“シェアガール”と巡る、世界で広がる「シェアリングシティ」

CNET Japan 12月07日(水)07時00分配信

 11月24日についに日本でも、千葉県千葉市・静岡県浜松市をはじめとする5都市がシェアリングエコノミーによって地域課題の解決を目指す「シェアリングシティ宣言」を共同発表した。

 地域や都市課題の新たな解決手段としてもますます注目が集まるシェアリングエコノミー。世界各国のシェアリングエコノミーサービスを利用する通称「シェアガール」の筆者が、先行する世界の「シェアリングシティ」を紹介していく。

「シェアリングシティ」とは?

 シェアリングシティとは、都市や街中の空間、モノなどの遊休資産を活用したり、シェアリングエコノミーサービスによってモノや人のスキルをシェアしたりすることで、暮らしを豊かにしていこうという考え方のこと。

 シェアリングシティの概念を導入することで、地域における人口減少の問題や、子育て・介護などの地域共助、地域の市民が観光の担い手となるなど、あらゆる地域の課題を解決し、持続可能な社会を創る新たな手段として、大きな関心が寄せられている。

世界で広がる「シェアリングシティ」の波

 シェアリングシティはすでに、ソウル、アムステルダム、サンフランシスコ、トロント、ミラノなど世界各地で広がりを見せている。その中でも、筆者が訪れたソウルなど、注目のシェアリングシティを紹介したい。

【ソウル(韓国)】

 日本の隣国、ソウル市(韓国)は人口1000万人を超える大都市であり、交通渋滞、環境問題、社会保障などさまざまな都市問題を抱えている。そんな中、ソウル市長パク・ウォンスン氏が、2012年に「シェアリングシティ・ソウル推進計画」を発表し、政府主導型でシェアリングサービス活用浸透への整備や、シェアリングエコノミーサービス企業への資金投資などの支援を積極的に行っている。

 ほかにも、ソウル市が保有する公共施設の貸し出しや、写真・公共データなどの一部に市民が自由にアクセスして活用できる仕組みなど、政府主導で公共資産のシェアが広がっている。

韓国版Airbnb「Kozaza

 Kozazaは、ソウル市が支援した、2012年創業の韓国発・民泊サービス。訪韓外国人と、家を所有するホストをマッチングする。韓国の伝統的な古民家「韓屋」など、ソウル市を中心に5000以上のユニークな民家に宿泊することができる。

深刻な就活問題を解決するスーツのシェアサービス「Open Closet

 Open Closetは、就職面接などでスーツが必要な若者世代が、寄贈されたスーツをレンタルできる非営利のシェアサービス。若者の貧困問題が深刻な状況から生まれたサービスだ。寄贈者はスーツとともに、次の利用者に就職成功祈願のメッセージなども届けることができる。

【アムステルダム(オランダ)】

 アムステルダムは、民間主導型で立ち上がったシェアリングシティ。2013年に設立された民間団体ShareNLを中心に、シェアリングエコノミー推進の活動が広がり、2015年にはアムステルダム市がShareNLと共同で「シェアリングシティ宣言」を発表した。

 また、市内の高齢者や低所得者を対象にシェアリングサービスの割引券 “シティーパス”を発行し、あらゆる市民がシェアサービスを利用できる施策を導入。さらに、Airbnbとアムステルダム市が協定を結び、政府が宿泊税を徴収して既存産業との均衡を図るなど、独自の取り組みを世界に先駆けて実施している。

民間でハブ<3030>となる団体「shareNL

 shareNLは、「社会を再構築する」をミッションに2013年に設立された民間団体。シンポジウムを開催したり、欧州の各都市とのネットワーキングを広げ、都市間学習や情報共有を目的とした世界初「シェアリングシティ・アライアンス」の枠組みを開始したりするなど、行政や海外と積極的に連携をしながらシェアリングエコノミーのネットワークを広げている。

近所の人とモノを無料で、個人間で貸し借りできる「peerby

 peerbyは、shareNLとアムステルダム・シェアリングシティ・プロジェクトが運営するシェアサービス。ハンモックやテントから掃除用具まで4000点以上のモノを、同じ地域の人から無料で貸し借りすることができる。月10万件のマッチングが行われているという。

【ミラノ(イタリア)】

 イタリアでは、2015年にミラノ万博(世界博覧会)の開催都市となり、ミラノに2000万人の来場者を迎えることとなった。これをきっかけに、交通手段や宿泊施設の不足、新たな観光の手段として、シェアリングエコノミーを導入しようと、シェアリングシティに関するさまざまな動きが広まった。

 万博開催時には、1日2000人がカーシェアリングサービスを、1万人がシェアサイクルサービスを利用したという。またミラノではShareexpoや、Sharitalyなど欧州でも最大級のカンファレンスやイベントが多数開催され、市民がシェアリングエコノミーの関心を深めるきっかけとなった。

イタリア発、個人間のミールシェアリングサービス「Gnammo

 Gnammoは、家に招いて料理をもてなしたい人と、食べたい人をマッチングするイタリア発のミールシェアリングサービス。2012年にサービスを開始し、2015年時点で17万人以上が登録するなど、イタリア全土に急速に広がっている。美食の国ならではの、イタリアの郷土料理が多いのも特徴だ。

 都市や街の資産を、さまざまな形でシェアすることで持続可能な社会を目指す、世界の「シェアリングシティ」を紹介した。課題先進国である日本でも、「シェアリングシティ宣言」が発表されるなど、シェアリングエコノミーに大きな期待が寄せられている。今後の展開に目が離せない。

石山安珠(Anju Ishiyama)

通称「シェアガール」

ICU卒業後、株式会社リクルート<6098>、リクルートキャリアを経て、現・株式会社クラウドワークス<3900>経営企画・一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局担当。
海外各地のシェアサービスを体験。2016年はインドネシア、イギリス、フランス、ドバイ(アラブ首長国連邦)を回る。
都内シェアハウス在住、実家でもシェアハウスを経営。

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    最終更新: 12月07日(水)07時00分

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