シャープ、AIoT戦略企画チームを立ち上げ--事業の枠を越え新商品創出へ

CNET Japan 2017年11月14日(火)17時06分配信

 シャープ<6753>代表取締役社長の戴正呉氏は11月14日、社内イントラネットを通じて、毎月恒例となっている社員に向けたメッセージを発信した。

 今回のメッセージは、「新たな挑戦、飛躍的成長に向けて」と題し、2017年度上期決算の報告のほか、8KエコシステムやAIoTの取り組みなどについて言及した。

 最初に戴社長は、10月27日に発表した2017年度上期決算について説明。「2017年度上期は、3年ぶりに当期純利益の黒字化を達成。さらに、5月に公表した業績予想を、売上高、利益ともに上回り、四半期単位では、2016年度第3四半期から、4四半期連続で当期純利益黒字を達成した。つまり、1年を通して黒字を達成した。また、2017年度通期業績予想の上方修正も発表した」と述べた。

 決算内容に対して、記者やアナリストから、「順調な業績回復がうかがえる決算」といった声や、「『有言実現』がしっかり果たされた」などの評価が出ていたことに触れながら、「好決算の要因は、国内および海外、そして、すべてのセグメントで対前年伸長を成し遂げ、全社で前年同期比20%以上の売上拡大を達成したこと、想定を上回るコストダウンができたことにある」と総括した。

 一方で、記者やアナリストからは、「下期以降も継続的に増収増益を達成できるか注視したい」といった指摘や、「AIoT、8Kエコシステムでの実績や、それらに関連する新規事業の創出に着目したい」といった声など、今後の成長に注目する声が数多くあがっていることを示しながら、「これは、私たちが、今後、成し遂げなくてはならない大きなテーマであり、下期には、具体的な成果を必ず示していこう」と呼びかけた。

業務用8Kカムコーダ発表、「8Kエコシステム」に本腰

 決算内容に続いて触れたのが、「8Kエコシステム」である。

 戴社長は、中期経営計画において、映像を生成する「カメラ・編集システム」、映像を伝送する「通信・放送インフラ」、映像を映し出す「表示機器」の3つを、8Kエコシステム構築に向けた重点事業領域に設定したことに触れ、「各領域において、取り組みが着々と具体化している」として、それぞれの進捗状況を説明した。

 「カメラ・編集システム」では11月7日に、業務用8Kカムコーダを発表し、これが、シャープ<6753>にとって新たな挑戦となることを示しながら、「発表会では、8Kエコシステム構築に向けた取り組み状況や業務用8Kカムコーダの特徴、当社が果たす役割、今後の展望などについて説明するとともに、同製品の開発に技術協力をしてもらったアストロデザインから、同社が手掛けるさまざまな映像機器や8K関連の取り組みについて紹介してもらった」と前置き。

 「この業務用8Kカムコーダは、世界で初めて、1台で8K映像の撮影、収録、再生、ライン出力を実現した『カメラ/記録部一体型カムコーダ』である。これまでの8Kカメラと比較して、持ち運びやすく、扱いやすいという特徴があり、格段に豊かな映像表現を実現できる。この業務用8Kカムコーダを皮切りに、映像制作機器という新たな分野に本格参入し、8K映像制作に必要な環境を早期に構築。映像コンテンツの8K化を一気に加速していきたい」と語った。

 また、発表会の出席者からは、「カメラは8Kエコシステムの入口となる要の製品で、重要な役割を果たすことが理解できた」、「既存の8Kカメラより1桁低い、思い切った価格設定に驚いた」などの声があがっていたことも紹介した。

 シャープ<6753>は、11月15~17日までの3日間、千葉県の幕張メッセで開催される2017年国際放送機器展「Inter BEE 2017」において、アストロデザインと共同で出展。展示会では、業務用8Kカムコーダをはじめ、8K対応テレビ「AQUOS 8K」、業務用8K映像モニタのほか、アストロデザインの編集機器などを展示。「両社が共同で実現する放送・映像分野の8Kエコシステムを、映像制作のプロの方々に体験していただこうと考えている」と述べた。

 「通信・放送インフラ」では、業務用8Kカムコーダの発表会同日に、NTTドコモ<9437>と共同で取り組んできた「5G技術を活用した8K映像の12チャンネル同時伝送実験」に成功したことを発表したことに触れた。

 「これまでのLTE(4G)では、データ量の大きさが問題であったが、5G通信を活用することによって、安定的な8K映像の複数チャンネル同時伝送が可能になる」とした。

 また、「表示機器」では、「AQUOS 8K」について説明。「AQUOS 8Kのデビューまで残り3週間を切り、大都市圏において、複数のイベントに出展したり、テレビコマーシャルを予定するなど、プロモーション活動は佳境を迎えている。今月下旬から販売店への配荷を開始し、12月1日の発売日には、大型店舗を中心に、日本全国のさまざまな店舗で、AQUOS 8Kを体験いただける予定である。さらに、AQUOS 8Kの発売に合わせて、12月1日から1カ月間に渡り、デビューキャンペーンとして『シャープ<6753>8Kテレビ誕生祭』の実施も予定している」と語った。

 戴社長は、8Kエコシステムの取り組みの発展性にも言及。「こうした3つの重点事業領域の技術を核に、AIやビッグデータ、さらには関連パートナーが持つ技術などを組み合わせて、8Kエコシステムを実現するさまざまな革新的なソリューションを創出することに取り組んでいる。たとえば、医療分野では、カイロスなどと共同で構築した8K内視鏡システムの医療現場への設置を開始しており、工業分野では、精密機器の生産現場で微細な傷を発見する検査システムを構築し、まずは、当社国内工場への導入を検討している。また、農業分野への展開を見据えて、害虫駆除や農作物の生育管理システムの構築のほか、美術館や博物館向けには、展示物と8K映像のコラボレーションによって、展示物に関する理解をより深め、新たな発見や感動を生むための仕組みづくりなどを検討している。その他にも、警備やインフラ保守、パブリックビューイングでのスポーツ観戦、教育など、幅広い分野でイノベーションの創出に向けた取り組みを進めている」と語った。

 「今後も、特徴ある技術や商品の開発に加え、ソリューション創出への取り組みを一段と加速し、1日も早く、シャープ<6753>が目指す8Kエコシステムを実現することで、人々の生活や文化の向上に貢献していきたい」とした。

COCORO+サービスとスマートスピーカを連携したい

 AIoTに関しては10月19日に、「ヘルシオ」や「ホットクック」向けに料理キット宅配サービス「ヘルシオデリ」を開始したことを紹介。「当社のAIoTをより魅力的なものにするためには、サービスの拡充が重要であり、その観点から開始したサービスがヘルシオデリである。利用者からは、『美味しい料理が簡単に作れた』などと好評であり、今後は、さらに認知を広げるとともに、メニューの拡充にも取り組んでいく」とした。

 また、11月11日には、AIoT対応の新型AQUOSの発売に合わせて、音楽配信サービス「COCORO MUSIC」や、ゲーム配信サービス「COCORO GAME」の提供を開始したことを紹介。「10月以降、日本でもGoogleやAmazon、LINE<3938>などから、スマートスピーカが発売されているが、こうした機器と当社のCOCORO+サービスとの連携を進めるなど、当社と他社の機器やサービスがつながる仕組みを構築していく」と述べた。

 戴社長が、他社のスマートスピーカと連携していく姿勢を強調したことで、この分野におけるシャープ<6753>の今後の動きが注目されそうだ。

 さらに、「当社のAIoT戦略をより一層磨き上げるためには、『One SHARP』として、事業間の連携をこれまで以上に強化しなくてはならない」とし、各事業本部の実務レベルのキーマンで構成したワーキングチームとして、AIoT戦略企画チームを新たに立ち上げたことを明らかにした。

 「10月18日から2日間に渡り、第1回ワークショップを堺本社で開催した。今後、引き続き議論を積み重ね、事業の枠を越えた新たな商品やサービス、さらにはビジネスモデルのアイデアの創出につなげてほしい」と語った。

ASEAN市場に注力、売上拡大へ

 続いてのテーマとしてあげたのが、「ASEAN事業の拡大」である。

 戴社長は、「海外市場における事業拡大は着実に進捗している。だが、市場のポテンシャルや当社のリソースを勘案すると、海外市場の中でも、ASEAN市場が、最も力を発揮できる市場であり、これまで以上に挑戦的な目標を掲げ、事業を拡大していかなければならないと考えている。こうした考えのもと、より効率的な事業推進体制を実現するための構造改革はもとより、売上拡大への取り組みをさらに強化していく」とした。

 2018年1月に、マレーシアでは、販売会社であるSAM/SMSSを統轄会社のSEMに統合し、シンガポールでは、デバイス販売会社のSESLを、家電販売会社のSSCに統合し、両国において、1国1販社体制を構築。タイでは、販売会社のSTCLを連結子会社化し、今後、事業本部主導のもと、タイの市場ニーズに合わせた商品カテゴリやラインアップの拡充を進めていく姿勢を強調した。

 また台湾では、2017年7月に販売会社のSTEが発足して以降、マーケティングの専門家が中心となって、商品の特徴や顧客層に合わせたタレントや宣伝メディアの活用に加え、精緻な費用対効果の検証などを行った結果、売上げが大幅に伸長したことを示しながら、「前回のメッセージでは、ASEAN市場におけるマーケティングやブランディングについては、まだまだ改善すべき点があると指摘したが、こうした知見を持つ台湾のメンバーと、日本のブランディングデザイン本部のメンバーで構成したチームをASEANの各拠点に派遣し、ノウハウの横展開を進め、飛躍的なレベルアップを実現していく」と述べた。

 戴社長は、11月下旬には、再度ASEANに出張して、前回視察が実現しなかったマレーシア、シンガポール、ベトナムの3拠点を訪れて、管理、統制面の状況を確認し、直接指導するとともに、タイで行われるプレスイベントや、マレーシアでのディーラー大会にも出席し、積極的にシャープ<6753>をアピールする姿勢を示した。

 メッセージの最後に戴社長は、「2016年12月末の社長メッセージで、私は、『2017年はV字回復を果たし、トリのように大きく羽ばたく1年にしよう』と話したことを覚えているでしょうか?」と投げかけ、「2017年も残すところ1ヵ月半となった。この間、3四半期連続で売上高の前年伸長を達成するとともに、利益についてもV字回復し、中期経営計画の完遂に向けて、順調な一歩を踏み出すことができた。1年の締めくくりとなる年末商戦も社員全員の力で勝ち抜き、より一層、空高く羽ばたいていこう」と呼びかけた。

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    最終更新: 2017年11月14日(火)17時06分

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