マーケターはITに詳しく洗練されてきている--米HubSpot共同創業者のハリガン氏とシャア氏

CNET Japan 2016年11月30日(水)10時34分配信

 マーケティングソフトウェアを手掛ける米HubSpotは、年次カンファレンス「INBOUND 2016」を米国時間11月8~11日にかけてボストンで開催した。マーケティングやセールスの専門家が世界各国から集まり、著名人による基調講演や数多くのセッション、ハンズオンが開かれ、大盛況のうちに幕を閉じた。

 マーケティング分野の変遷やビジネス戦略の進展、検索分野とコンテンツ制作に起こっている変化、チャットボットの可能性について、同社の共同創業者であるBrian Halligan氏(CEO)とDharmesh Shah氏(CTO)に聞いた。

――これまでのINBOUNDを振り返って、どのような変化が見られますか。

Halligan氏:2つの変化に気付きました。まず、イベントが大きくなったこと。INBOUND 2016には1万9000人が参加しました。5年前ぐらいは2000人規模でしたから、本当に大きくなりました。2つ目は、参加者がよりテクノロジに詳しくなり、洗練されてきたということです。私たちがマーケティングの世界に参入したとき、マーケターたちはそれほどテクノロジに詳しくなく、デザインやブランディングの領域が主で、分析主導型の業種ではありませんでした。インターネットであらゆる活動を計測できる時代になりましたので、ますます技術中心の考え方になってきています。

 マーケティングは、BtoBの分野でさらに重要になっています。例えば、10年前、見込み顧客を説得する役割分担は、営業部門が90%、マーケティング部門が10%の割合でしたが、いまでは五分五分です。つまり、見込み顧客が企業サイトのコンテンツやSNSに触れる時間と、営業担当と話をする時間は半々ということです。マーケティング部門に影響力が大きくシフトしているのです。

 それからSNSの変化も見逃せません。多くの購入者が、Google、Snapchat、Twitter、LinkedInなどのソーシャルプラットフォームの中で活動しています。SNSは購入者の説得プロセスにおいて、いまだかつてないほど重要になってきています。

Shah氏:参加者について見ると、より国際的になりました。5、6年前は、20代の米国出身者が中心でしたが、いまでは欧州やアジア、南米からの参加者を目にします。このような他の地域出身の人たちを見ていて面白いのは、それがまるでタイムマシンに乗り込むような感じということです。つまり、彼らの多くは、我々が8、9年前に経験したことを体験しているのです。というのも、彼らはインバウンドマーケティングを始めたばかりで、それはちょうどHubSpotの創業当時と同じような状況です。みんながとてもエネルギッシュでワクワクしていて、それはまるで少し昔に戻ったような、すごく楽しい物語を振り返っているような感じです。私たちはその先で何が起こるかを知っていますから、彼らにどうすべきかを伝えることができるわけです。

――HubSpotのビジネス戦略はどのように進んでいますか。

Halligan氏:HubSpotの成長の歴史を振り返りましょう。最初の4年は、企業と接点のない人を企業サイトの訪問者に変える支援をしてきました。次の4年で、企業のデータベース上で訪問者を見込み顧客に変えるソフトウェアを開発しました。最近では、企業データベース上で見込み客を顧客に変えるソフトウェア開発に取り組んでいます。これがこれまでのHubSpotの成長戦略となってきました。つまり、コンテンツマーケティングからマーケティングオートメーション、顧客関係管理(CRM)へとフォーカスが移り、活用範囲が拡大してきたわけです。

 もう1つの大きな戦略は国際化です。ボストンで創業した当時は全てが地元の顧客でしたが、成長とともに米国全土に拡大していきました。その後、欧州に進出し、現在はアジアへ本格的に展開しています。日本にも大きな投資を行いました。

――基調講演で語った“Human Enjoyment Optimization(HEO)”で検索はどのように変化しますか。

Shah氏:マーケターたちは検索エンジン最適化(SEO)に長年取り組んできました。その考え方とは、検索キーワードを正しい場所へ確実に配置しているかなど、あらゆる技術要素にきっちりと整えることです。Googleをはじめとする初期の検索エンジンは、コンテンツを発見するのに何か助けが必要だったからです。

 Googleは現在、膨大な数のエンジニアを抱えて検索結果を改善しようとしています。つまり、Googleの検索結果を改善する取り組みを支援してあげられれば、勝ち組になれるのです。Googleの利用者を楽しませるコンテンツを作成することで、その有益な情報を提供したGoogleへの満足度につながるというのがその考え方です。これからの検索では、人に最も多くの楽しみをもたらすのは何かを見極めることが必要になるわけです。

――コンテンツ制作はどのように変わっていきますか。

Shah氏:世間が消費したいことがコンテンツとなり、動画や音声などの非テキストのコンテンツへと幅が広がっていくでしょう。また、現在の短くて内容の浅いコンテンツではなくて、より長くて深掘りした内容のコンテンツが配信されるようになります。つまり、私たちが目にしているのは、検索エンジンで勝てない、もしくは人々がシェアしない膨大な量の短い記事がインターネットにあふれているという状況です。世間は深みのあるコンテンツを求めています。物事をもっとよく理解できるようになりたいのです。

 それが彼らを満足させることですが、それに加えて、どうやったら楽しんでもらえるかを考える必要があるわけです。例えば、コンテンツにビジュアル要素を組み込むのも施策の1つです。ユーモアを加えたり、ストーリー仕立てで書いたりすることも効果的でしょう。つまり、簡単に楽しく消費でき、より深みのあるコンテンツがうまく機能するのです。

 質と量が求められる難しいゲームですが、良質なコンテンツを作り出せれば、口コミなどで拡散する可能性はとても高く、その見返りはより大きなものになるでしょう。

――チャットボットについても基調講演で触れていました。どのような可能性がありますか。

Shah氏:チャットボットは、ほとんどのソフトウェアに変化をもたらす可能性を秘めています。チャットボットの面白さは、それ自体にあるわけではなく、会話式のユーザーインターフェースにあります。これまで、新しいソフトウェアを利用するには、まず使い方を学ばなければなりませんでした。何をするにしても、それをコンピュータやソフトウェアの手順に変換する必要があったわけです。

 会話式インターフェースが優れているのは、どんな質問だろうと、どんな作業だろうと、頭の中にあるものをただ口にすればいいという点です。これは大きなシフトです。インターネットやスマートフォンの進化は大きな変化をもたらしました。チャットボットはソフトウェアの構築方法とその使い方を根本的に変えるという意味で、もっと大きな変化になるといえます。

 HubSpotでは現在、マーケター向けのチャットボットを構築しています。しかし、大きな変化は、HubSpotの顧客と彼らの顧客に対して、会話型インターフェースをどのように役立てられるかということです。これが、いままさにHubSpotが取り組んでいることです。

 初期の段階では、例えば、会話式インターフェースをウェブサイトに埋め込むことで、訪問者が文字を打って検索したり、サイト内を探し回ったりする代わりに、ウェブサイトやスマートフォンから質問できるようになるでしょう。HubSpotの次のステップは、顧客がチャットボットを本質的に活用できる製品を作ることです。

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    最終更新: 2016年11月30日(水)10時34分

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