明暗分かれたiPhoneとiPad--2016年に購入した製品で振り返るApple(前編)

CNET Japan 01月05日(木)11時00分配信

 1週間のApple関連ニュースをまとめた「Appleニュース一気読み」。2017年も、引き続き、毎週お届けして行ければと思っている。

 さて、Appleを定点観測している中で、改めて2016年を振り返ってみると、さほどネガティブな印象は抱いていない。

 確かに15年ぶりの減収減益や、その原因となった中国の急激な減速、iPhoneがサイクルから外れてデザイン変更しなかった点、デスクトップのMacに新製品が出なかった点など、読者の皆さんが気にしている点もたくさんあるかもしれない。

 しかしいずれについても、合理的な説明がつく。中国の減速は、iPhone 6シリーズの「売れすぎ」からの反動であり、むしろ2015年度に稼げるだけ稼いだという印象の方が強い。

 iPhoneのデザイン刷新がなかった点は、ハイエンドスマートフォンの買い換えサイクルが2.5年へと長期化しているトレンドを見越してのものだ。

 Macの新製品についても、買い換えサイクルを意識した刷新に留まっており、MacBook Proが4年半ぶりに刷新されたことも説明がつくし、iMacが登場しなかった点もしかりだ。もちろん、新製品を待ち望んでいる人にとって、残念な結果であることは変わりないのだが。

 筆者は2016年に、iPad Pro 9.7インチ、iPhone 7 Plus、MacBook Pro 13インチTouch Barモデル、Apple Watch 42mm スペースグレイアルミニウムケース、AirPodsという5つのApple製品を手に入れた。

 iPhoneこそ買い換えサイクルは1年だったが、MacBook Proは2012年4月以来実に4年半ぶりだ。iPadを手に入れたのは2013年11月発売のiPad mini 2以来で、現在もiPad mini 2は現役モデルとして販売されている。

 こうした買い換えサイクルを見ると、必ずしも新製品が毎年出る必要はなく、大きなフォームファクターの変更のタイミングに合わせた需要喚起を行う方が重要であることが分かる。

 自前のデバイスを中心に、2016年のApple製品を振り返っていこう。

良くも悪くも正常進化だったiPhone 7 Plus

 前述の通り2014年モデルとなるiPhone 6が爆発的に売れたが、その買替え需要が訪れるのは早くとも2017年モデルが登場するタイミングだ。

 iPhone 7は2014年モデルであるiPhone 6と同じデザインで登場した。その点で言えば、iPhone 7ではなく、「iPhone 6se」や「iPhone 6t」(thirdのt)という名前にしておけば、誤解も少なかったかもしれない。

 iPhone 7 Plusのデザインは変わらなかったが、スマートフォンの顔となるディスプレイの美しさは非常に満足度が高いものだった。明るすぎて普段は輝度を落とさなければならないほどだ。また発色も良く、iPhone 7 PlusやiPhone 7、iPad Pro以外のデバイスでの見え方を気にしなければならない。

 またiPhone 7 Plusには2倍望遠のレンズが備わっている。ミラーレス一眼デジタルカメラを使用している筆者からすると、標準と望遠の2つの単焦点レンスを持っていて、それを1タップで付け替えられる感覚だ。

 2つのレンズを生かしたポートレートモードによるぼけの表現は、若干輪郭が不自然にぼやけることもあるが、ピタリとハマると、スマートフォンのカメラで撮ったとは思えない味のある情景を切り取ってくれる。

 防塵防滴性能を得たこと、バッテリーがより長持ちするようになったこと、処理性能が向上したことなど、進化のポイントはいくつもあるし、デバイスへの満足度も高い。

 しかし「安心して使える大型のiPhone」という評価を覆すほどのものではない点は、技術的な側面、デザイン的な側面、そして買替え需要の見込みを総合した、現時点での「最良」であると捉えるべきだろう。

コンピューティングのスタイルを変化させたiPad Pro 9.7インチ

 iPhone以上に筆者の生活を変えたのはiPad Proだった。

 2016年3月に開催されたイベントで発表されたiPad Pro 9.7インチモデルは、単なるiPadの新機種という位置づけだけではなかった。プレゼンテーションでフィル・シラー上級副社長は、「PCからのリプレイスに最適」という紹介が行われたからだ。

 その際に筆者は、MacBook Airが刷新されなくなることを予測し、実際に2016年11月のMacBook Pro発表会でそのことが確認された。

 iPhoneが主要ビジネスとなっているAppleにとって、同じOSとアプリが利用できるiPadを、コンピューティングのメインストリームに引き上げようという意図を感じたことが、MacBook Air終焉の根拠となった。

 依然として、パソコンとしてのMac、タブレットとしてのiPad、という見方があることには同意する。筆者も、パソコン > タブレット というコンピュータのヒエラルキーを意識しているからだ。

 しかし、その概念を崩そうとしているのが、2016年のAppleにとってのチャレンジだった。

 2016年4月以降、この原稿も含めて、筆者が仕事の多くをiPad Proでこなしてきた経験を考えると、パソコン・タブレットの境目を埋められるだけ、既にアプリが充実しているということだ。しかも、セルラーモデルなら、Wi-Fiを探さなくても仕事やコミュニケーションを途切れることがない。

 これまで、PCを持ち歩く際は15インチMacBook Proを担いでおり、ACアダプタやアクセサリなどを含めると3kg以上になるカバンの中身は、iPad Proに変わってから700gにまで軽くなった。

 またコンパクトであることから、狭い飛行機の座席やカフェのカウンターでも気軽に使えるようになった。デスクトップPCを持たない生活をスタートさせて久しいが、タブレットを主たるコンピュータとして使うようになり、より純粋なモバイル環境を手に入れた感覚だ。

 アプリの充実は今後も続いていく。より多くの人が、iPadで十分役割を果たしてくれる環境が作られていくだろう。アプリ開発者次第という面もあるが、Microsoftが積極的にiPadアプリに対応している点は、タブレットへの移行を後押ししているように感じる。

 販売台数全体を考えれば、iPadは引き続き、長い販売台数下落のトレンドの中にある。ただし、iPad Pro 9.7インチの投入後、販売台数の下落は止まっていないものの、売上高はプラスに転じている。平均販売価格が上昇したことが原因で、少ない台数でより多くの売上高を上げていく低成長時代に理想的な展開が期待できる。

 iPhoneについても、より大きなストレージへ、より大きな画面へというニーズを掘り起こしていくことで、平均販売価格の上昇、すなわち少ない台数で同じだけの売上や収益を得る構造を作っていこうとしている。

 ただし、iPhone SEや、依然好調な旧モデルとなるiPhone 6sシリーズなど、価格の安いiPhoneが売れていくことも重要だ。新興国やハイエンドを求めないユーザーへのiPhoneの普及は、平均販売価格と引き替えに進めていかなければならない。

 このバランスが2017年にどのあたりに収まるのかにも注目していくべきだろう。

CNET Japan
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    最終更新: 01月05日(木)11時00分

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