シャープの液晶技術をフル活用--「AQUOS R compact」と「AQUOS sense」レビュー

CNET Japan 2018年01月12日(金)09時31分配信

 2017年にスマートフォン戦略を大きく転換したシャープ<6753>。フラッグシップモデルの「AQUOS R」では、得意のIGZO液晶技術をフル活用した快適な操作性など端末の完成度の高さに加え、これまでキャリア毎に異なっていたブランド名を統一したり、2年間のOSアップデートを保証したりするなど、これまでにない施策を次々展開したことで大きな注目を集め、人気となった。

 そのAQUOS Rの系譜を継いだ新機種が、auとソフトバンク<9984>から発売されている「AQUOS R compact」だ。1月11日には、SIMフリースマートフォンとして製品化することも発表。1月下旬より発売予定だ。

 同機種は4.9インチディスプレイを搭載しながら、4.7インチディスプレイを搭載した「iPhone 8」より小さく、片手で操作しやすいコンパクトモデルだが、大きな特徴は従来にはない独自のデザイン「EDGEST fit」にある。

 AQUOS R compactは、ディスプレイ上部の角が丸く、しかも「iPhone X」のようにディスプレイ上部のフロントカメラ部分がくり抜かれたようなデザインとなっている。従来の液晶ディスプレイの常識では考えられないデザインを実現できたのは、自由な形状のディスプレイを作成できる「IGZOフリーフォームディスプレイ」というシャープ<6753>独自技術を用いているからである。

 この技術によってディスプレイの四角い形状にとらわれることがなくなり、狭額縁ながらも丸みのある持ちやすいボディを実現できた。またそしてコンパクトサイズながら、フロントカメラを自分撮りする際にデメリットとなりやすい本体下部ではなく、本体上部に持ってくることができたことは、使い勝手を向上させる上で大きな意味を持つ。

 ディスプレイ面での特徴という意味でもう1つ欠かせないのが、AQUOS Rから引き継いでいる「ハイスピードIGZO」である。AQUOS R compactは通常のディスプレイの倍となる120MHz駆動により、一般的なスマートフォンとは段違いの、滑らかな表示を実現しているのだ。

 その滑らかさは他のスマートフォンと並べて操作してみると明らかで、ディスプレイを直接触れて操作するスマートフォンの使い勝手を向上させる大きな武器となっている。こうした点からも、AQUOS R compactはシャープ<6753>の液晶ディスプレイ技術を存分に発揮した端末だということが分かる。

広角撮影や自分撮りが快適にできるカメラ機能

 もう1つ、AQUOS R compactの大きな特徴はカメラだ。こちらもAQUOS Rの特徴を引き継いでおり、画素数こそメインカメラが1640万画素、フロントカメラが800万画素(AQUOS Rはそれぞれ2260万画素、1630万画素)と低くなっているものの、双方ともに広角のレンズを採用していることから、従来のスマートフォンカメラよりも一層広い範囲の撮影が可能。風景の撮影や友達との自分撮りなど、スマートフォンでの撮影は広角が求められるシーンが多いだけに、広角レンズの搭載は嬉しい。

 そしてもう1つ、特徴的なのがフロントカメラの「アイキャッチセルフィー」だ。これは自分撮りの際、ディスプレイに視線が集まってしまうことで目線がずれてしまうのを防ぐ機能。タイマーを設定して撮影すると、フロントカメラ部分に扇状の表示が現れて目線を集中しやすくしてくれるのだ。他にもディスプレイが光ってフラッシュ代わりになる「セルフィーフラッシュ」や、美肌調整機能など、自分撮りをより美しく撮影するための機能が豊富に備わっている。

 一方のメインカメラには、位相差オートフォーカスとコントラストオートフォーカスの2つを組み合わせた「ハイブリッドオートフォーカス」を搭載。4Kの動画撮影に対応しているが、最も嬉しいと感じたのが、動画撮影時間の制限がなくなったことだ。従来機種では撮影時間が30分程度に制限されており、長尺の動画撮影ができないという大きな不満があった。それだけに撮影時間制限が撤廃されたことは、動画活用の幅を広げる意味でも非常に大きな変化だといえる。

 それ以外の機能で1つ、注目されるのが指紋センサの存在だ。指紋センサは本体下部に用意されており、ロック解除などだけでなくホームボタンとしても活用できるのだが、設定を変えることで、センサーを左右にスワイプして「戻る」「履歴」キーと同じ操作も可能になる。またこの設定をしておくと、ディスプレイ下部のナビゲーションバーを消して画面を広く使うことができるというのも、コンパクトモデルには嬉しい配慮だ。

 性能面に目を移すと、チップセットに「Snapdragon 660」、3Gバイトのメモリと32Gバイトのストレージを備えており、もちろん防水・防塵性能やFeliCa、ワンセグなどの日本仕様もしっかり押さえている。同じハイエンドクラスのコンパクトモデル「Xperia XZ1 Compact」と比べると性能はやや低いが、ディスプレイ面ではサイズ、解像度共に優位に立っていることを考えれば、競争力は十分あるといえるだろう。

 非常に満足感の高いAQUOS R compactだが、コンパクトモデルならではの課題もいくつか見られるもの事実だ。1つは本体の厚さで、9.6mmというのは薄型化が進む最近のスマートフォンとしては厚い部類に入る。またWi-Fiのアンテナ感度が他のスマートフォンと比べ低く、電波の入りがやや悪い場所で利用するとWi-Fiが切断してしまうケースが何度かあった。

 さらにもう1つ、欲を言うならば、やはり本体上部だけでなく、本体下部もディスプレイで覆い尽くすデザインを実現して欲しかった。「iPhone X」や「Galaxy Note8」など、最近投入されているスマートフォンは前面のほぼ全てをディスプレイが覆うデザインが主流となっているだけに、次のフラッグシップモデルではIGZO液晶の技術をフルに生かした、全面ディスプレイのモデルが登場することを期待したいところだ。

万人に勧められるスタンダードモデル「AQUOS sense」

 そしてもう1つ、シャープ<6753>が冬商戦に向けて投入したのが「AQUOS sense」である。こちらは5インチディスプレイを搭載し、チップセットにSnapdragon 430、3GBのメモリと32Gバイトのストレージを搭載したミドルクラスのスマートフォン。防水・防塵やFeliCaなどにもしっかり対応しているなど、日本メーカーならではの安心して使えるモデルに仕上がっている。

 それゆえ一見すると大きな特徴がないモデルのように見えるが、実はコストパフォーマンスが非常に高いお得なモデルなのだ。NTTドコモ<9437>の場合、AQUOS senseは端末を値引かない代わりに月額料金を毎月1500円割り引く「docomo with」の対象機種となっており、本体価格は税込みで3万456円と設定されている。

 にもかかわらず、AQUOS senseはHD(1280×720ピクセル<2743>)ではなく、フルHD(1920×1080ピクセル<2743>)解像度のIGZO液晶ディスプレイを搭載しているほか、指紋認証センサもしっかり装備。もちろんシャープオリジナルの音声アシスタント「エモパー」もしっかり備わっているほか、AQUOS RやAQUOS R compact同様、OSの2年間アップデートもしっかり保証されているなど、いかにお得感が高いかが理解できるだろう。

 AQUOS senseがそれだけお得な価格を実現している理由は、キャリア、MVNO問わず多くの事業者向けに同機種、ならびに同機種をベースとしたモデルを横展開しているからだ。実際SIMフリー版の「AQUOS sense lite SH-M05」や、ワイモバイルの「Android One S3」は同機種をベースとしたもので、同型モデルを幅広い販路で売ることにより、リーズナブルな価格を実現している訳だ。

 AQUOS senseに実際に触れてみると、ボディは樹脂素材ではあるものの、しっとりとした触感で滑りにくく、高級感がありながら落としにくく、安心感も備わっている。一方でスペックシートを見る限り、AQUOS sense liteやAndroid One S3のように、米国国防総省のMIL規格に準拠した耐衝撃性能は備わっていないことから、落下には注意する必要がありそうだ。

 メインカメラは1310万画素、フロントカメラは500万画素と、このクラスとしては標準的な内容だ。AQUOS Rのように広角レンズの採用や、4K動画の撮影など高い機能や性能を備える訳ではないが、カメラアプリの使い勝手は共通しており大きな不満を抱くことはない印象だ。

 もっとも性能はあくまでミドルクラスなので、ハイエンドモデルを操作した後に使用すると操作が若干遅く感じることが時々あったのは事実だ。またWi-FiがIEEE802.11b/g/n、つまり2.4GHz帯にしか対応していないので、筆者宅のように2.4GHz帯が混信している環境ではWi-Fiを活用できないのが気になった。多少価格がアップしてでも、5GHz帯への対応を進めて欲しかったところだ。

 とはいえ全体的に見ると、AQUOS sense比較的安価ながらも充実した機能・性能を備え、安心して利用できるモデルであることに間違いない。幅広い層の人達、特にスマートフォン初心者には最適なモデルといえるだろう。

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    最終更新: 2018年01月12日(金)09時31分

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