ソラコム、eSIM時代を見据えたチップ型SIMを投入

アスキー 2017年10月11日(水)10時00分配信

10月11日、ソラコムは新料金プランやチップ型SIMの投入、SMS送信機能の追加など、SORACOM Air for セルラーに関するさまざまな新発表を行なった。また、Sigfoxレンタル基地局の受付、PoCやプロトタイピング環境の充実も図った。

8000ユーザーを突破し、ユーザー事例も着々と蓄積中

 8月にKDDI<9433>入りを発表し、業界を驚かせたソラコム。10日のメディア説明会に登壇したソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、2015年9月30日の「SORACOM Air」サービス開始から2年が経過した同社のビジネスアップデートを披露した。

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ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏

 同社はソフトウェア<3733>開発能力を強みとして、データ通信からネットワーク、アプリケーションまでを包含したIoTプラットフォームを拡充してきた。昨年からはいよいよグローバル展開もさせたほか、セルラー通信だけではなく、LPWA通信として注目を集めているLoRaWANやSigfoxへの対応も始めた。最新のユーザー(法人/個人)はいよいよ8000以上、認定パートナーも84社まで拡大した。

 新規のユーザー事例は相変わらずユニーク。発表会ではスマートデバイスを使って作業者データをリアルタイムに収集しているAGC旭硝子<5201>、温水器の遠隔モニタリングを実現している積水化学、乗り合いタクシーでの最適配車に活用している岡山県玉野市などの企業や自治体のほか、海外旅行で余った外貨を電子マネー・ギフト券に交換できるポケットチェンジ、空きトラックを有効活用した配送プラットフォームを提供するHacobuなどのスタートアップの事例が披露された。

 実証実験に関しても、農作物の生育モニタリングを進めているヤンマー中央研究所、フォークリフトの危険稼働を監視する日立物流<9086>、防災情報配信サービスで活用するNTT<9432>-ATのほか、LPWAの実験を進めているインベスターズクラウド<1435>凸版印刷<7911>などが紹介された。

怒濤の新発表はキャリア非依存への道か

 続いて玉川氏は、大手通信事業者の傘下に入り、これまでのスピードが鈍るのではという不安を払拭させるかのように数多くの新発表を披露した。以下、新発表のサマリを紹介する。

SORACOMが加入者管理機能を実装し、利用がないときの基本料金が無料に
これまでSIM発行元である通信事業者(MNO)で行なっていた加入者管理機能(HLR)をソラコム自身が独自実装し、SORACOM Air for セルラーのグローバル向けSIM(plan01s)の認証をソラコム自身が行なう。これにともない新しい料金体系「plan01s」「plan01s-Low Data Volume」も発表。従来、SIMがアクティブになった段階で課金が発生しており、SORACOM Airにおいても休止中でも基本料金が発生していたが、利用開始待ちのみならず、利用中断の場合も基本料金が無料になる。
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加入者管理機能をソラコムが独自実装
新料金体系は製品や機器にSIMを組み込む場合、在庫時の通信コストを削減する狙いがあるという。使用開始後でも、新たに「利用開始待ち(Stnadby)」のステータスが追加されたため、工場で疎通確認を行ない、その後エンドユーザーが使うまではいったん寝かせ、利用時に再度アクティブするといった利用方法でも、使っていないときはコストがかからないという。
6mm×5mmのチップ型SIMの提供を開始
SORACOM Air for セルラーにおいて新たにチップ型のSIMの提供を開始した。5mm×6mmのMMF2(Machine to Machine Form Factor)の小型チップにSIM機能を詰め込んでおり、電子基板上に直接実装できるため、振動や衝撃にも強く、車載や工業製品にも最適だという。3000枚からの提供で、1枚あたりの価格は6米ドルになる。
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5mm×6mmのチップにSIMを搭載
あわせて少量から調達可能なリファレンスデバイスとして「UC20-G(Quectel製))」の提供も開始する。従来のMini PCIeタイプの通信モジュール(3G/LTE)に加え、今回基板上に実装するグローバル対応の3G通信モジュールを追加することで、PoCを支援する製品ラインナップを拡充。SORACOMの組み込み用途を一気に拡大する。UC20-Gの料金は、250個単位で29米ドルとなっている。
なお、SORACOMは遠隔でのSIMプロファイルの書き換えを可能にするOTA(Over The Air)機能をプラットフォームに実装しており、今後はGSMAに準拠したeSIMにも対応していくという。
SORACOM AirにSMS送信のAPIを追加
SORACOM Air for セルラー(グローバル向けSIM)のデバイスに対するSMS送信を可能にするAPIが新たに追加(現時点ではplan01sのみ対応)。データ送信セッションを利用しないため、省電力化が実現でき、データ通信に対応しないデバイスでも動作する。スリープモードになっている機器の起動や設定情報、コマンドの投入にSMSを利用できる。認証を受けたアカウント所有者のみが送信できるため、セキュリティも高いという。
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SORACOM AirにSMSの送信機能を追加
また、IoTデバイスからSORACOM BeamやFunnel、Harvestなどに送ることも可能。BeamやFunnelを使えば、クラウドサービスに対して安全にデータを送信でき、Harvestであればデータの収集や分析にSMSを利用できる。さらにSORACOMのSIM上にアプレットを搭載し、第一弾としてデバイス側で取得した通信事業者やネットワーク情報を送信する「SIM Local Infoレポート機能」が提供される。
APIを経由したSORACOMからの送信は料金は0.15ドル/通。IoTデバイスからの送信は0.4ドル/通。ただし、同量のデータで比較した場合のコストは高くなりがちになるとのこと。
Sigfoxネットワークを構築できるレンタル基地局の事前受付開始
IoT向けのLPWA通信規格であるSigfoxに関しては、レンタル基地局の利用に関する事前受付を開始した。レンタル基地局は日本でLPWAを提供する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)から提供され、ソラコムからの受付により、Sigfox利用の請求等も一本化できるという。初期費用は2万4800円(税別)、利用料は9800円/1台(税別・バックエンド回線費、Sigfoxクラウド利用料、補修運用費込み)。また、新たに5種類のセンサーを搭載した開発ボード「Sigfox Shield for Arduino(UnaShield V2S)」の販売も開始する。価格は6480円/1台(税別・本体、初期費用、利用料1年分)。
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Sigfoxレンタル基地局の事前受付を開始

 怒濤の新発表を終えた玉川氏は、「KDDI<9433>に入って1ヶ月ちょっとが経ったが、相変わらずソラコムらしく、お客様の声を聞いて新しいサービスを作っている。でも、今回はちょっと気合いが入りすぎた(笑)」と語る。加入者管理機能の実装やeSIM導入の計画、Sigfox施策の推進などの新発表を見る限り、むしろ通信事業者に依存しない存在として進化しているようだ。KDDI<9433>傘下入りによって調達能力も高まったことで、グローバル展開もより加速しそうな印象を得た新発表会だった。

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    最終更新: 2017年10月11日(水)10時00分

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