「メルカリ」のゲームアカウント売買解禁が10代に与える影響

CNET Japan 2016年11月05日(土)08時00分配信

 人気のフリマアプリ「メルカリ」で、2016年7月にそれまで禁止されていたゲームアカウント売買が解禁されていたことが話題となっている。この問題が議論されている理由と、10代に与える影響と問題について考えていきたい。

ユーザーからの要望で販売容認もゲーム会社は禁止

 メルカリの利用規約9条では、出品禁止商品として、「物品ではないもの(情報、サービスの提供、会員権などを含むがこれらに限られないものとします)」となっている。一見、電子データ類の出品は禁止のようだが、同社サポートによると「原則可能」だという。実際、以前は通報フォームに「ゲームアカウント」という選択肢があったが、現在はなくなっており、事実上容認されている状態だ。

 同社によると、「お客様からの要望が多かった」ためと、「他社の販売動向などを勘案した結果」解禁したという。もちろん、他のオークションサイトやフリマサイトでもゲームアカウントの売買はされている。たとえば「ヤフオク!」で「Pokemon GO アカウント」で調べると、多数の出品が見つかる。中には多数の入札があるものや、すでに落札済みのものもある。出品されているものを見てみたところ、全ポケモンをコンプリートしているもの、カイリューなどの強いポケモンが多数いるものなどが多かった。

 しかし、「Pokemon GO」「パズドラ」「モンスト」など多くのゲームでは、規約でアカウントの売買を禁止している。RMT(リアルマネートレード)を許すと、ゲーム自体のバランスが崩れたり、詐欺行為などにもつながるためだ。

販売解禁が10代に与える影響は

 メルカリだけが問題なのではないが、この解禁が10代に与える影響は少なくないようだ。Yahoo!知恵袋などを見ると、規約が改変された今年の夏前後から、

 「メルカリではゲームアカウント販売できますか?」

 「メルカリでゲームアカウントが販売可能になっていたみたいですが…」

 「ゲームアカウントを販売してもいいことを知りました。ぜひ売ってみたいのですが…」

 など、売れることに半信半疑のユーザー、売れるなら売りたいというユーザーであふれている。

 ヤフオク!とメルカリでは、ユーザーの年齢層が異なる。そもそもヤフオク!では、規約により出品は「満年齢18歳以上であること」、落札は「15歳以上であること」と明記されている。未成年が入札・落札を行う場合は、保護者などの法定代理人の同意を得る必要があるとされており、未成年のサービス利用は制限されている状態だ。

 一方、メルカリの規約では、「ユーザーが未成年である場合は、事前に親権者など法定代理人の包括的な同意を得たうえで本サービスを利用しなければなりません。ユーザーが未成年である場合は、親権者の同意の有無に関して、弊社から親権者に対し、確認の連絡をする場合があります」と記載されているのみで、事実上サービスの利用に年齢制限は設けられていない。

 メルカリだけでなく、10代に人気のフリマアプリ「フリル」でも、「LINE MALL」でも、年齢制限は設けられていないものが多いようだ。そもそも、ヤフオク!はPCから始まったサービスであり、ユーザーの年齢層は高めだ。一方のフリマアプリはスマホからの利用が前提となっており、若者をターゲットとしていることは間違いない。

 つまり、若者に人気の高いメルカリでゲームアカウント販売が解禁されたことは、10代の行動に大きな影響を与える可能性があるのだ。ある高校生ユーザーは、「最近ゲームアカウントの出品が多いと思った」と答えている。禁じられている間は「いけないもの」という認識があるが、解禁されたことで「許可された」と感じ、自分もしてみたいと思うユーザーが増える。

 前述の高校生ユーザーは、「ゲームアカウントが売れるなんて思わなかった。いいアルバイトになるかもと思った」と答えている。10代ユーザーは時間はあり余っているが、お金を持っていない。「ゲームを遊んでお金が手に入るならおいしい」と考えているそうだ。デジタルアーツ<2326>の「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(2016年2月)によると、男子高校生の79.6%、女子高生の68.9%がインターネットでお小遣い稼ぎをしたことがあるというが、それがRMTになる可能性は十分にあるわけだ。

社会のルールを守ることを教えよう

 執筆現在、RMTに関する法律は見当たらない。しかし、すでに述べた通り、多くの運営会社は規約でこれを禁止している。Yahoo!ゲーム版「ドラゴンクエスト」は、3月末に「RMT(リアルマネートレーディング)に起因する問題に対処し、万全な状態でのサービス提供が困難になった」ことからサービスを終了している。RMTにより、ゲーム運営が破綻につながる可能性があるのだ。

 10代は社会のルールを学ぶべきときだ。RMTについては意見が分かれるところがあるようだが、少なくとも規約で禁止されていることはしないのが社会のルールだ。オークションサイトやフリマアプリでは容認されていても、肝心のゲーム側では禁止されているなら、するべきではないだろう。保護者は子どもが安易にそのような行動に出ないよう、見守る必要があるだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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    最終更新: 2016年11月05日(土)08時00分

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