原油・銅・石炭が上昇--資源高の追い風を受ける大手総合商社

ZDNet Japan 2017年12月06日(水)11時10分配信

今日のポイント

  • 原油(WTI原油先物)は当面1バレル当たり50~60ドルで推移すると予想
  • 銅価格の反発続く--世界景気が好調である間は堅調と予想
  • 石炭価格は乱高下しつつも堅調に推移
  •  これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

     世界景気の拡大を受け、2017年は原油、銅、石炭など資源価格の反発が続いている。これは世界各地に資源権益を有する大手総合商社である三菱商事<8058>三井物産<8031>伊藤忠<8001>住友商事<8053>丸紅<8002>に追い風だ。

     今日と明日、大手総合商社の投資判断について解説する。今日は商社の利益に影響が大きい原油、銅、石炭市況の現状と先行きについて取り上げる。

    原油(WTI原油先物)は当面1バレル当たり50~60ドルで推移すると予想

     WTI原油先物は10月以降に騰勢を強め、1バレル当たり60ドルに迫りつつある。ただし、今後は上値が重くなると予想している。その理由を説明する。

    WTI原油先物(期近)と、米シェールオイルの推定生産コスト推移:2014年1月~2017年12月(4日まで)

     石油輸出国機構(OPEC)は11月30日にウィーンで総会を開き、ロシアなど非加盟の主要産油国と実施している協調減産の実施期間を2018年末まで延長することで合意した。合意延長への期待で原油価格は10月以降上昇してきた。

     ただし、1バレル60ドルを超えて原油価格が大きく上昇していくとは考えていない。筆者は、当面のところ50~60ドルの居心地のいい水準にとどまると考えている。

     これには2つの理由がある。1つはこれ以上原油価格が上昇すると、減産合意に参加していない米国のシェールオイルの採算が改善し、一段の増産につながると考えられることだ。

     もう1つは2018年末までと決められた今回の減産だが、6月のOPEC会合で実施期間を見直す可能性があることだ。OPECは、原油価格の上昇が米国シェールオイルの増産につながることを警戒している。2018年6月時点で原油価格がさらに上がっている場合は、減産をやめて原油価格の上昇に歯止めをかけることが意図されている。

     米シェールオイルの生産コストは、掘削技術の進歩により低下しつつある。かつて、1バレル60ドルを割れるとほとんどの油井が採算割れになると考えられていたことがある。今は1バレル50ドル以下までコストが低下してきている。

     ここで2014~2017年の原油価格の動きを簡単に振り返る(上のグラフ参照)。

    (1)2014年に原油価格が急落

     2013年まで原油の世界需給は日量50万バレルの需要過剰だったが、2014年に日量90万バレルの供給過剰になったため原油価格は急落した。米国でシェールオイルの生産が拡大したことが供給過剰を招いた。

    (2)2015年後半に原油価格が再び急落

     2014年の原油急落により米国のシェール油田でコスト割れが増えた。2015年前半はシェールオイルの生産が減る思惑から原油が反発した。しかし、2015年後半は中東原油が増産され、供給過剰が日量2百万バレルまで拡大したために原油価格が再び急落した。高コストの米シェール油田は廃業に追い込まれたものの、低コストのシェール油田が増産したためにシェールオイルの生産はあまり減らなかった。

    (3)2016年に原油価格が反発

     米シェールオイルの生産がようやく減り始めたこと、OPECが減産に向けて話し合いを始めたこと、世界需要が順調に拡大したことを受け、原油需給が徐々に改善に向かい原油価格が反発した。11月にOPECが減産で合意すると上昇に弾みが付いた。

    (4)2017年に原油価格の反発が続く

     OPECの減産合意は守られていない。一部の国が決められた枠以上に生産している。また、米国で生産コストが下がってきたシェールオイルが再び増産に転じている。ただし、世界的な景気拡大で需要の拡大が続いていることを受け、原油価格の反発が続いている。世界的な株高を背景に投機筋が原油先物を買い上げている影響もある。

    銅価格の反発続く--世界景気が好調である間は堅調と予想

     2011年以降急落が続いてきた銅市況だが、2016年に底打ちして2017年は騰勢を強めている。供給過剰が完全に解消したわけではないので、このまま一本調子の上昇が続くとは考えていない。ただし世界景気が好調である間、インフラ投資に欠かせない素材である銅市況は堅調に推移すると予想している。

    LME銅3カ月もの推移:2014年1月~2017年12月(4日まで)

     2016年3月期には銅市況の急落を受けて、銅鉱山の開発を積極的に行ってきた日本の商社・非鉄各社が軒並み銅鉱山権益の巨額減損を強いられた。減損額が大きかったのは、三菱商事<8058>三井物産<8031>住友商事<8053>丸紅<8002>住友金属鉱山<5713>三井金属<5706>JXTGホールディングス<5020>

     ただしその後、銅市況は急反発している。減損を出した商社・非鉄各社の業績に追い風となっている。

    乱高下しつつも堅調に推移する石炭価格

     三菱商事<8058>はオ-ストラリアに原料炭(鉄鋼生産に使われる高品質の石炭)権益を保有しており、石炭価格の変動は同社の利益に大きな影響を及ぼす。石炭市況は近年、乱高下しながら反発しつつある。

    オーストラリアの原料炭輸出価格推移:2014年1月~2017年12月(4日まで)

     石炭の最大の需要国は中国だ。中国は鉄鋼生産で原料炭を大量に使用する。また、石炭火力発電で大量の一般炭を使用する。中国は発電量の約8割を石炭火力発電に頼っているからだ。

     こうした背景から、石炭市況は中国景気の影響を強く受ける。中国は国内で石炭を産出するが、それではまったく足りず大量の石炭を輸入しているからだ。

     2016年前半まで中国の景気低迷を受けて石炭市況は低迷していた。ところが、2016年から中国景気が回復に向かうと石炭価格は底入れした。

     中国政府は2016年後半、石炭市況下支えのために中国国内の一部炭鉱の操業を停止した。需要回復と中国国内の一部炭鉱の操業停止が重なり、原料炭価格は2016年に3倍以上に急騰した。ただしこれは行き過ぎだった。中国国内の炭鉱が操業を再開すると、原料炭価格は2017年に入り急落した。

     中国がかく乱要因になって乱高下したものの、原料炭価格は底値よりは大幅に高い水準に反発している。それが三菱商事<8058>の今期業績の回復に寄与している。

     明日はこうした市況変動を踏まえた上で総合商社各社の投資判断についてレポートする。

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      最終更新: 2017年12月06日(水)11時10分

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