【レビュー】Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた

AV Watch 2017年10月12日(木)08時00分配信

 Shureにとって初のBluetoothイヤフォンが、10月13日から発売される。既に多くのユーザーがいる「SE215 Special Edition(SE215 SPE)」と、シリーズの中で最も手ごろな「SE112」が、それぞれBluetoothに対応したモデルだ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE215 Special Edition Wireless
SE215 Special Edition Wireless

 これら2モデルに加え、Bluetooth搭載のケーブル単体モデル「RMCE-BT1」も同日より登場。SE215や他のShure SEシリーズなど、MMCX端子を備えたイヤフォンを既に持っている人は、このケーブルを追加するだけでイヤフォンをBluetooth対応にできる。これらの使い勝手や音質などをチェックした。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた 左が「SE112 Wireless」、右が「SE215 Special Edition Wireless」
左が「SE112 Wireless」、右が「SE215 Special Edition Wireless」
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた Bluetoothケーブル単体の「RMCE-BT1」
Bluetoothケーブル単体の「RMCE-BT1」

待ち望まれていたShureのBluetoothイヤフォン

 iPhoneの新機種がステレオミニ端子を省くようになり、多くのメーカーからBluetoothイヤフォンが発売される中で、オーディオファンに根強い人気のShureが、今までBluetoothに対応していなかったのは意外に思う人もいるだろう。9月19日に発表されたBluetoothモデルのニュース記事への閲覧数や反応を見ても、待望していた人たちから新モデルは歓迎されているようだ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE215 Special Edition Wireless(トランスルーセントブルー)
SE215 Special Edition Wireless(トランスルーセントブルー)

 もともと同社はプロがステージで使うイヤモニターを長年手掛け、プロも認める高音質が一般のコンシューマにも受け入れられて広まった経緯がある。多くのユーザーから「Shureは、いつBluetooth製品を発売するのか」という問い合わせが、米国本社の担当者にも多く寄せられていたとのこと。待ち望んでいたのは日本人だけではなかったようだ。

 今回試したのは、「SE215 Special Edition Wireless」(オープンプライス/店頭予想価格18,380円前後)と、「SE112 Wireless」(同12,800円前後)。イヤフォン部はそれぞれ、既存の有線モデルSE215 Special Edition(SE215 SPE)やSE112と共通だ。SE215 SPE Wirelessのケーブルは、MMCX端子でイヤフォン部が着脱できるのが特徴。SE112 Wirelessは、Bluetoothケーブルと一体になっている。そのほかにも、イヤフォン部がSpecial Editionではない「SE215 Wireless」もあり、店頭予想価格は18,380円前後。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE112 Wireless
SE112 Wireless
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE215 Wireless(クリア)
SE215 Wireless(クリア)

 他社からも、MMCX端子で着脱できるBluetoothケーブルは登場しており、主な製品としてはソニー<6758>の「MUC-M2BT1」や、Westone「WST-BLUETOOTH」がある。こうした中で、Shure自身もBluetoothケーブルを開発し、既存のイヤフォンであるSE215などと組み合わせて製品化した形だ。「ユーザーが満足できる、SEシリーズのイヤフォンに最適化して設計された製品」という仕上がりが気になるところ。今回は主にウォークマンの「NW-A35」や、オンキヨー<6628>「rubato DP-S1」、iPhone 6sと組み合わせて使ってみた。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた ウォークマンNW-A35や、DP-S1と組み合わせて使用
ウォークマンNW-A35や、DP-S1と組み合わせて使用

Shure SEのサウンドが気軽に。細かな便利機能も

 SE215 SPE Wirelessのトランスルーセントブルーモデルは、文字通り半透明で内部が見えるデザイン。爽やかなブルーの筐体から、ダイナミック型ユニットなどが透けて見えてかっこいい。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた イヤーピースを外した状態
イヤーピースを外した状態

 ケーブルは、Shure製品でもおなじみの、耳に掛けて装着するスタイル。ケーブル内部のメモリーワイヤーによって、耳の形に沿った形でフィットする。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE215 SPE Wirelessの装着例
SE215 SPE Wirelessの装着例

 右側のケーブル部にあるリモコンの中央ボタンを長押しすると電源が入り、そのまま押し続けるとペアリング待機状態になる。スマホやプレーヤー側のBluetooth設定画面に表示される「Shure BT」というデバイス名を選択するとペアリングが完了する。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた リモコン部
リモコン部
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた ウォークマンとペアリング完了
ウォークマンとペアリング完了
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた バッテリ内蔵部分(左)のLEDで、ペアリング状態が分かる
バッテリ内蔵部分(左)のLEDで、ペアリング状態が分かる

 便利なのは音声ガイド機能。イヤフォンを耳に着けていると、電源ON時の「Power On」に続いて「battery more than 2 hours」など、残りだいたいどれだけ使えるかを教えてくれる。他のBluetoothヘッドフォンでも、接続したスマホの画面表示で残量を確認できたり、ボタンを押すと残量の目安を案内するといった機種はあるが、SE215 SPE Wirelessなどは、電源ON時に自動で教えてくれることによって、「今日の通勤は行き帰りとも使える」のか、「会社に着いたら充電したほうがいい」のか目安が分かる。なお、この製品もスマホ画面でバッテリ残量を確認することは可能だ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた スマホ接続時の画面でもイヤフォンのバッテリ残量が分かる
スマホ接続時の画面でもイヤフォンのバッテリ残量が分かる

 耳掛けした時の装着感は既存のSE215と同様だが、プレーヤーとつなぐケーブルがないのは快適。ウォークマンやスマホをカバンに入れたままで聴けるし、歩いたり体を多少動かしてもケーブルが大きく揺れたり、周りの物に引っかかったりという心配は少ない。Bluetoothなので当たり前とはいえ、Shureのイヤフォンでもこの快適さが得られるのはうれしい。

 また、ケーブル中間のバッテリ内蔵部分にクリップを装着でき、シャツの襟などに留められるのもポイント。首の後ろにケーブルを回すスタイルのBluetoothイヤフォンは多いが、製品によっては、歩いている時に揺れて邪魔になる場合もある。後ろのクリップを留めておけば揺れを防げるほか、使わないときに首からイヤフォンを下げていても、落下するリスクが少なく安心感がある。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた 着脱できるクリップが付属
着脱できるクリップが付属
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた シャツの襟などに留められる
Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた シャツの襟などに留められる
シャツの襟などに留められる

SE215 SPEの音質をBluetoothでも味わえる

 ベースモデルであるSE215 SPEは、'11年に登場したSE215の特別版として、中低域を強化したユニットを搭載。Shure SEシリーズの中で手ごろな価格と、力強いサウンドが特徴的で、ロックやポップスを含む幅広いジャンルをオールマイティに鳴らせるコストパフォーマンスの高さも魅力だ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE215 SPE Wireless
SE215 SPE Wireless

 Bluetooth接続して聴いてみても、その音の良さは活かされており、ダイナミック型ユニットの持つ厚みのあるサウンドながら、低域は膨らみすぎず、ボーカルの存在感もしっかり出ていて全体のバランスも良好。「低域を重視したイヤフォン」が世の中に多い中で、迫力の面でも決して負けていないと感じる。

 接続時の音声コーデックはSBCのみのため、ウォークマンのLDACや、iPhoneのAACなどの高音質/低遅延コーデックには対応しない。

 いくつかの曲を聴いてみると、SE215 SPEが持つ中低域のパワフルなサウンドによって、あまり不足は感じない。Daft Punkの「Get Lucky feat. Pharrell Williams」では、中低域の厚みは保ちつつ、全体の解像感も高い。

 曲によってはSBCコーデックの限界を感じる場合もあり、古い曲など録音時の情報量があまり多くないもので、ボリュームを大きめに上げると、高域部分などが痩せ気味になることもあった。ただ、中低域の豊かさが特徴のSE215 SPEに、全ての面で完璧を求めるより、SE215 SPEの持ち味を活かしながらワイヤレス化したことに満足できる。「SBCだから」とスペックだけで言い切るのはもったいないほど、イヤフォンが持つ良さを損なわずに仕上がっている。「Shure SEシリーズに最適化した音」という実力は確かにあるようだ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた シリコンと低反発のイヤーピースが付属し、遮音性も高い
シリコンと低反発のイヤーピースが付属し、遮音性も高い

 次に、より低価格なSE112 Wirelessも使ってみた。こちらは同じく耳掛けながら、メモリーワイヤー内蔵ではないため形は固定できないタイプ。ケーブルが細いため、ケーブルを固定するよりも軽い装着感を求める人には合いそうだ。こちらも同じく、ケーブルをシャツなどに留められるクリップが付属している。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた SE112 Wireless
SE112 Wireless

 音質については、SE215 SPE Wirelessに比べると低域の迫力はやや少なめ。ただ、全体で見るとバランスは取れていて、SHANTI/Tommy Snyderの「タイム・アフター・タイム」は、2人のボーカルの熱量がストレートに伝わりやすい。215 SPEの後に聴くと、周りの演奏よりもボーカルが少し前に出たような印象だった。低域の厚みがあるイヤフォンがあまり好みでない人には、SE112のシンプルにまとまった音の方が合うかもしれない。

 筆者の好みでいうと、SE215 SPE Wirelessの音が聴いていて心地よい。音の迫力だけでなく、ボーカル曲の中のドラムやベースの部分も広い音場で描き分けられている。SE215 SPEのイヤフォン自体に、価格以上の実力を持つと再確認するとともに、それがワイヤレス化されても、その長所を活かした仕上がりになっていた。

 藤田恵美によるカバーアルバム「camomile Best Audio 2」の「Home,Sweet Home」を聴くと、ボーカルの艶やかさを、すぐ近くで聴いているように細部までしっかり再現しつつ、ストリングスも厚みを保ったまま届く。制作時に、高さ方向の広がりのある音場で聴こえるようにミックスされたという音源の良さを、そのまま楽しめた。

 再生中の操作は両モデル共通。3ボタンリモコンの中央で再生/一時停止、+/-ボタンで音量調整するほか、+の長押しで曲のスキップ、-の長押しでスキップバックとなる。頻繁に曲送りをする筆者の場合、長押しを何度も続けるよりも、プレーヤー側のボタンを使ったほうが早いと感じることもあった。他のイヤフォンのリモコンだと「ボタン2度押しでスキップ/3回押しでスキップバック」の方式もあるが、小さなボタンを複数押すよりは、今回のShure製品のように長押しの方が誤操作は起きにくそうだ。

他のBluetoothケーブルと比較。2台持ちにも便利

 同じくMMCX端子を持つBluetoothケーブルであるWestoneの「WST-BLUETOOTH」とも比べてみた。基本的な使い方は同じで、3ボタンのリモコンの使い方もほぼ共通だ。'16年7月に発売され、実売価格は19,800円前後(税込)。Shureのケーブルとの違いとして、BluetoothのコーデックはSBCだけでなくaptXにも対応しているのはWestone製品の利点。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた 上がWestoneの「WST-BLUETOOTH」、下がShureのBluetoothケーブル単体「RMCE-BT1」
上がWestoneの「WST-BLUETOOTH」、下がShureのBluetoothケーブル単体「RMCE-BT1」

 以前にWST-BLUETOOTHでSE215 SPEを組み合わせてレビューした時も、大きな不足は感じず、音質や使い勝手の面でも、Shureのイヤフォンをワイヤレス化するのに便利なケーブルとして十分おすすめできると感じていた。

 今回、Shure純正ケーブルと比べた時にわかった違いは、MMCX端子接続の安心感。MMCXのイヤフォンで複数のケーブルを持っている人は分かると思うが、同じ方式とはいえ、メーカーによって接続した時の確実さがわずかに異なり、最終的には「つないでみないとピッタリ合うかわからない」のがMMCXの注意点でもある。

 その意味で、Shure同士の端子では装着時に「カチッ」と合うクリック感がしっかりあって、簡単には外れない。Westoneのケーブルもつながってしっかり音は聴こえるものの、接続した時の手ごたえがあまりないため、「確実に接続したか」といわれると、少し心もとないのも正直なところ。もちろんWestoneのケーブルはWestoneのイヤフォンとはしっかり合うので、同じメーカーで組み合わせて使う方が確実だ。

 音質の面でも2つのケーブルで違いがあった。同じSBCコーデックで接続して聴いたところ、Shure同士の組み合わせの方が、WestoneのケーブルにSE215 SPE Wirelessをつないだ時よりも、広い音場で再現。藤田麻衣子「オレンジ」を聴くと、ボーカルと演奏が重なりがゴチャっとならず、余裕のある立体感で聴けた。ジャズやR&Bなどのボーカルが無い曲についても、ギターやベースの各パートの良さを表現しつつも、全体は広いステージの中で鳴らせていた。一方、手持ちのプレーヤーがaptXコーデック対応という人なら、Westoneのケーブルとの組み合わせの方が相性がいいかもしれない。

 もう一つ、Westoneのケーブルとの違いは、Shureのケーブルがマルチペアリングもサポートしていること。オーディオプレーヤーとスマホの2台を使っている場合は、同時接続しておくことで、音楽とハンズフリー通話の両方に使えるのはメリットだ。また、ハンズフリー通話をあまりしない人にとっても利点はある。例えば電車に乗っている時はiPhoneのYouTubeで動画を観て、降りて歩くときは動画を止め、ウォークマンの音楽を聴くという場合も、スマホの再生を止めてウォークマンを再生するだけで、ペアリングの切り替えは不要だ。

Shure初のBluetoothイヤフォンはどんな音? SE215 SPE/SE112 Wirelessを聴いた スマホと音楽プレーヤーの2台持ちにも便利
スマホと音楽プレーヤーの2台持ちにも便利

人気イヤフォンにワイヤレスの利便性をプラス

 Shure SEシリーズの中で低価格なモデルだからといって侮れず、“Shureらしさ”を活かしつつ、最初のBluetooth対応モデルとしてかなり満足のいくモデルに仕上がっている。コーデックがSBCだからといって、聴かずにスルーしてしまうのはもったいない。特にSE215 SPEを持っている人には、ケーブル単体の「RMCE-BT1」を手に入れることで、ワイヤレスにできる選択肢を持つことは大きなメリットだ。

 初めてBluetoothイヤフォンが欲しいと思った人にもおすすめできるほか、かつてのBluetoothイヤフォンを買ったときに、「有線では気に入っていた音が、ワイヤレスになってガッカリした」という経験を持つ人にも、ぜひ一度聴いてほしいと思える製品だ。

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    最終更新: 2017年10月12日(木)08時00分

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