サイボウズが米国PaaS事業で汎用IaaSを採用する理由

ZDNet Japan 2017年09月15日(金)11時00分配信

 サイボウズ<4776>が米国でのPaaS事業を強化するため、これまでの自前のIaaSから外部の汎用IaaSに移行することを決めた。その理由は何か。同社の青野慶久社長に聞いた。

「kintoneを国内データセンターで利用したい」との要望に対応

 「米国のお客様からkintoneを国内データセンターで利用したいとの要望が寄せられるようになってきた」―― サイボウズ<4776>の青野社長は同社のPaaS「kintone」の米国市場での事業展開を強化するため、これまでの自前のIaaSではなく、外部の汎用IaaSを採用することを決めた理由についてこう語った。

 kintoneは、同社の主力製品であるグループウェアで培ってきたノウハウを基に、自前のIaaS「cybozu.com」上で手軽に業務アプリケーションを開発、運用できるようにしたPaaSである。同社は今、このkintoneを前面に押し出してグローバル展開に力を入れている。

 kintoneのグローバル展開、中でも再挑戦となる米国市場での変遷については、2016年3月10日掲載の本コラム「グローバル展開を図る国産PaaSの“次なる一手”」をご覧いただきたい。さらにこのコラムに記した内容が、今回の取り組みの伏線となっている。

 その要点は、「今後kintoneをグローバルに広げていくためには、Amazon Web Services(AWS)などの汎用IaaSを採用するほうが得策ではないか」とし、それが“次なる一手”になるのではないかと記したものだ。その理由は、事業拡大へのスケールメリットやコスト効率を享受できることにある。当時、この質問に対して青野氏は、「今のところ乗り換える予定はないが、今後の選択肢として検討はしている」と答えていた。

汎用IaaSの具体的なサービスは今年内に決定

 それから、およそ1年半。サイボウズ<4776>は米国での事業が成長軌道に乗り始めたのを機に、サンフランシスコにある米国法人の社名も「kintone Corporation」に刷新し、先述したように、現地での汎用IaaS上でkintoneを提供していく仕組みを採り入れることにした。これにより、「シンプルな構成で開発や運用をスピーディに実行できる環境をお客様に提供したい」(青野氏)としている(図1)。

 ただ、汎用IaaSを採用する理由は冒頭で紹介したように、あくまで顧客の要望に応じるためだという。スケールメリットやコスト効率ではないのかと青野氏に聞いたところ、「それらの点で汎用IaaSが一概に得策とは言えない。もっと大規模になると、むしろ自前のIaaSのほうがメリットが大きいとの見方もある」とのことだった。いずれにしても、国内データセンターで利用したいという要望に応えるほど、サイボウズ<4776>にとっては米国で大事な顧客を確保したようである。

 さて、では肝心の汎用IaaSとはどこのサービスか。そして、いつからその上でkintoneのサービスを始めるのか。まず汎用IaaSについては「今年内に選定する」(青野氏)とのことだが、どうやら想定内のグローバル上位のメガサービスから採用しそうだ。また、サービス開始時期については「来年から移行作業を行い、できるだけ品質を高めてからスタートしたいので、現時点では未定」(同)としており、早くても2018年後半といったところか。

 青野氏によると、汎用IaaS上でのサービスは「kintone.com」と名付け、米国を皮切りにグローバル市場を見据えた形で、これまでの「パッケージ製品」「cybozu.com」に続く同社の製品体系の柱の1つに育て上げていきたい考えだ(図2)。そのためにも「汎用IaaSに強い人材を積極的に採用したい」とのことだ。

 最後に、今回の取り組みで米国での事業をどれくらい伸ばしたいか、と聞いてみた。すると、「当社は、中長期の事業目標は立てない。あえて言うなら、米国で現在135社(8月末時点)の顧客数をどんどん増やしていきたい」。現在、kintoneの全体の顧客数は日本を中心に7000社(同)を超えている。その対比からみても、米国でのポテンシャルはまだまだ大きいとみられる。

 果たして、青野氏がかねて抱いてきた「日本発のグローバルソフトウェア企業」に大きく踏み込んでいくことができるか。これからが正念場である。

ZDNet Japan
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    最終更新: 2017年09月15日(金)11時00分

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