使いやすく、低コストなDropbox Businessのたった一つの弱点

アスキー 2017年10月12日(木)09時00分配信
使いやすく、低コストなDropbox Businessのたった一つの弱点

今回のことば

「Dropboxはコンシューマ利用で広がってきたサービス。だが個人が使う延長線上に、ビジネス利用がある。これはアップルと同じアプローチ。チームの利便性を高めた機能が企業に評価されている」(Dropbox Japanの五十嵐光喜社長)

 Dropboxは全世界で5億人以上が利用、33億個ファイルが共有されている世界最大級のクラウドストレージサービスであり、今年は2007年6月の創業からちょうど10年目の節目を迎えている。

使いやすく、低コストなDropbox Businessのたった一つの弱点

 そのDropboxのサービスを、企業で利用するといった動きが広がっているという。

 Dropbox Japanの五十嵐光喜社長は「Dropboxはコンシューマ利用で広がってきたサービスであるのは確か。しかし個人が使う延長線上に、ビジネス利用の広がりがある。iPadも最初は個人の利用から始まり、企業の情報システム部門も最初は『そんなものを会社で使えるのか。現場で使わせておけばいい』として、個人的に仕事に使うことを容認してきた。だがいまでは業務利用に欠かすことができないツールとなっている。Dropboxもアップルと同じアプローチによって、ビジネス利用が広がっている」と語り、「個人によるコンシューマ利用から始まり、それから少人数でファイルを共有するための機能を追加し、いまではチームの利便性をあげるためのサービスを追加。それによって、企業に評価され、利用が広がっている」とする。

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自社ファイルサーバーやNASの置き換えという選択肢

 五十嵐社長によると、Dropboxにビジネス向け機能を搭載した「Dropbox Business」を、企業で利用するケースが増加し始めているという。

 企業においてDropbox Businessが選ばれるのは、自社にファイルサーバーやNASを置かずに、Dropboxをデータやファイルの保管場所として利用する活用方法が注目されているからだという。実際、従来のファイルサーバーやNASの運用を廃止し、Dropbox Businessへ移行した顧客事例が増えている。

 Dropbox Japan ジャパン マーケティング リードの上原正太郎氏は「ファイルサーバーやNASは企業内におけるファイル共有手段のひとつだが、企業システムの担当者は運用管理の手間やコスト、外出先からのファイルアクセスの不便さ、またランサムウェア対策といったように、ワークスタイルの広がりにともなって発生している課題や、セキュリティー対策に関して、様々な悩みを抱えているのが実態だ。こうした課題を解決できるのがDropbox Business」だとする。

 一方で、Dropbox Japan ソリューションアーキテクトの井口和弘氏は企業でDropboxが利用されている理由を、「クラウドでありながら、パソコンのフォルダオペレーションと同じ操作性と利便性を提供すること」、「高速な同期による情報アクセス時間の短縮」、「安心して使える権限管理やアクセスログなどの情報セキュリティー管理」、「ファイルを確実に守るバージョン履歴と削減ファイル復元」、「パソコンやスマホ、タブレットといったマルチデバイスから最新データへアクセス」、「様々なコラボレーション機能による容易な情報共有」の6つに集約されると語る。

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 確かにDropboxの操作方法は、社内のファイルサーバーやNASで使用している手法と基本的には変わらない。特別な教育は不要で、直感的に利用することができる。

 また共有フォルダやバッジ、共有リンク、ブレビューとコメント、ファイルリクエスト、共同作業のための機能を持っており、チームで仕事する際にも便利だ。管理者は公開が可能な範囲を、フォルダごとに権限設定を変えるといったことも可能だ。

 「もともとDropboxはファイルを中心としたコラボレーションツールであったが、現在では様々なファイルを扱うことができるPaperというプラットフォームによって、コンテンツの共有を中心としたコラボレーションへと進化している」(Dropbox Japan ジャパン マーケティング リードの上原正太郎氏)とする。

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Dropboxの画面

 さらに様々なデバイスにおいて、使いやすさを実現している点も強調する。

ランサムウェア対策につながるバージョン管理

 五十嵐社長は、日本マイクロソフトやアップルに勤務した経験があるが、「OneDriveはアップルでは使いにくい。またiCloudはAndroidでは使いにくい。だがDropboxはもともと様々なデバイスに対して、ニュートラルな立場でモノづくりを進めてきたサービス。すべてのデバイスに対して、広く使いやすい環境を提供しているのはDropboxだけである」と胸を張る。

 一方でバージョン履歴を管理していることは、ほかのストレージサービスとは異なるDropboxならではの特徴にもつながっているとも語る。バージョン管理は複数の人が一緒に作業する際にも便利だが、それだけでなく、ランサムウェア対策にも有効な点が、ここにきて評価されているという。

 実際ある建設会社では、現場事務所に置かれたファイルサーバーに、多くの人がアクセスするなかで、ランサムウェアの被害が発生。身代金を要求される事件が発生したという。

 「ひとつの現場事務所ではDropboxを使っておらず、仕方なくビットコインで身代金を支払ったが、結局ファイルは返ってこなかった。だがDropboxを使用していた現場事務所では、Dropbox上にはランサムウェアに感染する前のファイルが残されており、そこからファイルを復活できた。当社のサポート部門に連絡してもらえば、ひとつひとつのファイルの復元作業をすることなく、一括復元が可能になる。Dropboxは、セキュリティー、バックアップにも強いのが特徴。この機能があるから、Dropboxを採用した企業も多い」(Dropbox Japan ソリューションアーキテクトの井口和弘氏)という。

 そして、スピードも大きな特徴だとする。

 「たとえば建設会社で取り扱っている文書は、一つの現場で1TB前後であり、図面などが頻繁に更新されている。そうした大量の文書を更新したり、読み出したりする際にも、Dropboxが速いといわれる。ほかのサービスと比較して、スピードを理由に導入した企業も少なくない」(同)

 Dropboxでは、更新時の差分データだけを同期する差分同期、同一サブネットの配下ではPC間で直接データを同期するLAN同期、アップロードが完了する前にほかのユーザーがダウンロードできるストリーミング同期という3つの同期方法を採用。さらにファイルをブロックに分割して処理し、複数のスレッドによる並列送受信ファイル更新時には、変更されたブロックだけを送信したり、通信が途絶えた際は、回復時に同期を完了していないブロックから同期を再開したりできる。こうした仕組みがパフォーマンス向上に寄与している。

 加えて、コストの観点からのメリットも訴求する。

年数百万規模のコスト削減も可能

 たとえばファイルサーバーやNASと、Dropboxのサービス利用料を比較しただけのコストメリットには留まらないという。

 「Dropboxには、ファイルを1ヵ所に集約するための時間や、集約されていない最新ファイルを見つけるための時間、外出先からデータアクセスするためのログイン作業時間、社内外にファイル転送に共有するための時間などが削減できるメリットがある。試算をすると、平均2.1%の生産性向上、1ヵ月あたり約3時間の節約ができる。年間では36時間の削減が可能であり、年間数万円のコスト削減効果が出ることになる。これを全社員数で使えば、年間数百万円規模の削減が可能な企業もある」(Dropbox Japan ソリューションアーキテクトの井口和弘氏)とする。

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 また「Dropbox Businessは事実上、容量を無制限で利用できるほか、セキュリティーの向上というメリットもあり、これもコスト効果に換算できる。そして老朽化にともなう、5年ごとのハードウェアの更新といったことも不要である。さらにスマートシンクの機能を利用すれば、PCのハードドライブの使用容量を節約することができる。ストレージ容量の小さい最新のPCに買い換えることで、PCのコストを削減できるというメリットも生まれる」とする。

 だがこうしたメリットが訴求しきれていないと、五十嵐社長は反省する。「これまでは口べたであり、静かすぎた。Dropboxは単なるクラウドストレージサービスというだけでなく、様々な機能を提供し、それによって価値を創造していることを理解してもらいたい。Dropboxを利用することよりも、なにかをやりたいときのイネーブラーとしてDropboxを提案していきたい。ビジネス用途では、そうした提案が不可欠になる」と語る。

 Dropbox Businessによって、Dropboxの新たな提案が始まっている。

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    最終更新: 2017年10月12日(木)09時00分

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