「SNOW」や「MixChannel」は、なぜ10代に人気が高いのか?

CNET Japan 2016年11月12日(土)09時10分配信

 動画コミュニティ「MixChannel」の2016年10~12月版の媒体資料が興味深い。MixChannelは現在、ダウンロード数550万を突破し、1カ月の動画再生数は5.5億回、訪問者数は400万人以上となっている。利用者の年齢層は16歳が17%、17歳が16%、15歳・18歳が各14%と中高校生が大半であり、女性が81%を占める。圧倒的に女子中高生に人気が高いのだ。

 MixChannelの媒体資料によるユーザーペルソナは、ズバリ「周りの友だちやウェブ上の友だち(Twitterのフォロワーなど)にスゴイ、カワイイと思われたい自己承認欲求が強い」というもの。SNSで積極的に発信を繰り返し、リアルを含めSNSの友だちに「いいね」やリツイート、賞賛のコメントなどを強く望んでいるというわけだ。この連載で繰り返し解説してきた今どき10代女子像そのものだ。

 MixChannelには、カップル動画やツインズなど、自分たちが主役になれる動画が多く投稿されている。周囲にスゴイ、カワイイと思われたいという自己承認欲求を満たすのがMixChannelであり、同時に人気が高い理由となっているのだ。

 最近、自撮りカメラアプリ「SNOW」(iOS/Android)も10代において人気が高まっている。その理由と背景、裏に潜む問題点について見ていきたい。

キラキラ写真・動画が撮りたい10代

 10代の子たちがどこかに行ったり何かをしたりする時、まずスマホを構えて写真が撮れる場所を探す。“SNS映えのする写真”が撮れる場所、モノなどを探して、撮影しなければ落ち着かないのだ。写真に残してSNSに投稿しなければ、その場に行ったことやしたことを誰にも伝えられないからだ。「写真が撮れなきゃ意味がない」と女子高生たちは口を揃えて言う。

 あるとき、女子高生が数人で場所のわかるものを囲んで「いえーい」というポーズを撮っていた。自撮りが一発で決まったようで、みんなに「これでいい?」と確認を取っていた。なんとなく「(本物の)カメラでも撮るの?」と聞くと、「え?」という顔をして、興味なさそうに「スマホで全部できるから(カメラはいらない)」と答えていた。

 女子高生たちの撮影した写真をSNSなどで見かけたことがあるだろうか。TwitterやLINE<3938>などで女子高生の公開している写真を見ると、誰が撮ってもほとんど同じ構図になっていることに気づくだろう。彼女たちは写真に個性は求めていない。単に「キラキラしてる」と思われたいだけなので、むしろ、すでに受け入れられているパターンに則った写真が撮りたいのだ。そして、「キラキラしてる」写真は、スマホでも構図とフィルタによって十分作れる。

 彼女たちは、キラキラしている、つまり“リア充っぽい”、“お洒落っぽい”写真を好む。Instagramでよく見かける写真が、彼女たちのいう“お洒落っぽい”写真だ。つまり、お洒落アイテムが綺麗に写っているかどうか、自分たちがキラキラ輝いて見えるかどうかが大切なのだ。だから、比較的安価にお洒落っぽい・リア充っぽい感じを演出できるスターバックスを偏愛しているし、キラキラのお手本を探しては真似をする。

盛ったリア充写真が撮れる「SNOW」

 ジャストシステム<4686>の「エフェメラル(消える)系SNS利用実態調査」(2016年10月)によると、2016年3月に実施した前回調査ではエフェメラルSNSの利用率1位は「Snapchat」だったが、今回はSNOWが1位(56.1%)であり、Snapchatは53.5%だった。Snapchat利用者のうち27.4%が「Instagram Stories」に、25.0%がSNOWに乗り換えていた。

 SNOWは2015年に韓国からリリースされた後発の画像加工アプリだ。送りあった写真は24時間で消える仕組みとなっている。顔認識スタンプが700以上あり、30以上のフィルタで自由に写真を加工できる。顔に動物やキャラクターのスタンプをかぶせ、口を開けたり、まばたきしたりすることでアニメーションも楽しめる。ドイツ銀行の調べによると、日本のユーザーの半分、韓国のユーザーの3分の1以上が、10代の若者だとウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

 「今はSNOWだよね」と女子高生たちはいう。「友だちとのやりとりで受けるので使っている」。Instagramではハッシュタグ「#SNOWアプリ」がついたSNOWで加工した写真が1万3000件以上投稿されている。Twitterでもハッシュタグ「#SNOW」がついたツイートはたくさん流れてくる。

 SNOWが流行した理由には、スターバックスのカップで顔認識スタンプを使う遊びなど、コミュニケーションのきっかけとなり、ネタとして盛り上がれる点もあるだろう。

 しかしそれだけではなく、海外や日本のセレブやタレントたちがこぞって利用し、Instagramに投稿したこともベースにある。そして、SNOWなら「盛れる」。カメラモードにした瞬間に肌がきれいに写る自動補正機能がついており、スタンプによっては自動で目が大きくなるなど、プリクラ的な機能も充実している。スタンプを使えば、自分が隠したい部分を隠すこともできるのだ。

 自撮り写真を理由なしにSNSに載せるとナルシストっぽくて嫌われることがあるが、SNOWを使えば載せられる。楽しそうでキラキラして見える。MixChannelもSNOWも他のSNSに掲載し、キラキラっぽく見せることができるアプリであり、それが人気のベースとなっていると考えられるのだ。

自分を模索することも忘れずに

 女子高生たちは、自分がキラキラして見えることを願っている。他人からキラキラして見えるか否かが彼女たちの幸せであり、行動を規定している。だからこそ、自分がSNSで見かけたキラキラした行動をなぞり、自分もそこの輪に加わろうとする。

 彼女たちがSNOWやMixChannelをコミュニケーションや自己表現に使うことは否定しない。しかし、本当に自己表現できているものはそれほど多いわけではない。MixChannelでも、投稿されている動画のうちウケているものは、クリエイティブなものもあるが、ウケたものを真似ただけのものも多い。

 高校生の時期は、将来に向けて自分を模索すべきときだ。自分の行動が知らぬ間に誰かに規定されていないか、誰かの目を意識した行動ばかりしてはないか、意識してほしい。そして、本当に自分が望むことや、好きなものを見つけてほしい。保護者は、高校生たちが将来に向けた自分のやりたいことや望むことを見つけられているか見極め、アドバイスしてあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

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Twitter:@akiakatsuki

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    最終更新: 2016年11月12日(土)09時10分

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