1年後でも放電率10%! 安全性の優れたリチウムセラミックバッテリー「お父さんバッテリータグ」を試す

アスキー 2017年10月11日(水)12時00分配信
T教授
日常使いのカバンのネームタグとして使えるモバイルバッテリーは本邦初かも……

 昨今のスマホやタブレットの急激な拡大普及の中で、モバイルバッテリーはUSB/ACアダプターや充電ケーブルと並び、多くのユーザーが最も必要と考えているオプションの代表だ。

 単3乾電池や9Vの角型バッテリーで動作する軽微なモノから、モバイルPCなどでの使用実績のあるリチウムイオンバッテリーセルを利用したメインラインまで、その市場規模は膨大だ。

 地球上の全人類が使うであろう先端テクノロジーを取り込んだスマホの短期開発競争は、モバイルパソコンの時代とは比較にならないほどの市場規模と経済効果をもたらしている。そしてそれらに内蔵されたバッテリーは、よりよい安全性を求められる時代を迎えている。

安全性に優れた「お父さんバッテリータグ」

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さまざまなモバイル(中には携帯したくないサイズも)バッテリーの中にあっても、中央のお父さんバッテリータグのイメージは異色だ

 今年の夏、ソフトバンク<9984> コマース&サービスは、従来のリチウムイオンバッテリーに比べて安全性に優れた次世代のリチウムセラミックバッテリーを利用したネームタグ型モバイルバッテリーである「お父さんバッテリータグ」を発表した。

 今ではバッテリー市場の大半を占有しているテクノロジーであるリチウムイオンバッテリーは、使用環境の変化による故障や経年劣化などにより、発火や発熱などが起こる可能性があるのは、昨今のテレビニュースなどでも頻繁に放映されているのでご存知の方も多いだろう。

 今回紹介するお父さんバッテリータグに採用された、通称「パワーリーフ」と呼ばれる「セラミックバッテリー」は曲げや衝撃にも強く、切断しても発火や液漏れが発生しない特性を持つ安全性に優れたバッテリーだ。

 そして、パワーリーフと名付けられたエレメントは極めて薄型・軽量で、自由な形に加工可能なフレキシブルさを特徴としている。

 そのため、従来のモバイルバッテリーのように大きくて重いといった欠点を解消した自由度の高いデザインや設計が可能なようだ。

 セラミックバッテリーのパワーリーフはソフトバンク<9984>が最大の株主である台湾のプロロジウムテクノロジーの開発したテクノロジー製品だ。

 ソフトバンク<9984> コマース&サービスは、「ソフトバンクセレクション」と呼ばれるモバイルアクセサリー事業を展開しており、今回のパワーリーフの応用製品であるお父さんバッテリータグも、バッテリージャンルでの差別化と新たなOEM事業の柱となるリファレンス製品だ。

残念ながら非売品……

 残念ながら現在の所、お父さんバッテリータグは市販製品ではないため、いくらお金を積んでもマーケットで購入することはできず、バッテリー好きである筆者は、友人を頼って評価用に入手できた次第だ。

 今回のお父さんバッテリータグの参入で、筆者のモバイルバッテリーコレクションはより幅の広いものになった。

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ブラックのシンプルなパッケージに入ってるブラックなお父さんバッテリータグ

 提供していただいたお父さんバッテリータグは、シックな黒いパッケージに入っている。現在の仕様や部品構成はあくまで他社がパワーリーフを使用して発売する商品のOEMサンプルとしての位置づけなので、今後登場するであろう他社ロゴの商品がどういう形になるかの予想は難しい。

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同梱物は左側の紙ものを除けば、お父さんバッテリータグとカバン取り付け用リング、チャージャーボックス、Lightning変換アダプターの4つだけだ

 現時点でのお父さんバッテリータグの内容物は、本体とカバン取り付け用リング、本体充電時に使用するチャージャーボックス、Lightning変換アダプター、黒いOEMプロモーションカード、A4表裏の取扱説明書の全部で6点だ。

 メーカーや温度などの環境条件によっても変化するが、一般的にリチウムイオンバッテリーの1ヵ月あたりの自己放電率は5%程度だと言われている。

 その数値は以前のバッテリーの主役であったニッカド電池やニッケル水素電池の自己放電率よりも大幅に低いと言われているが、今回のパワーリーフは1年後のバッテリー残量が90%というかなり特性の優れたバッテリーのようだ。

 しかし、今回は届いた時の実際の残量のいかんに関わらず、まずはフル充電してみようということで、実際にお父さんバッテリータグに充電してみた。

バッテリーへの充電はちょっと面倒かも

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お父さんバッテリータグのネジを取り外すと、ループベルトは手頃な長さの充電ケーブルとなる(中央)
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ネジを固定すると、誰がどこから見ても自然で普通のネームタグに見える

 充電方法は極めて簡単とは言い難いが、このお父さんバッテリータグを使用する事態や環境条件を想定してみれば、それほど大変な作業ではないだろう。

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USB充電ケーブルはネームタグのループベルトとして使えるように大きなサイズのマイナスネジで表裏が固定されている
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マイナスネジは世界中のコインで簡単に回して取り外せる

 まずカバンの持ち手などにお父さんバッテリータグを取り付けていたという前提で、タグのループ部分の大きなマイナスネジをコインなどで取り外す。

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まずはお父さんバッテリータグそのものに充電するために、付属のチャージャーボックスをネジ付けする
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チャージャーボックスを取り付けたお父さんバッテリータグに一般的なmicroUSBケーブルを使ってUSB/ACアダプターから充電する。満充電まで2時間半だ
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充電が終われば、先程取り外したお父さんバッテリータグのループの片側をタグにネジ止めする

 タグ本体だけになった時に、付属のチャージャーボックスをたった今取り外したネジを使用して固定する。

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ケーブルの先端のカバーを取り外せば、microUSBプラグが露出する
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microUSBポートを備えたスマホならそのまますぐに充電可能だ

 チャージャーボックスにはmicroUSBポートが付属しているので、ごく普通のUSBモバイルバッテリーと同様、USB/ACアダプターを使用して壁面のコンセントから充電を行なう。ゼロからのフル充電には約2時間半ほどが必要だった。

 そしてスマホへの給電(充電)の時は、ネームタグのループとして標準的に付属しているケーブルの先のキャップを取り外すと、microUSBプラグが露出するので、スマホの充電ポートに挿入して充電する。

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iPhone系に充電の際は、付属のLightning変換アダプターをブリッジして充電する

 一般的なAndroidスマホに充電する場合はそのまま使用し、iPhoneへの充電時には、付属のLightning変換アダプターを利用する。

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筆者は市販のType-Cアダプターを利用してHUAWEI P10 Plusに充電してみた

 現在、筆者のメインのスマホは「HUAWEI P10 Plus」と「Samsung Galaxy S8+」で、いずれもType-Cコネクターなので、今回は市販のmicroUSBからType-Cへの変換アダプターを使用して充電してみたが基本的には問題なく充電できた。

コンパクトゆえ大容量バッテリースマホだと
充電できる量はわずか

 今回のお父さんバッテリータグの1番目の特徴は、前述したように、使用しているセラミックバッテリーは、曲げや衝撃にも強く、切断しても発火や液漏れの発生しない安全特性だ。

 そして2番めの特徴は、薄くて軽くてさまざまな外観デザインに加工しやすいこと。

 そして最後の特徴は、自己放電率が低く、1年後にも全充電容量の90%が残存していることだ。

 ただし、特徴を出そうとするあまり、ネームタグのような極めて薄くて小さなサイズに収めている関係上、今回のお父さんバッテリータグのバッテリー容量は700mAh、出力電圧・電流は5.0V・最大で0.4Aと少しコンパクトだ。

 また、IPX3相当の防水処理がされているので、日常持ち歩くカバンのネームタグとして常時取り付けておいても多少の雨などはまったく平気だ。

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お父さんバッテリータグで筆者のスマホのバッテリー残量は4%増加した

 筆者が行なった充電テストは、HUAWEI P10 Plus(バッテリー容量:3750mAh)の残量が40%の時に充電開始。そしてお父さんバッテリータグが完全放電した段階ではP10 Plusのバッテリー残量のシステム表示は44%となっていた。

 この結果から分かることは、700mAhのお父さんバッテリータグでP10 Plusの内蔵バッテリーは4%だけ増加したということである。

 何度か同じようなテストを繰り返してみたが、いずれもおおよそ3~4%の間の数字に落ち着いた。

 試しに実際に、スマホ内蔵のバッテリー残量が4%以下になったシャットダウン寸前の危険な状態でも同じようにお父さんバッテリータグで充電を繰り返してみたが、スマホ内蔵バッテリーの増加パーセントは、40%近辺で充電を行なった場合よりもかなり悪い結果だった。

 昨今の大容量、かつ電池大量消費のスマホではなく、よりコンパクトなスマホなら、増加率という観点では、より効果は目に見えて違ってくるのかもしれない。

 現状のテストから言えることは、使用しているスマホのバッテリー残量が極めてゼロに近い段階まで頑張らずに、適度な残量の残っている時に、お父さんバッテリータグによって事前に追加充電したほうが安全で得策だろう。

1年間放置してもバッテリー残量はあまり減らない
カバンにぶら下げておけば、もしもの時に安心

T教授
昨今のハイパワースマホではなく、よりコンパクトなモデルの方が相性は良さそうだ

 現在、市場に流通しているリチウムイオンバッテリーと比較して、1年後も当初の充電容量の90%を保持できるお父さんバッテリータグは、ディザスター(非常)時の頼もしい味方になるかもしれない。

 常に愛用のカバンにお父さんバッテリータグを取り付けておけば、もしもの際にも極めて有効で安心だ。

T教授
満充電後、1年経過しても90%の残量があるセラミックバッテリーには期待したい

 頻繁にカバンを変える筆者のようなユーザーにとっては、お父さんバッテリータグの取り外し/取り付けは多少面倒かもしれない。

 パワーリーフを使用したさまざまなシチュエーション向けの“最後の切り札モバイルバッテリー”の各社からの登場を心待ちにしている。

T教授

今回の衝動買い

アイテム:
お父さんバッテリータグ

価格:――(非売品)


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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    最終更新: 2017年10月11日(水)12時00分

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