アプリ「プリ画像」に見る10代の著作権意識と危険性

CNET Japan 10月29日(土)08時00分配信

 10代に人気の高い「プリ画像」というアプリをご存知だろうか。

 プリ画像とはプリクラ画像のことではなく、GMO<9449>の無料画像コミュニティアプリ。スマホやLINE<3938>の待受や壁紙として設定できる画像を閲覧・保存できるほか、ユーザー同士のコミュニケーションもできる。「プリゾー」というゾウのキャラクターのイラストやアイコンを見かけたことがあるかもしれない。

 スマホアプリのほか、PCからも閲覧できる。すでに800万ダウンロードを突破し、1500万枚以上の画像が投稿されており、毎日数万枚がアップロードされている状態だ。

 プリ画像の機能は以下の通り。「画像」では、複数のタグを付けて写真を投稿・閲覧でき、閲覧した画像には「いいね」やコメントができるほか、他のユーザーが投稿した画像を1タップでダウンロードもできる。「トーク」ではユーザー同士の交流もできるし、他のユーザーに質問を投げかけることができる「Q&A」や、若者が感心を持ちそうなニュースが読める「ニュース」機能もある。

 このアプリを大人が覗くと、ちょっと驚くような状態になっている。芸能人が写った写真は投稿されまくっているし、あちこちで「著作権侵害画像ばかり」という声があがっている。それだけでなく、キス写真が多数投稿されているなど、10代のSNS利用の問題点がはっきり分かる状態となっているのだ。プリ画像から、10代の著作権意識やその他の問題点について見ていきたい。

顔のわかるキス写真も多数投稿

 アプリを開くと、タグごとに画像が並んで表示される。ここから、10代のSNS利用の傾向と問題点がはっきりと浮かび上がってくるのだ。

 すぐに気がつくのが、LINE<3938>用の画像が多数投稿されていることだ。たとえば、「タイムライン」「タイムライン ネタ」などの、タイムライン絡みのタグは非常に多い。検索マークをタップすると、多数の検索キーワード候補が表示されるが、そこにも多数のタイムライン関係の検索キーワードが並んでいる。

 タイムラインを見た人に全員スタンプさせる「友達確認」、「私ってどういう人?」「どんな人が好き?」などの選択肢を複数用意して選択肢に合ったスタンプを押させるアンケートや質問系、「先着◯人限定で~します」という遊び系などの画像が多数投稿されている。10代の子たちは、ここで目的の画像を拾い、自分のタイムラインに投稿して友達確認やアンケートをして楽しむというわけだ。Google検索や「LINE<3938> Q」などよりも投稿されている種類が多いため、自由に選べるというメリットがある。一方、彼らがLINE<3938>で延々と時間を浪費していることにも容易に思い至る。

 そのほか、「トプ画」「ホーム画」「ペア画」タグも目立つ。「トプ画」、「ホーム画」はLINE<3938>のホーム写真(カバー写真)に使う画像のこと。「ペア画」はLINE<3938>の一枚の絵になるイラストや写真のことで、LINE<3938>のホーム写真などに掲載して利用する。周囲に恋人や親友であることを示したい場合などに使われることが多いようだ。2枚必要なので、2枚分まとめて投稿されている。そのようなところに投稿できる写真が多数用意されているのだ。

 もちろん10代なので「恋愛」に関心が高く、「恋愛」タグで恋愛系ポエム画像などもたくさん投稿されている。それだけではなく、今時らしくキス写真も多数投稿されている。

 プリ画像では、自分が検索したキーワードのタグが画像のトップページに並ぶ仕組みとなっている。しかし、私がアプリをダウンロードして開いたときに最初に表示されたように、キス画像がユーザーの目に入る可能性は高い。「MixChannel」の場合と同様、頻繁に見かけることで心理的抵抗が減り、自分もやりたいという気持ちが起こってくると考えられる。

 中には「カップル キス」「ちゅープリ」「キスプリ」などのタグで、キス写真が多数投稿されている。口元だけスタンプで隠しているものもあるが、顔がはっきりわかるものも多い。タグや説明文を見ると、「中2」と「高1」のカップル、「付き合って9日目」などの情報もわかる。もちろん、そのような画像も「ダウンロード」をタップするだけで保存できてしまうのだ。

 多くの子たちはただ見てもらいたい、「いいね」やコメントがほしいと思っているだけだが、不特定多数の誰かに保存されたり、別の場所でさらし者にされてしまう可能性もあるのだ。

「著作権」「肖像権」がわからない子どもたち

 問題なのはそれだけではない。プリ画像には、芸能人写真が多数投稿されている。元AKB48の前田敦子さんの画像は9万枚以上、ももいろクローバーZは6万枚以上、EXILE TRIBEは4万7000枚以上など、実に多くの写真が投稿されているのだ。言うまでもないが、このような行為は肖像権の侵害に当たる。

 リアルタイム検索で「プリ画像」で検索すると、「著作権侵害された」などと書かれた投稿が複数見つかる。「他のところで見た画像が『再配布禁止』『加工禁止』とつけられて投稿されてるんだけど」などというツイートも多い。

 では「再配布禁止」タグがついていたら著作権に配慮してあるかというと、まったくそうではない。むしろ、「再配布禁止」タグは芸能人写真が多数見つかる状態だ。そもそも肖像権を侵害しているにも関わらず、自分が加工した、あるいは自分が見つけた画像だから、他人には再配布してほしくないということのようだ。これが中高生の考える画像に対する権利意識の限界なのだ。

 「Yahoo!知恵袋」などで「プリ画像」を検索すると、著作権や肖像権についてまったく分かっていないことがさらに明らかになる。

 Q「AAAの写真をプロフ画にしてはいけないとあるけど、プリ画像だけなの?」

 Q「プリ画像の写真を加工してネットにアップすることは違法ですか?」

 …

 もはやネタなのかもしれないが、このようなQ&Aを見かけた。

 Q「プリ画像の画像を使いたいのですが、著作権は大丈夫ですか?」

 A「まったく問題ありません。みんなに使ってもらいたくて画像を投稿しているのです」

 しかし、これが多くの10代の著作権や肖像権に対する意識と考えて間違いないだろう。思った以上に理解していないというのが実情だ。

人気アプリを子どもの問題を知るヒントに

 10代の著作権・肖像権に関する知識やリスクに対する意識はまだまだ低い。大ヒット映画「君の名は。」製作委員会著作権担当のTwitterアカウント(@kiminona_rights)が違法アップロード動画を注意したところ、逆ギレする若いユーザーが多数いた。

 そもそも著作権について知りもしないし、気にもとめていないユーザーたちだ。これはごく一部のことではなく、若者の中で一定数を占めている。しかし、著作権や肖像権について知らないまま、あるいは無頓着なまま大人になってもいいものだろうか。

 それだけではなく、将来への影響を考えずにキス写真を投稿したり、1日中LINE<3938>に時間を浪費している若者の姿が見えてくるだろう。これはプリ画像だけの話ではない。

 若者に人気のアプリを見ると、子どもたちが何に関心がありどのような問題が起きるかがわかるので、保護者は一度覗いてみてほしい。そして、今どのようなことが問題となっているのか、将来にどのような危惧があるのかを考えてほしい。当連載はそのような問題とヒントをお伝えしているので、ぜひ参考にしていただければ幸いだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

CNET Japan
もっと見る もっと見る

【あわせて読む】

    最終更新: 10月29日(土)08時00分

    【関連ニュース】

    【コメント】

    • ※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

    【あなたにおススメ】