zenコアを中心にいろいろ情報をお伝えしてきたものの、ロードマップそのものは昨年6月の連載362回が最後だったりする。要するにCPUのラインナップにほとんど変化がなかったという話であるが、やっとここにきてキチンと製品が出てくるようになったのはまずは喜ばしいところである。

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
2012年~2017年のAMDプロセッサー ロードマップ

Ryzen 7とRyzen 5が発売
Ryzen 3は7月に投入

 というわけで、過去1年分のアップデートを含めてVishera/Kaveri世代からあらためてロードマップを更新した。このうちVisheraベースのAMD FXシリーズは、最初に投入されたのは2012年10月なので、そこからほぼ4年半の間ハイエンドデスクトップ向けに君臨してきたというか、無理矢理君臨させられてきたというか、まぁご苦労様という感じであった。

 Ryzen 7が投入される今年3月まではがんばってハイエンドのポジションを守ってきたわけだが、消費電力はハイエンドという観点でもすこぶる問題が多かったのはご存知の通り。やっとこれでVisheraコアも引退できることになった。

 それに比べると、もうしばらくの間がんばらねばならないのがKaveri/GodavariのAPUである。Godavariまでは前々回のロードマップで説明したので詳細は割愛するが、肩透かしだったのは2016年9月に発表されたBristol Ridge。10月にはジサトラハッチが実物まで入手したはいいが、「残念ながら対応するマザーボードがないため、今回は検証できず」のまま続報がない。

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
編集部が入手した「Bristol Ridge」。対応マザーがなく検証できずにいたら、AMDに回収されてしまった

 こちらは最終的にOEM向け専用のまま終わってしまい、ついにリテール(つまり店頭向け)チャネルには流れずに終わるようで、自作ユーザーからすれば幻のCPU扱いにほぼなりつつある。

 したがって、グラフィックス統合が必要な場合は、いまだにSocket FM2とKaveri/Godavariコアが唯一の組み合わせとなっている。この話はまた後でするとして、Zen世代に話を移そう。まず今年2月にRyzen 7が発表された

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
Ryzenの量産モデルを披露するリサ・スーCEO

 発売当初はCPUとマザーボードのどちらも奪い合いに近い品薄状態だったものの、発売から3ヵ月経った現在ではRyzen 7の3モデルはいずれも普通に入手できるようになった。マザーボードも各社からゲーミング~バリューモデルまで幅広くラインナップされ、もう入手性に悩む心配はなくなった。

 これに続き4月11日にはRyzen 5も深夜発売がまず敢行され、深夜販売時には発売が延期になったRyzen 5 1400/1500Xも4月15日に発売されている。こちらも当初こそ品薄だったもの、今では普通に入手できるようになっている。

 ちなみに6月15日におけるAmazonでの価格は以下のようになっており、当初のご祝儀相場も一段落した感じになった。

 ここからは今後の話である。まず一番最初に出てくると予想されているのが、Ryzen 3である。これは以前から発表のあった製品で、今年第3四半期(7月~9月)に投入予定である。現時点での正確な日付はまだ不明だが、早ければ7月中には投入されると見られる。このRyzen 3は現在のところ以下の3つのSKUがあるらしいことが伝わってきている。

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Ryzen 3の登場時期は今年第3四半期という話はこれまでも繰り返されてきた。Socket AM4マザーもさまざまなものが出ているため、あとはCPUだけ出せば済むわけで、スケジュールはかなり自由度が高い。あとは市場の動向を見ながら調整、というあたりに思える

(*) XFR:Extended Frequency Rangeの略。CPU温度に応じて、さらに電圧と動作周波数を増加させる自動オーバークロック機能。

 ちなみに価格は、これも確定したものではないのだが、Ryzen 3 1200Xで149ドル、Ryzen 3 1100で129ドルという話が聞こえてきている。このあたりはインテルのKaby Lake世代のCore i3にあわせてきた感じが非常に強い。

 KabyLake世代のCore i3の場合、ハイエンドのCore i3-7350K(4.2GHz駆動)が168~179ドル、Core i3-7300(4GHz駆動)で138~147ドル、ローエンドのCore i3-7100(3.9GHz駆動)で117ドルという価格になっている(いずれもark.intel.com調べ)。

 動作周波数で考えるとRyzen 3の方がやや分が悪いことになるが、実際にはRyzen 3の方はいずれも4コア/4スレッド(Core i3は2コア/4スレッド)で、3次キャッシュは8MB(Core i3は3MBもしくは4MB)。

 しかもRyzen 3はすべて倍率アンロック(Core i3はi3-7350Kのみアンロック)という事情を考えると、実質的にはRyzen 3の方が性能が上な可能性は高い。CPU単体で見た場合、バリュー向けとしては非常に競争力の高い製品になりそうだ。

 ただ実はこのバリュー向けに関して言えば、どちらかというとシステム全体の価格も重視される。インテルの場合、性能はともかく一応GPUを内蔵しているため、ビデオカードなしでシステムが構築できるが、Ryzen 3では「今のところ」これは望めない。

 一番安いビデオカードを購入しても約5000円はするため、これを加味して考えるとコストパフォーマンスではややRyzen 3は分が悪い。

 また今のところRyzen 3はすべてTDPが65Wで、インテルのT型番付き(例えばCore i3-7100T)のような35W TDPの製品は存在しない。Ryzen 3では倍率アンロックを生かして、動作周波数を低く抑えれば擬似的に同じことは可能だろうが、35Wで抑えられるか明確ではない。したがって「低性能でもいいから省電力」という使い方でもやや厳しいところはあるだろう。

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
2012年~2017年のAMDプロセッサー ロードマップ

8月頃出荷予定のRyzen Threadripperは
まず16コアと12コアが投入されるはず

 Ryzen 3に続いて登場する予定なのが、Ryzen Threadripperである。Ryzen Threadripperの話は連載408回でも触れたが、予想通り2ダイのMCMパッケージになることがCOMPUTEXで確認された。

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
Ryzen Threadripperの概要。メモリーは4ch、PCI Expressはダイあたり32レーンで合計64レーンのお化けである

 内部構造は下図のようになると思われる。もっとも2ダイといいながら、パッケージそのものは4ダイのEPYCと同じSocket TR4を使っており、これもあってX399マザーボードを見るとそのソケットの存在感がものすごい。このRyzen ThreadRipperは、今年8月頃に出荷開始されると思われる。

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Ryzen Threadripperの内部予想図
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Ryzen Threadripperのダイ。物理的にはEPYCと同じSocket TR4(AMDはこれをSR3と呼んでいた)が、ThreadRipperはSR4 Rev.2という仕様で、電気的には互換性がないそうである
Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
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COMPUTEX TAIPEI 2017で展示されていたX399マザーボード。ソケットの存在感がものすごい!
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Ryzen Threadripperの登場は夏。夏がいつか? というのが次の問題。筆者は8月と予測しているが、案外7月末あたりという可能性もあるかもしれない

 次の疑問は、Ryzen ThreadRipperがどんなSKUが予定されているかである。聞こえてくる話では、以下の9製品が当初考えられていたらしい。

(*) XFR:Extended Frequency Rangeの略。CPU温度に応じて、さらに電圧と動作周波数を増加させる自動オーバークロック機能。

 とはいえ、これは数が多すぎる気がする。COMPUTEXの折に、ThreadripperのVariants(派生型)はRyzenと同じ程度という発言もあった。ここで言うVariantはコア数のことで、例えばRyzen 7なら8コアと6コア、Ryzen 5なら6コアと4コアというわけだ。

 実のところ上のリストのうち、14コア/28スレッドと10コア/20スレッドは、技術的には可能ではあるが、果たしてこれを当初からリリースするのか? と問われるとやや怪しい気がする。おそらく発売時点では16コア/32スレッドの製品と、12コア/24スレッドの製品だけになりそうで、10/14コアの製品に関しては市場の動向を見ながら、必要なら追加すると思われる。

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2012年~2017年のAMDプロセッサー ロードマップ

Ryzenのダイを半分にする代わりに
VegaベースのGPUを搭載するRaven Ridge

 Ryzen Threadripperに続き、第4四半期頃に予定されているのがRaven Ridgeである。COMPUTEXではRyzen Mobileとして紹介されたが、デスクトップ向けにSocket AM4のパッケージもほぼ同時期に提供されるとしている。

 こちらのコアは、CPUコアは4つで、つまりもともとのRyzenのダイの半分(Core Complexが1つ)になるが、その代わりVegaのGPUコアが統合される形になる。要するにKaveri/Godavari/Bristol Ridgeの後継となるAPUである。

 これに関しては登場時期も明らかではないし、まだOEMメーカーに対してAMDも具体的なSKUを提示していないようで、具体的なモデルナンバーと動作周波数は伝わってこない。ただRaven Ridgeの世代では今のところCPUは4コアのモデルのみで、あとはGPUの側が何種類あるか、という程度の違いでしかないらしい。

 何種類、というのはシェーダーをどれだけ搭載するかという話である。下の画像はTDPが15Wというモバイル向けに向けたSKU用のサンプルだそうだが、デスクトップ向けならTDPが65Wあたりが普通で、場合によっては95Wでも許容される。

 そうなると動作周波数を引き上げるのみならず、シェーダーの数を増やすことも容易だからだ。ただコストを考えると、あまり大きなダイサイズにするのも厳しいわけで、むしろこちらでシェーダーの数が決まりそうである。

Ryzen Threadripper AMD CPUロードマップ
モバイル向けのBGAパッケージのエンジニアリングサンプル。ただダイそのものはRaven Ridgeも共通「かもしれない」

 ちなみにモデルナンバーであるが、連載397回でも解説した通り、グラフィックス統合製品は末尾にGが付くので、例えば「Ryzen 5 1450G」という感じになるはずだ。実際にはRyzen 7グレードのRaven Ridgeは今のところ考えていないようで、まずはRyzen 5およびRyzen 3に向けてラインナップが展開されることになると思われる。

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モデルナンバーのネーミングルール。末尾の型番を見るだけで、今後の製品展開がわかる感じだ

 ちなみに2018年以降に関してもいろいろ話が聞こえてくるが、これはGlobalfoundriesのプロセスの動向とも絡んでくる。なのでこちらは回を改めてまた解説したい。

アスキー
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    最終更新: 2017年06月19日(月)12時00分

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