オープンなセキュリティ連携基盤の構築を進めるマカフィー

ZDNet Japan 2017年11月13日(月)07時00分配信

 近年で定着したサイバーセキュリティの表現の1つに「脅威の高度化・巧妙化」がある。従来のサイバー攻撃は「〇〇ウイルス出現」といったように、手法そのものを1つの攻撃としてとらえることが多かった。しかし、現在では多種類のマルウェアや脆弱性の悪用、フィッシング、なりすまし、ハッキングなど、さまざまな手法を組み合わせる。攻撃者が使う手法が増え、それぞれを組み合わせて段階的に、あるいは長い時間を費やして攻撃を実行する。「脅威の高度化・巧妙化」とは、こうした攻撃の特徴の変化を表したものだ。

 2016年にIntelからスピンアウトしたMcAfeeは、同年10月に米国で開催したカンファレンスで「Open Data Exchange Layer(DXL)」という取り組みを発表した。OpenDXLは、同社がIntelの傘下だった時代に開発した異なるセキュリティ製品同士が協調して動作するためのDXLをオープンソース化したものになる。

 バイスプレジデント兼チーフテクニカルストラテジストを務めるCandace Worley氏は、同社の基本的な戦略の中核にセキュリティのプラットフォーム化があると話す。これは、上述の「脅威の高度化・巧妙化」に対応するために、セキュリティベンダーの枠を越えた連携の必要性が高まり、同社がそのための基盤を整備していくという取り組みになる。

 「高度なセキュリティシステムを構築、運用している企業がサイバー攻撃によって深刻な被害に見舞われるケースが増えている。原因の1つは、異なるベンダーや製品の間で脅威情報を共有する仕組みが無いためだ」

 ITシステムがサイロ化あるいは異種混在化することで直面する「複雑かつ手間のかかる運用」という課題は、昔から存在する。セキュリティシステムも多分に漏れず、この課題に直面している。従来のアンチウイルスやファイアウォールといった個別の対策は、個々の攻撃手法に対応するものだった。攻撃手法が増えるに従って個別の対策も増え、セキュリティシステムは「多層防御」という異種混在の状態に至る。「多層防御」を構成する1つ1つの対策を「サイロ」とみることもできるだろう。

 「被害企業の中には、実はネットワークの対策システムで攻撃を検知していたにもかかわらず、エンドポイントにその情報が伝わらなかったことで、結果的に攻撃を止められなかったケースもある」

 Worley氏によれば、まずMcAfeeの異なる製品同士や協業ベンダーの製品が協調動作する仕組みとしてDXLを開発した。「DXLは双方向型のコミュニケーションのAPIといえる。当社あるいはパートナーが提供するIOC(Indicator of compromise:侵害の兆候を示す指標)などを共有し、速やかに検知や防御へとつなげる」

 当初のDXLは、McAfeeと協業ベンダーがそれぞれに得意とする対策領域の情報などを共有する仕組みだったが、それだけでは“広大な”ITのシステムやサービスに対してセキュリティを提供し切れない。そこでプラットフォームとしてのDXLを広げるべく、オープンソース化に至った。このOpenDXLには30社以上のベンダーが参加を表明し、直近ではCiscoやIBM、SASといったセキュリティ専業の枠にとどまらない広がりを見せ始めている。

 同社はDXLのオープンソースとしてGitHubで公開すると同時に、コミュニティーも立ち上げた。「当社の立場で公式には言えないが、実は当社のユーザーがまだ参画表明をしていない他社製品と連携するためのスクリプトを開発し、コミュニティーで公開しているケースもある」

 McAfeeが推進するようなベンダーの枠を越えたセキュリティ対策における連携の取り組みとしては、他にもランサムウェアの情報や不正な暗号化の被害を受けたユーザーに無償の回復手段(復号ツールなど)を提供する「The No More Ramsom Project」などがある。

 The No More Ramsom Projectにはセキュリティベンダーだけでなく、世界各国の警察当局やサイバーセキュリティの公的機関なども参加、賛同しており、ランサムウェアを使ったサイバー犯罪の被害からユーザーを守るための活動として定着した。

 Worley氏は、「企業や個人を問わず脅威からユーザーを守るためのNo More Ramsomはすばらしい取り組みの1つ。もちろんベンダー間にはビジネスとしての競争はあるが、OpenDXLもユーザーを守るための取り組みとして広めていきたい」と話す。

 同社のビジネスとしては、顧客が自分たちのIT環境の中でDXLやOpenDXLなどを活用して協調動作型の多層防御システムを構築、運用できる仕組みや、セキュリティ担当者のインシデント対応作業における負担を軽減するためのツール、クラウド環境に適した対策製品などの提供に注力しているという。

 「『脅威対策のライフサイクル』というものを提唱しており、検知や復旧、対応を通じて防御につなげるアプローチが重要だと考えている。セキュリティの脅威は半年と言わず、1分先に変化するかもしれない性質を持つため、連携と対応こそが必要だ」

ZDNet Japan
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    最終更新: 2017年11月13日(月)07時00分

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