クルマがネットワークにつながるとできること--トヨタの「コネクテッド戦略」とは

CNET Japan 2016年11月10日(木)19時45分配信

 トヨタ自動車<7203>は11月1日、ネットワークに常時接続する「コネクテッドカー」の普及拡大とそのサービスインフラとなる「つながるプラットフォーム」、ビッグデータの活用などに向けた「コネクテッド戦略」について説明会を開催した。

 トヨタは春に組織変更し、製品群ごとに7つのカンパニー体制へと移行した。その一つが、コネクテッドカンパニーだ。これまで、各担当役員のもとでそれぞれ進めてきた車載機の開発、インフラの開発、戦略企画を1つに集約。4月より一貫した戦略を推進し始めた。トヨタ自動車<7203> 専務役員でコネクテッドカンパニー プレジデントの友山茂樹氏は「迅速な意志決定が可能になった」と自信を見せた。

 車載通信機「DCM(Data Communication Module)」を2002年に実用化し、2005年からレクサスに標準搭載している。地図データの自動更新や盗難追跡サービスといったサービスの提供だけではない。クルマの位置情報や速度情報、エンジン情報、センサ情報、制御系情報を収集し、これらのデータを“ビックデータ”として活用することで、ルート上の事故や渋滞を事前に通知する「先読み情報サービス」も可能だ。例として、ABSの状況やハンドル操作などから道路が凍結している場所が見受けられるので、事故や渋滞が起きそうなルートを回避するといった案内を挙げた。

 ビックデータを活用することで、車両データからクルマの故障や整備の必要性を予知し、販売店への入庫を促進したり、遠隔で診断して適切にサポートしたりできる「eケアサービス<2425>」も可能になる。さらにドライバーの運転を理解した人工知能のエージェントがドライブをサポートする、運転挙動をスコア化し、保険会社やリース会社などに情報提供するといったサービスにも応用できるという。

 今後はDCMをグローバルで共通化し、2020年までに日本・米国市場で販売する、ほぼすべての乗用車に搭載。その他主要市場にも順次拡大する計画だ。

 なお、国内では、冬に発売を予定している新型「プリウスPHV」のほぼすべてのグレードにDCMを標準搭載し、3年間無償で通信サービスを提供する予定だ。まず、スマートフォンからクルマにアクセスしてクルマの充電状態やエアコンを操作して車内の空調を調整できる「ポケットPHV」を提供する。

 さらにクルマの警告灯が点灯すると、トヨタスマートセンターで車両のデータ解析をし、異常要因推定と走行可否の判断、適切なアドバイスを自動的に生成する「eケアサービス<2425>」も提供する。担当販売員のサービスアドバイザーやセンターのオペレーターともデータを共有し、リアルタイムにユーザーをサポートする。

 このほか、ビックデータからクルマのトラブルを予知し、メールで知らせたり点検入庫を促す「故障予知サービス」も提供予定だ。プリウスPHV向けの4年目以降の料金は、年間1万2000円。レクサスではすでに3年間無償で通信サービスを提供しているが、更新率は7割を超えるという。

 トヨタは、こうしたクルマの「コネクテッド化」によって、(1)「つながるプラットフォームの構築」(2)「トヨタ自身のビジネス変革の推進」(3)「新たなモビリティサービスの創出」──の3つを柱に、モビリティ社会の発展とさらなる自動車ビジネスの変革を目指す。

 なお、これらの実現に向けてトヨタは、Microsoft、KDDI<9433>、米国のカーシェアリングサービス企業Getaroundらとの連携も発表している。

 4月には、Microsoftと共同で新会社「Toyota Connected」を、米国テキサス州プレイノに設立した。DCMを搭載した車両から得られるデータの集約や解析、その結果の商品開発への反映などを目的とした合弁会社だ。

 今後は「Toyota Big Data Center」の運用と、ビッグデータをさまざまなサービスに活用するための研究開発を進めるとともに、人工知能の研究機関であるTOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)とも連携していくとしている。

 6月には車両の位置情報から、国や地域毎に選定した通信事業者へ自動接続し、通信状態の監視を総合的に行う「グローバル通信プラットフォーム」をKDDI<9433>と共同で企画・設計すると発表している。これまで、トヨタ自動車<7203>が各国の通信事業者と契約し、合わせたインフラを用意してきたが、KDDI<9433>がアグリゲーターとして入ることでスムーズに進められるという。

 また、トヨタは、車内に設置するだけで無改造でスマホによるドアロックの開閉、エンジンを始動できる「SKB(Smart Key Box)」を開発。2017年1月をめどに米国のカーシェアリングサービス企業Getaroundと共同で、SKBを適用したパイロットサービスを共同で立ち上げるとしている。なお、トヨタは投資ファンドを通じてGetaroundに出資すると報じられている。

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    最終更新: 2016年11月10日(木)19時45分

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