iOS 11から見る「次期iPhoneの兆候」を考える

CNET Japan 2017年08月15日(火)20時08分配信

 AppleのTim Cook CEOが、CNBCのインタビューで語った「特に中国で次のiPhoneに関するうわさが、現在のiPhoneの販売に影響を与えている」という話は興味深いものがあった。既にCNETでもさまざまな「噂」と「兆候」が報じられている「iPhone 8」とされる端末の存在。

 5.8インチの有機ELディスプレイが搭載され、実際に表示できる領域が5インチほどになる、といわれている。充電はワイヤレスに対応し、ホームボタンは廃止され、またカメラには3Dセンサが含まれるようになるという。

 そうした製造レベルの話としての伝わってくる情報と、iOS 11の中で呼応する情報があるか探してみると、面白い分析を行える。今回は、4つのポイントについて、考えてみよう。

1. アンテナピクトが変わる

 WWDC 2017で披露されたiOS 11の画面を見て「おや」と思ったのは、電波強度を示す表示が変更されていたことだ。フラットデザインを全面的に採用したiOS 7で、5本のバーから5つの円に変更されたのだ。フラットデザインを採用する中で、ボタンなども円形に整えられており、平面の中の曲線要素としてコントラストがついていた。

 しかしiOS 11では、再び、長さが違うバーのデザインに戻されていることに気づいた。しかも、本数はこれまでの5本ではなく、4本に減らされているのだ。

 円の表示とバーを比較すると、バーの方が省スペースになる。しかも1本削っていることから、さらにスペースが減らされることになる。

 現在で回っているiPhoneのプロトタイプとされるデザインは、前面の全てがディスプレイで覆われるが、カメラや受話スピーカーの部分がディスプレイに食い込むように確保されている。つまり現在のiPhoneの画面上部が、この部分で左右に分断される可能性がある、ということだ。

 現在のiOSの画面最上部は、左から、電波強度、キャリア、通信の種類(3G/4G/LTE/Wi-Fi)、時計、画面回転禁止、位置情報、アラーム、電池残量がならんでいる。この中央部分が使えなくなるなら、時計をどちらかに逃がす必要が出てくる。

 電波強度表示のスペースを小さくして、時計を逃がす、みたいな工夫をするのではないか、と考えてみてはどうだろう。

2. ロック画面と通知画面の融合

 WWDC 2017で披露されたiOS 11のデモでは、新しくなったコントロールセンターに注目が集まっていたが、個人的に、iOS 10から気になっていたのがロック画面についてだ。iOS 10では、ロック画面でありながら、「Touch IDでロック解除している状態」が存在していた。そうしておくと、届いている通知になんらかの編集を行う際やウィジェット操作を行う際に、追加のロック解除を求められなくなる。

 裏を返せば、ロック画面なのに、ロック解除後の作業ができる、という状態が存在していたことになる。以前から「ロック解除済みのロック画面」というなんとも解釈しにくい状態の存在が、気になっていたのだ。

 そして、iOS 11では、そのロック画面が通知画面と融合した。つまり、ユーザーはいつでも、画面上部を下にスワイプすれば、ロック画面のデザインを呼び出せる。もちろん、何かアプリの操作をしていて通知画面を呼び出すわけで、ロックは解除されていない。

 ここで考えたのは、ロック画面と通知画面の融合は、ユーザーにとって、ロック解除を意識させなくなるのではないか、ということだ。そうしたアイデアは、現在ささやかれているiPhone 8へのTouch ID非搭載の話と符合する。ホームボタンが廃止され、指紋センサの搭載場所について、前面のディスプレイ内か、背面、といったアイデアが出ていたが、非搭載という選択肢も語られるようになったのだ。

 その代替として、3D顔面認証、おそらくFace IDあたりの名前になると考えられるが、顔によるロック解除や各種認証を行うことになる、というのだ。

 顔面認証の場合、指紋と違って、何か特別な操作をしなくても良い。もしロック解除をしたければ、端末を自分の方に傾ければ済む。

 現在のiPhoneでは、モーションセンサを使って、端末を持ち上げれば画面が点灯する仕組みが備わっており、iPhoneを見る動作で、画面の点灯と顔面認証が済んでいる状態を作り出せるのだ。

3. 黒基調の画面デザイン

 液晶ディスプレイと有機ELディスプレイにおける「黒」と「白」は、真逆の意味合いを持つ。液晶ディスプレイにおける「白」は、偏光フィルタに何も出さず、バックライトの光がそのまま目に届いている状態だ。黒は、電力を使って偏光フィルターで光を遮っていることを意味する。他方、有機ELディスプレイの場合の黒は消灯、それ以外の色は点灯だ。

 つまり、液晶ディスプレイと有機ELディスプレイでは、省電力となる表示方法が真逆で、液晶は白、有機ELは黒が、それぞれより電力が少なく表示できることになる。

 iOS 7以降、白を基調とした画面デザインが採用されており、iOS 11でもそのデザインが引き続き採用されている。しかし、iPhone 8で有機ELディスプレイに変更されると、省電力を追究する表示方法ではなくなるのだ。

 iOS 11のアクセシビリティの視覚サポート機能にある「画面の色を反転させる」は、単純に色相を逆転させる機能だったが、これに、背景と文字を反転させ、それ以外の画像をそのままのカラーで表示する「スマート」というオプションが追加されたという(iOS 11’s new ‘Smart Invert Colors’ is the closest thing to Dark Mode yet | 9to5Mac)。

 標準の時計アプリはもともと黒い背景で構成されており、今までの色の反転機能を使うと、白い画面になってしまっていた。しかし新しいスマート反転機能を使うと、もともと黒かった画面は黒いまま表示されることになる。

 つまりこの機能を使うと、iPhoneの画面全体がダークモードで表示される形になり、有機ELディスプレイにとって、最も電力効率の高い画面表示を実現することになる。

 たとえば、電池が20%以下になると移行を促される「省電力モード」のオプションに、画面を黒くするオプションが追加されたり、新しいコントロールセンターで、一発でダークモードに移行するボタンを配置できるようになるかもしれない。

4. ARKitとVRと3Dセンサ

 AppleはiOS 11の目玉として、機械学習フレームワークのCoreMLと、拡張現実機能をライセンスなしでアプリに実装できるARKitを披露した。

 ARKitのデモは、とても先進的とは言い難く、非常に基礎的なものだった。テーブルを認識してそこに何かを配置したり、ゲーム盤を配置して遊ぶ、といったデモは、決して目新しいものではなかった。

 ただ、iPhone 7やiPad Proといった既存のカメラとモーションセンサを搭載するデバイスであっても、距離やサイズの測定には非常に正確であるという印象を受けた。

 ARKitを用いたデモとして有名になったメジャーを仮想表示するアプリでは、かなりの長さまで、実際に置かれているメジャーと同じ数字で計測できている点には驚かされる。

 しかし、ARKitだけでは実現できないこともある。認識する対象として披露されたのは床面やテーブル面だけで、壁面などに対する認識には触れられていなかった。空間的な認識については、言及を避けていた格好だ。

 実際にそうした認識や処理ができるデバイスの例に、Googleの拡張現実プラットホーム「Tango」に対応するLenovoやASUSのスマートフォンがあるが、これらには赤外線センサが搭載され、深度を計測する機能が搭載されている。

 もしもAppleがARの世界に本格的に取り組むとしたら、距離や深度を計測できるセンサをiPhoneにも取り込むべきだ。ちなみにiPhone 7 Plusの2つのカメラを用いて同様のことは可能となっており、デュアルカメラによって実現する可能性もある。

 3Dセンサを搭載するカメラの可能性はARだけでなく、前述の顔面認証にも用いられるため、背面だけでなく前面のカメラにも採用されるのではないだろうか。

 そしてもう1つ。AppleはWWDC 2017でiMac、MacBook Proの新製品をリリースしたが、iMacのデモではVR編集に耐えうる性能の高さを強調していた。しかし、Appleのソリューションで、ARやVRのコンテンツを撮影する製品はまだない。

 iPhone 8のカメラが3Dセンサに対応することで、撮影から編集までをApple製品で実現するエコシステムを完成できるようになる。

 そのため、例えばカメラであれば、空間の中に被写体が立体的に浮かび上がる新しい表現を実現したり、ARやVRの素材を撮影したりできるAPIを用意するといった進化がもたらされるのではないだろうか。

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    最終更新: 2017年08月15日(火)20時08分

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