英国で新たな監視法が成立へ--「民主主義史上、最も強烈」との批判も

CNET Japan 2016年11月21日(月)11時45分配信

UPDATE 英国は、監視能力を大幅に強化する法案を可決した。この法律については、「恐るべき」もので、「危険」だと批判する向きもある。

 「詮索憲章」(Snoopers' Charter)とも呼ばれる新しい法案は2012年、当時の内相だったTheresa May氏が提案したもの。

 それから4年、総選挙を経てMay氏は今や首相となり、法案は最終決定されて現地時間11月16日に上下両院を通過した。

 しかし、市民権擁護団体は以前からこの法案を批判しており、同法によって英政府は「オンラインにおける市民の行動をすべて記録」できるようになると主張する人もいる

 無理もない。本質的にはその通りだからだ。

 新しい法律では、インターネットプロバイダーがすべてのインターネット顧客の最高レベルのウェブ履歴をリアルタイムで、最長1年にわたって記録するよう義務づけており、この履歴には多くの政府機関がアクセスできる。また、要求があり次第、暗号化されたデータを復号するよう企業に強制できる。ただし政府は、どのようにして外国企業にも同様の対応を取らせるのかについて具体的に説明していない。さらに企業は、新製品に新しいセキュリティ機能を搭載する場合は発売前に情報を開示しなければならなくなる。

 この法律によって、情報機関は市民のコンピュータやデバイスに侵入する(equipment interferenceと呼ばれる)力を得ることにもなる。ただし、ジャーナリストや医療従事者など、保護対象となる一部の職業に就いている人は、一般市民よりもわずかにましな保護措置で守られることになる。

 言い換えればこれは、英国のデジタル権利擁護団体Open Rights Groupのディレクターを務めるJim Killock氏の言葉を借りると、「民主主義国家においてこれまでに成立した中で最も強烈な監視法」だ。

 この法案は、国際連合代表や、英国の主要なプライバシーおよび人権保護団体すべてと世界各国の多くの有力なプライバシーおよび人権保護団体、シリコンバレーの数多くのハイテク企業から一様に反対された。この法案の精査にあたった議会の委員会も、一部の条項が「漠然としている」とした。

  Open-Xchangeの調査によると、すべての人がプライバシーに対する基本的権利を有していると考えている人の割合は、英国では74%だった。そのプライバシーが、この法案によってほぼ完全に損なわれようとしている。

 だが、この法案には「ダブルロック」システムのような歯止めがあるため、大臣と、中立な立場の司法委員とが捜査令状を執行する決定に同意する必要がある(ただし、ある上院議員は、そうした主張に異議を唱えた)。

 新たに任命される調査権関連の委員も、権限の行使を監視する。

 大騒ぎしたものの、野党は重要な修正案を精査せず、最終採決を棄権した。Killock氏は先ごろ、野党の労働党は「政府の責任をまったく問わずに」時間を過ごしていると述べている

 一方、政府は、法案をめぐる議論の多くを軽んじてきた。この法案はまったく新しいものではなく、時代後れになった古い「調査権限規制法」(RIPA)を手直ししたものだと一貫して主張してきたのだ。2000年に施行されたRIPAは、大量のデータの収集やネットワークへの侵入などの行為を、秘密裏に実行したり判断したりする新たな権限を「合法化」するものだった。このような行為は、米国家安全保障局の契約職員だったEdward Snowden氏による内部告発で明らかにされた。

 プライバシー擁護団体Privacy Internationalによる訴訟のおかげで初めて、こうした活動の多くは可能になった。Privacy Internationalは、このような隠密活動を公にするのを推進する一方で、その活動が合法である理由の説明を急ぐよう政府に迫った。

 この法案は、数週間以内にエリザベス女王の裁可によって承認される予定だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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    最終更新: 2016年11月21日(月)11時45分

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