シャープ、2017年度通期黒字化目指し“オールシャープ”の総合力で挑む

CNET Japan 2016年11月02日(水)08時00分配信

 シャープ<6753>が発表した2016年度上期(2016年4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比28.1%減の9196億円、営業利益は前年同期の251億円の赤字から7900万円の黒字に転換。経常損失は前年同期の386億円の赤字から若干改善したものの、マイナス320億円の赤字。当期純損失は前年同期の836億円の赤字だったものが、マイナス454億円の赤字となった。

 シャープ<6753> 代表取締役副社長兼管理統轄本部長の野村勝明氏は、「2016年度上期の売上高は前年同期から大幅に落ち込んだものの、中国での液晶テレビ事業の体質改善などによる固定費削減効果があり、利益は大幅に改善した」と総括。大手顧客向けの中小型液晶およびカメラモジュールの販売減や、米州における液晶テレビ事業のブランドライセンス化、国内スマートフォン市況の低迷が影響したが、構造改革の取り組みなどにより、収益が改善し、営業黒字化したという。

 一方、2016年度の通期見通しを公表。売上高は前年比18.8%減の2兆円、営業利益は257億円、経常損失はマイナス163億円の赤字、当期純損失は418億円の赤字とした。

 「通期見通しについては、売上高ではディスプレイデバイスの販売減などが影響。営業利益は構造改革への取り組みに加えて、鴻海精密工業グループとのシナジー効果などもあり黒字化する。最終利益は下期には黒字化する見通しだ」と述べた。

 下期は、売価ダウンなどの影響があるものの、販売増の効果のほか、鴻海精密工業グループとのシナジー効果として99億円を見込む。「下期は256億円の営業利益を見込んでおり、大幅に改善することになる」とした。

 なお、8月12日に、鴻海精密工業からの出資により、債務超過が解消。9月末時点での総資産は2649億円(6月末はマイナス750億円)、自己資本比率は15.3%(同マイナス6.0%)となった。

契約も見直しへ、ブランドライセンスは「買い戻したい」

 今回の決算会見では、8月12日にシャープ<6753>の代表取締役社長に就任した戴正呉氏が出席。「まだ就任から2カ月半。中期経営計画については、2017年4月に発表したい。これまでのシャープ<6753>は、有言実行ではなかった。黒字化するといいながらも多額の赤字を計上した。私は、わからないことは答えない。2017年4月まで計画の公表を待ってほしい」などとした。

 また、「今までシャープ<6753>が結んできた契約は不平等なものが多い。契約は尊重するが、私は社長としてそれを交渉し、見直していく。シリコンの調達やオフィスの10年間の長期契約も同様である。シャープ<6753>のブランドライセンスについても世界中から買い戻したい。鴻海精密工業の力を利用して解約や見直しをしていく」などと述べた。

 2016年度上期のセグメント別業績は、IoT通信の売上高が前年同期比38.5%減の723億円、営業利益が同41.2%減の61億円。「国内スマートフォンの低迷により販売が減少。だが、組織のスリム化、開発の効率化により、販売減の影響をミニマイズし、黒字化した」という。

 健康・環境システムの売上高が同7.7%減の1390億円、営業利益が5.2倍の131億円。「為替変動や天候不順の影響があったが、蚊取り機能付き空気清浄機が販売が好調であるほか、ヘルシオシリーズによる高付加価値商品の販売拡大が見られた。経費削減への取り組みなどにより収益性が大幅に改善した」。

 ビジネスソリューションの売上高は同7.3%減の1596億円、営業利益が同32.9%減の112億円。「2015年、国内向けに販売したカラー複合機が好調だったが、海外での流通在庫是正に伴う販売減が影響した。だが、健全な収益性を確保している」と述べた。

 カメラモジュールの売上高は同31.3%減の837億円、営業利益がマイナス11億円の赤字。「事業拡大を加速している分野であり、徹底したコストダウンも図ったが、大手スマホ顧客向けカメラモジュールの需要減少と為替変動が影響している」という。

 電子デバイスの売上高が同27.8%減の934億円、営業利益がマイナス3億円の赤字。「車載カメラとレーザが伸長したものの、スマホ顧客向けのセンサモジュールが減少した」。

 エネルギーソリューションの売上高は前年同期比33.6%減の522億円、営業利益がマイナス48億円の赤字。「海外では増加したが、国内用の住宅用、産業用ソーラーが減少。第2四半期の販売増やコストダウンしたものの、買い付け契約評価引当金を追加計上したことがマイナスになった」という。

 ディスプレイデバイスの売上高は同36.0%減の3575億円、営業利益がマイナス146億円の赤字。「スマホ向け需要減少が影響。また、工場の稼働率低迷の影響があった。構造改革効果や経費削減により、赤字幅は縮小している」と語った。

 なお、ディスプレイデバイスには、従来のデジタル情報家電を含めており、「垂直統合による競争力強化を図り、鴻海グループが持つコスト力、商品力、技術と、シャープ<6753>の高付加価値を組み合わせることで、グローバルで通用する新規商品を創造し、ディスプレイ事業におけるシャープ<6753>のブランド力を再び高めることを目指す」と語り、「デジタル情報家電の業績は、単価下落の影響があったものの、国内における4Kテレビの販売を積極的に進めたことで、上期は黒字化している」という。

 一方、これまでの取り組みと、今後の方向性についても説明。野村副社長は、「2016年度上期は、5月に発表した、経営資源の最適化、責任ある事業推進体制、成果に報いる人事制度による『早期黒字化に向けた3つの構造改革』の具体化に注力してきた。下期以降は成長軌道への転換を目指し、鴻海グループとのシナジー効果の発揮、重点事業への積極投資、さらなる経営効率の向上により、売り上げ拡大に軸足を移す。こうした取り組みにより、遅くとも2018年度には東証一部への復帰を目指し、輝けるグローバルブランドへの飛躍を目指す」とした。

 2016年度下期から当期純利益の黒字化を目指し、2017年度は通期黒字化を目指すという。

 具体的な施策として、「経営資源の最適化」では、本社移転による拠点の最適化、合弁解消などによる子会社の再編、人員適正化、資金政策の取り組みによるコスト削減のほか、「責任ある事業推進体制」では収益責任を明確化する分社化経営、機能部門の子会社化、集中購買の推進によるサプライチェーンの改革、各種構造改革を進めるための統制強化を進めるという。また、「成果に報いる人事制度」としては、信賞必罰のための具体的な制度づくりを進める一方、各ビジネスユニットの人材の専門化を進め、ローテーション制度の廃止などに取り組むという。

 成長軌道への転換に向けては、「有機ELディスプレイへのパイロットラインへの投資や、製品ラインアップの拡充などの成長事業に投資している。協力会社からの生産設備の買い取りや、出資、内製化によるサプライチェーンの一貫コントロールにより、シャープ<6753>主導でキーテクノロジの強化を進める。また、ブランドの強化や戦略事業を担う人材の確保にも徹底して取り組む」と述べた。

 さらに、成長軌道への転換に向けては、「すべての社員、すべての事業が一致団結して“オールシャープ”の総合力を発揮することが大切。個別事業と個別オペレーションを徹底的に強化する一方で、“OneSHARP”の考え方のもと、事業間の連携強化によるシナジーの最大化や、会社経営資源の有効活用による経営効率の追求、全体最適も追求する」とした。

 また、新たなコーポレート宣言として、「Be Original」を発表。創業の精神である「誠意と創意」がこれからも変わらないシャープ<6753>の原点であることを盛り込み、独自商品やサービスを通じて、「新たなオリジナル」を作り続けることを盛り込んだという。

国内拠点を再編するが「人のレイオフはしない」

 一方、戴社長は、「2017年度に最終黒字化するには、いまの事業をしっかりやっていくことが大切。IoTは、OneSHARPによって達成できるものであり、白物家電、テレビ、ソーラー、ディスプレイ、センサ、デバイス、ソフトウェアなどさまざまな製品が組み合わさることになる。鴻海グループとも協業ができる分野。また、白物家電も新たな商品開発ができる分野であり、成長が見込める」と発言。

 ディスプレイ事業の黒字化については、「いつ黒字化できるかは言えないが、自信を持っている。差別化でき、有利なところをもっと発展させ、経営の観点からもチェックにいく。シャープ<6753>のディスプレイ技術は世界一であるが、改善すべきところはまだまだある。コストダウンができ、さらに効率を高められる」と述べた。

 また、有機ELについては、「シャープ<6753>は有機ELの優れた技術を持っているが、私は有機ELの市場性はまだ評価していない。成功するかわからない。だが、試作してみないとわからない。それが成功してから考えたい。有機ELについての協業や顧客先については、一切決まっていない」と回答した。

 シャープ<6753>が持つ仕組みについてもメスを入れる姿勢を示し、「カンパニー同士がお互いに競争することはいいが、それぞれのカンパニーが、各国に販売会社、工場、サービス会社などを持っている。5つのカンパニーごとに、3~4つの拠点があり、これが10カ国あれば、それだけで200社の子会社が存在し、管理できない状況にある。

 表面実装機を買いたい事業部がある一方、ほかの事業部では余っている。それなのに新たなものを購入する。多くの経費がかかっており、削減できる部分は多い」としたほか、鴻海グループとのシナジー効果としては、「シャープ<6753>の物流会社は専業ではなかったため、コストが高かった。これを分離して、鴻海精密工業の仕組みを利用することにした。世界一のEMSである鴻海の物流コストは低い。白物家電とテレビだけで、半年間で20億円のコスト削減ができた。今後、扱う製品の幅を広げることでさらなるコストダウンができる」と述べた。

 また、「国内拠点の再編については、いろいろと考えている」と発言。「だが、人のレイオフはしない。私はこれまでに人員削減の話をしたことがない」などとした。

 さらに、現在兼務している鴻海精密工業の副総裁を12月にも辞任し、シャープ<6753>の社長としての仕事に専念する姿勢も明らかにした。

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    最終更新: 2016年11月02日(水)08時00分

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