ノーベル賞の山中教授が考える「マネジメント」

ZDNet Japan 2017年09月19日(火)14時39分配信

 ドリーム・アーツは8月、年次ユーザーカンファレンス「DreamArts Executive Conference」を開催した。ゲストスピーカーに、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏、指揮者でトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督の佐渡裕氏を迎え、モデレーターを社長の山本孝昭氏が務めたパネルディスカッションを開催した。

 偶然ながら個人的に親しくしているという山中氏と佐渡氏。2016年10月20日に53歳で亡くなったラグビー元日本代表監督の平尾誠二氏を合わせた3人は、京都のバーでしばしば深夜まで交友していたという。それもあってか、かなりリラックスした雰囲気の話になった。

 山本氏が掲げたキーワードは「マネジメント」。山中氏は、やや固いという一般的なイメージとは異なり、さまざまな場面で「ぼけ」を入れる気さくなキャラクターだった。X JAPAN YOSHIKI氏と米ITベンダーの「有名な経営者」に京都のそば店に急きょ呼ばれ、手で「X」のポーズをしたことを、Twitterで公開した際のエピソードを話した。

 山本氏が「山中さんのXはやや切れがないように見えます」と指摘。これに対して山中氏は「実はこの時はこのポーズが何を意味しているのかよく知らなかったのです」と返答し、会場の笑いを誘っていた。

 マネジメントについて、「上司」としての立場で学生と接する際に参考にしている書籍として、日本シンクロチーム・ヘッドコーチ井村雅代氏が著した書籍『愛があるなら叱りなさい』だという。

 「後片付け(データ整理)のない実験などをした際は必ずしかるようにしている」(山中氏)

 最近こそあまりしからなくなってきたというものの、この本を見つけると、山中氏の研究室の学生がこわがるとのエピソードを披露した。

 興味深いのは「マネジメントの方法は生徒による」すなわち相手によるとの指摘だ。高校ラグビーの全国大会である「花園」には、各県基本的に1校しか出場しない。ある県に、常に全国大会で上位に進むチームと、県大会の決勝で必ずそのチームに負けてしまう、しかしながら、いい試合をするという県立高校のチームがあるという。

マネジメント「昔ながら」か「今ふう」か

 「両チームの監督が正反対なのです」と山中氏。強いチームの監督は、選手の自主性に任せるタイプ。一方、惜しくも敗れてしまう県立高校の監督は、「こんなんで勝てるか!」と声を張り上げるような、「昔ながら」のタイプだという。

 「今どきで言えば、自主性に任せる監督が良いということになるでしょうが、そこはあくまでも集まっている生徒によると考えます」(山中氏)

 山中氏は現在、月に2回は米サンフランシスコに渡り、自分のラボメンバーを指導している。

 「米国には“100点”を取る水準の学生が世界中から集まります。一方、日本で集まりやすいのはだいたい“80点”くらいの学生。もちろん、70点、60点の学生もいます。このとき、米国の学生に、120点を目指せと指示し、“いいよ、いいよ”と言いながら自主性に任せた管理をすると、合格点の100点には比較的すんなりと到達し、次のステップに進んでいきます。しかし、80点の学生に100点を取らせようと思ったら、私は叱咤激励をしていかないとなかなか難しいと考えています。そう考えると、自分が教えようとしているチームが、どっちなのかを考える必要があります」(山中氏)

 また、あらゆる前提として、根本的に「実験が好き」という資質を持っていることが重要だと指摘している。

 一方、佐渡氏は、マネジメントで重視していることとして「工事現場の監督」のような感覚だと話す。「演奏者の気持ちを一つにギューと集めたり、時にはダラーッとお風呂に入っている時のように好きなように音を出すような時間をつくったりする必要がある」(佐渡氏)。指揮者当人ならではの、感覚的な言い回しで表現した。

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    最終更新: 2017年09月19日(火)14時39分

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