アジアのAWSユーザーがつながった「AWS Community Day APAC」

アスキー 2017年11月13日(月)08時00分配信

アジアのAWSユーザーグループが一同に介する「AWS Community Day APAC 2017」および「APAC Community Leaders Meetup」が9月21日~23日に韓国で開催された。イベントに参加してきたヘプタゴンの立花拓也がイベントの模様をお伝えする。

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アジア8カ国からAWSユーザーグループのオーガナイザーが集まった

7ヶ国のユーザーグループが韓国に集合!

 ここ一年ほどJAWS-UGではAWSサムライに選ばれた赤塚誠二さんが中心となって海外のUGとの交流を活発に行なってきた。昨年は、韓国のユーザーグループ(AWSKRUG)とソウルでミートアップを共同開催し、シンガポールや北京でのユーザーグループのイベントに参加している。また、JAWS DAYSやAWS Summit Tokyoへもたくさんのユーザーグループの仲間が来てくれた。

 その中でたくさんの刺激や学びを得ることができ、もっとたくさんの国のユーザーグループと交流したいという思いから、今年はAPACでの合同イベントにチャレンジしようという流れとなった。今年の7月頃からAPAC各国のユーザーグループのオーガナイザーがオンラインで準備を始め、9月20日に初めてAWS Community Day APACを開催できた。韓国で行なわれたイベントには日本、韓国、上海、フィリピン、シンガポール、ベトナム、タイの7カ国のユーザーグループのオーガナイザーたちが韓国に集まった。

 最初の出番はAWS Community Day APACと同時に開催されていたAWS DevDayのキーノート。今回のイベントの立役者であるAWS KoreaのエバンジェリストChanny Yunさんからの紹介を受け、参加者全員で壇上へ。APACのユーザーグループが一堂に会した歴史的な瞬間となった。

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DevDayのキーノートでの様子

 そしてAWS Community Day APAC 2017はスタートした。以下、各国のセッションの模様をお伝えする。

1万3000人の登録者を数える韓国の「AWSKRUG」は支部も増加中

 イベントは、今回のホスト国となった韓国のユーザーグループからAWS Community HeroのSanguk ParkさんによるKRUGの現状についてのセッションから始まった。2012年から活動が始まったKRUGは現在では韓国でもっとも大きなITコミュニティの一つに成長し、Facebookグループはなんと1万3000人以上の登録者がいるという。

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Welcome to APAC Community DaySanguk Park, Co-leader of AWSKRUG, AWS Community Hero, KOREA

 特にここ一年で日本と同じように地域や専門分野ごとに支部を結成され、現在はソウル近郊を中心に約10の支部が活動している。中には学生向けの支部もあり、学生が複数人でチームを結成してサービスを開発し、ユーザーグループのメンバーがメンターとして各チームにAWSについての指導を行なっているとのこと。学生のうちにクラウドを触れるなんてうらましい限りだ。

3人の参加者からスタートしたベトナムはUGも急成長

 続いて登壇したのは、ベトナムのユーザーグループのオーガナイザーを務めるHồ Việt Anhさんだ。ベトナムのユーザーグループは結成されてからまだ一年足らずの比較的新しいユーザーグループだ。

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AWS Vietnam Community Hồ Việt Anh, AWS-VN Usergroup, CEO of Osam.io, VIETNAM

 Anhさんは、シンガポールのユーザーグループイベントに参加して刺激を受け、自分の国でもユーザーグループを広めたいとイベントを一人で準備し、開催をしたそう。しかし、初回のイベントの参加者はたったの3名だった。

 そこで諦めなかったAnhさんは、まずは運営を手伝ってくれるメンバーを集めるところから再スタート。10人ほどの運営チームを結成し、企画や告知などの準備を重ねて、二回目以降のイベントは62人、80人、300人と着実に参加者を増やしている。さらに、オフラインの勉強会以外にも、大学への出張講義やAWS関連情報のベトナム語への翻訳など非常に精力的に活動している印象を受けた。

インド発のAPIテストツール「Postman」を語る

 インドのバンガロールのユーザーグループから参加したShamasis BhattacharyaさんからはPostmanの裏側について発表が行われた。Postmanは全世界で400万人のユーザーがいるAPIのテストツールで、日本でも利用している開発者の方は多いのではないだろうか。私もユーザーの一人だったが、インドの企業がPostmanを開発していたことを今回のイベントで初めて知った。

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Microservice Architecture with AWS Beanstalk &#38

 Postmanはサービス開始直後から急激にユーザーが増え、自分たちの手だけの運用では立ち行かなくなった。そこで、彼らはフルマネージドなインフラ環境を提供してくれElastic Beanstalkにインフラを移設。現在では30を超えるマイクロサービスでPostmanは構成されているそうだが、サービスの成長過程において、インフラの標準化のためにDockerを採用したり、スケーラビリティと信頼性を求めてAuroraへデータベースを移設をしたり、つねに進化を遂げてきた。スピード感を持ってつねに最適解を求める企業カルチャーがPostmanを支えているのだと感じた。

Alexa Custom Skillを語ったわれらがヒデ君!

 JAWS-UGからはデジタルキューブの岡本秀高さんが登壇し、AmazonのAIアシスタントAlexaの機能を自由に作成することができるAlexa Custom Skillの開発について発表した。彼は、Alexaが日本への正式に展開される前からすでにCustom Skillを開発している日本では数少ないエンジニアだ。

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How to develop Alexa Skill Kit based on Serverless Architecture Hidetaka Okamoto, JAWS-UG Kyoto, SW Enginner at Digitalcube, JAPAN

 セッション冒頭にAlexaに関する質問があったが、会場内の全員がAlexaについては知っていたが、Alexaデバイスを持っている人、そしてCustom Skillを開発したことがある人はほとんどいなかった。とはいえ、10月上旬にAlexaのインドや日本への展開が発表されたので、これから1年でこの状況は大きく変わってくると思われる。

 岡本さんのセッションではAlexaの基本的な仕組みや機能、AlexaSkillKitを用いたCustom Skillの開発についての説明があった後に、Custom Skillを本格的に開発していく上で必要となるテストやデプロイ、AWSのリソース管理の方法を披露した。

 テストは、ESLintとalexa-conversationというNode.jsのモジュールを使い、構文やAlexaとの会話が正しく動作しているかをチェック。コードのデプロイやAWSのリソース管理についてはServerless Frameworkを使って開発を行なっているそうだ。これからCustom Skillを開発する人にとっては貴重な情報となるだろう。

AIサービスの利用ケースを語ったタイのユーザーグループ

 タイのAWS Community HeroであるVit Niennattrakulさんからは、AWSのAIサービスを用いたユースケースの発表があった。

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Building an A.I. with Amazon Rekognition and Amazon Lex Vit Niennattrakul, AWS Community Hero, THAILAND

 1つ目のユースケースは、Alexaのパーソナライズ応答だ(音声によるパーソナライズは10月上旬に発表された)。Alexaに話しかける前にカメラで顔を撮影し、それをRekognitionを使って人物判定することで、その後のAlexaの会話をパーソナライズするというものだ。

 2つ目は、パーソナライズされた応答を行なうインターホンだ。インターホンのボタン代わりのAmazon IoTボタンを押すとカメラで顔を撮影されて、S3上に顔画像がアップロードされる。その後Lambdaが起動され、Rekognitionによって誰が映っているのかが特定される。最終的にPollyからその人向けの応答メッセージが流れるというものだ。たとえば、留守中でも信頼できる人物の訪問ならドアの電子キーのワンタイムパスワードをSMSなどで送信し、ドアの中へ入ることが可能となる。

 これらのサービスは実際に彼らのオフィスでも使われているそうだ。着眼点が面白く「なるほど!」と思わせてくれるセッションだった。

シンガポールグループはAPIを迅速にデプロイできるApex Upの紹介

 続いてはシンガポールのAWS Community HeroであるKai HendryさんからAPI GatewayとLambdaの環境を簡単に作れる「Apex Up」の紹介。Apex Upは日本でもおなじみのApexと同じTJ Holowaychukさんが中心となって開発されているシンプルで高速にAPIをデプロイできるツールだ。Python、Golang、Node.js、Crystal、静的サイトに対応していて、API GatewayやLambdaの設定をまったく意識することなくデプロイすることが可能だ。

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Golang on Serverless with Apex Up Kai Hendry, AWS Community Hero, SINGAPORE

 初めてAPI GatewayやLambdaを操作する際には、APIを動かせるようになるまでに学習コストがそれなりに必要だが、このツールを使うことで、それを簡略化する事ができる。私も実際にApex Upを使って、APIを作ってみたが、インストールからAPIを動かせるようになるまでに、わずか2,3分しかかからなかった。ぜひこれからもAPIを作るという方やAPI GatewayやLambdaの設定で一度挫折してしまった方は試して見るとよいだろう。

中国で人気のApache Kylinによるデータ分析とは?

 続いて、上海ユーザーグループのJacky ChanさんからApache Kylinを用いたビッグデータ処理についての発表が行なわれた。Kylinはイーベイが中心となって開発が進められているオープンソースのデータ分析エンジンで、おそらく日本ではあまり馴染みがないが、中国では非常に人気があるそうだ。

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DevOps and Bigdata Practices with Amazon EMR and Apache Kylin Jacky Chan, Shanghai UG, CHINA

 彼の会社では、1日に数十GBずつ増え続けるデータベースの解析にKylinを採用していて、EC2やEMRで構成したHadoopクラスター<4240>と組み合わせて利用しているそうだ。彼らの扱うデータ量ではAthenaやRedshiftよりも、EC2にKylinをセットアップして使ったほうがコストや処理速度の面で優れているとのことだった。

 さらに、セッションが始まる前にベトナムのAnhさんとビッグデータ処理についてディスカッションし、新しい手法を学べたので、上海へ持ち帰って検証したいと言って発表を締めくくった。

フィリピンユーザー、Ansibleの操作をSlackからできるChatOpsを語る

 最後はフィリピンのユーザーグループからやって来たNeil Alwin Hermosillaさん。なんと今回が初めての海外旅行だそうだ。彼の会社で開発をしているサービスにおいてどのようにDevOpsを実践しているのかについて話した。彼らはAnsibleを使ってインフラを管理していて、Ansibleの操作をSlackから実行できるようにChatOpsを進めているそうだ。

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Embracing ChatOps Infrastructure based on AWS and Slack Neil Alwin Hermosilla, Lead Devops Engineer, Onerent.co, Philippines

 ChatOpsの開発は、Chaliceを使って管理やデプロイを行なっているとのこと。今回Lambda関連のデプロイツールが話題となった3セッションにおいて、Serverless Framework、Apex up、Chaliceと三者三様のツールを使っているのは面白い。テクノロジーのトレンドはどの国でも大きくは変わらないが、細かい部分にそれぞれの国の特徴が出ていて非常に興味深いイベントとなった。

 なお、全セッションが日本語、韓国語、英語の3ヶ国語でオンラインで生中継されており、全世界から500人以上の方がリアルタイムで視聴してた。録画されたセッションの様子はYouTubeに公開されているので、ぜひ気になったセッションがあれば見て頂きたい。

■関連サイト

国や言葉が違えど、AWSユーザーのやることや悩みはみんな同じ

 Community Dayの翌日からは、チェジュ島へ移動して、AWS APAC Usergroup Meetup 2017が行なわれた。夜遅くまで親睦を深めながらユーザーグループの運営についてディスカッションを行なった。

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チェジュ島の名所を巡りながら親睦を深めた

 目についたものをAWSのサービスに例えるジョークで盛り上がったり、集合時間になっても現れない人がいれば、朝からビールが飲みたいという人もいたり。と思ったら真面目にアーキテクチャについて議論し始めたり、移動中にDevOpsの本を読んでいるメンバーもいる。日本のユーザーグループと変わらない風景がそこにはあった。国は違えど、目指している方向性や抱えている悩みはほぼ同じ。今後も引き続き、相互に情報共有や交流を行ないながら各国のユーザーグループがさらに発展して行くはずだ。

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AWSカルタは海外でも大人気。初代APACチャンピオンはタイのVit Niennattrakulさんに!

 そして、個人的にもさまざまな国の文化や考え方に触れることでたくさんの刺激を受け、人としても成長できる経験を得られた。これからも継続して海外のユーザーグループとの交流は続くので、ぜひ日本からもたくさんの方が参加してくれることを願う。

 re:Inventに参加される方は、水色のパーカー<9845>を見つけたらぜひとも話しかけて欲しい。

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AWS Community Day APACのために用意していただいたオリジナルパーカー

 そして、ビジネスだけでなくコミュニティを通じてグローバルに飛び出すチャンスがあることを少しでも多くの方に知ってもらえればうれしい。

アスキー
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    最終更新: 2017年11月13日(月)08時00分

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