強く、アジャイルで、革新的に--HPEのホイットマンCEO最後の基調講演

ZDNet Japan 2017年12月06日(水)17時48分配信

 Hewlett Packard Enterpriseは11月30日までスペイン・マドリードでユーザーカンファレンス「HPE Discover 2017 Madrid」を開催した。最高経営責任者(CEO)のMeg Whitman氏にとっては最後のHPE Discoverであり、次期CEOのAntonio Neri氏と2人で登場し、顧客の前でバトンを渡した。

HPEは強く、アジャイルで、革新的になった--Whitman氏

 Whitman氏はHPE Discoverの直前に、2018年1月末でCEOを退くことを明らかにしている。2011年にHewlett Packard(当時)のCEOに就任、PCとプリンタ事業のHPとエンタープライズ事業のHPEの分社を進め、経営立て直しを図ってきた。その後も、一部サービス事業、ソフトウェア<3733>事業などを売却し、「コアへのフォーカス」を進めた。次期CEOには、現在HPEのプレジデントを務め、この2年間Whitman氏の片腕として改革を進めてきたAntonio Neri氏が就任することになっている。

 Whitman氏は会場の顧客、パートナー、従業員を前に、「ここ数年間、リーダーシップチームを組み立て、安定させた。バランスシートを再構築し、生産性を改善させた。顧客満足度、パートナー満足度が改善した」と切り出した。「新しいHPEを作った。我々はもっと強く、アジャイルで、革新的になった。顧客のビジネスをトランスフォームするための土台が整った」と続けた。

 顧客を取り巻く環境は厳しい。Whitman氏は「アプリケーションとデータが燃料になったデジタルトランスフォーメーションが起きている」とし、車、家庭、工場とあらゆるものが接続する時代が迫っていると述べる。データを収集し、洞察を得ることで何ができるのかーー「これがもたらす可能性を想像すべきだ。データのパワーを活用してビジネス上のアウトカム(成果)につなげる。素晴らしいイノベーションを、正しい体験・適切なタイミングで提供する必要がある」と語る。

 Whitman氏はエンタープライズITの将来として、次の3要素を挙げた。

  • ハイパーコネクテッド
  • AI
  • 継続的イノベーション
  •  ハイパーコネクテッドで重要なのはエッジだ。「エッジがクラウドを食べる」というGartnerアナリストの予想を引用しながら、「顧客とのインタラクション、工場で製品ができるところであり、最も深いトランスフォーメーションが起こっている」とWhitman氏。ここで新しい体験を作ることができるかどうかが、デジタルトランスフォーメーションに大きな影響を与えると予想する。エッジを活用するためには、セキュリティや制御が大切になると付け加えた。

     変化の速度に対応するにあたって、AIをあらゆるところに組み込むことで自動化を進めることができる。さまざまなパブリッククラウド、オンプレミス、ホスティングなどの環境からリソースを効率良く組み合わせ、ビジネスが必要とする時にリアルタイムで提供する。さらには、使用しただけ支払う消費モデルになると予想する。

     イノベーションは、大規模なプロジェクトに変わって時間も予算も小規模で高速なイノベーションが主流となる。失敗したら改善するというサイクルを繰り返す形に移行する。

     「HPEは複雑性を見えないものにし、望んでいるアウトカムを得られる技術、ソフトウェア<3733>、ソリューションを持っている。顧客は自分たちのビジネスだけにフォーカスできる環境を得られる」とWhitman氏はHPEの方向性をまとめた。

    イノベーションはチームワーク、Dellとの違いを強調

     次期CEOのNeri氏は、Whitman氏の方向性を具体的に説明した。

     HPEはハイブリッドITをシンプルに、インテリジェントなエッジ、それらを実現するサービスの3つの柱を持つが、Neri氏は「データ主導になるためには、これまでとは違うインフラが必要」とし、インテリジェントエッジ、高性能コンピューティング(HPC)、AI、スピードの4つの要素からHPEの戦略を説明した。

     インテリジェントエッジでは、2015年にAruba Networksを買収しており、「モバイルファースト、クラウドファーストのアプローチにより、アプリケーションとデータで新しい体験を構築できる」とNeri氏。同時に、安全性への懸念に対応するため、セキュリティを全てのレベルに組み込んでいる述べる。その例が夏に発表した「Gen10」サーバ群だ。AIを利用したセキュリティ機能を組み込むことで、常に脆弱性を探すハッカーから保護できるという。

     HPCは、データ量の増加という問題に対応するものだ。ここでは2016年8月にSGIを買収しており、「HPC分野でのリーダーポジションを確実なものにした」とNeri氏。メモリ主導コンピューティング「The Machine」プロジェクトにも触れ、「研究チームは4100ヨタバイトのデータに対応できると予想している」という。これは現在、世界に存在するデータの総量の250倍という。

     AIは、「全てのプロセスと体験に組み込む」というのがHPEのアプローチだ。「管理、分析など全てのことをやる時間はない。高速に対応するには、システムが自ら考え、行動するようにトレーニングする必要がある」とし、効果的なAI活用を呼びかけた。HPEはここで2017年始めに行動分析のNiaraを買収している。その後買収したフラッシュストレージのNimble StorageはAI機能「InfoSight」を持つが、HPE Discoverの直前にInfoSightの拡大を発表している。

     最後のスピードについては、AIに加えて、ソフトウェア<3733>定義を受け入れることで柔軟にリソースを構築し、管理するというもの。HPEはここでプライベートクラウド向けの「OneView」を持つが、HPE Discover Madridではマルチクラウドにも拡大した「OneSphere」を発表している。

     技術戦略を説明した後、Neri氏はHPEの差別化を「技術パートナー」とする。EMCを買収したDell Technologiesと対比させるかのように、「1社では将来のエンタープライズを全て実現できない。イノベーションはチームスポーツだ」として、SAP、Microsoftなどの既存パートナーに加え、ベンチャー投資のPathfinder、クラウドサービス事業者コミュニティのCloud 28+などに触れた。Pathfinderでは、Mesosphere、Chef、Scalityなどの新しい技術を開発するベンチャーに投資しており、Cloud 28+はメンバー企業がこの1年で200社から約700社に増えている。HPEの顧客は、これらの企業のイノベーションも活用できる。

     また技術だけなく、消費モデルも変化させている。HPEはすでに「HPE Flexible Capacity」として従量課金を導入しているが、HPE Discover Madridではこれを「HPE GreenLake」として再ブランドし、さらに強化した。

     このようにITの複雑性を隠し、AIやソフトウェア<3733>定義により高速化、効率化し、使った分だけ支払うというのがHPEの描くエンタープライズの将来だ。2018年2月よりCEOとしてHPEを率いるNeri氏は、「アウトカムをサービスで得られる。このビジョンに向けた戦略がある」と顧客に語った。

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      最終更新: 2017年12月06日(水)17時48分

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