デル幹部が語る「スモールビジネスの決め手」

ZDNet Japan 2018年01月12日(金)11時36分配信

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、デルの渡邊義成 常務執行役員と、富士通<6702>の谷村勝博 グローバルビジネス戦略本部長の発言を紹介する。

「スモールビジネスアドバイザーとしてお役に立ちたい」
(デル 渡邊義成 常務執行役員)

 デルが先頃、従業員数100人以下の企業を対象としたスモールビジネス向けの事業戦略およびPCの新製品を発表した。同社の常務執行役員でコンシューマー&ビジネス事業統括本部長を務める渡邊氏の冒頭の発言は、その発表会見で同氏が率いる営業部隊を「スモールビジネスアドバイザー」と位置付け、顧客対応の強化を図ることを明言したものである。

 PCの新製品など会見内容のポイントは関連記事をご覧いただくとして、ここでは渡邊氏が説明したスモールビジネス向けの事業戦略に注目したい。

 まず、スモールビジネスの現状について同氏は、「IT投資を積極的に行っている企業ほど業績も良い傾向にある」との見方を示した一方、IT投資に消極的な企業にその理由を聞くと、「適切なIT人材がいない」「導入効果が分からない」「コストを負担できない」といった点が挙がってきたという。

 さらに同氏いわく、その根本的な理由として「IT導入について誰に相談してよいか分からない」という企業の割合が、独自調査で全体の3分の2を占めていることが分かったという。そこで、そうした企業に対してデルがソリューションを提供するにはどうすればよいかを考え、このほど明確な言葉として打ち出したのが、スモールビジネスアドバイザーである。

 では、スモールビジネスアドバイザーとは具体的にどんなことをするのか。同氏は「例えば、私どもに電話でPCを購入したいとご連絡いただいたお客さまに対し、単に注文を受けるだけでなく、お客さまの現在のIT利用環境や、その中で何か困っておられることがないか、相談していただける関係を構築していく仕事だ」と説明した。

 デルとしてはスモールビジネス向けに、業界でトップクラスのPCやサーバ、IT管理などの製品や、国内をカバーする安心のサポートサービスに加えて、スモールビジネスアドバイザーの活動を強力なアドバンテージにしていきたい考えだ(図参照)。

 ただ、電話によるアドバイスが果たしてどこまで有効なのかとの見方もあろう。筆者も会見を聞いていてそう感じるところがあったが、渡邊氏の次の話を聞いて少し見方が変わった。

 「私自身、20年前にデルに入社して以来、中小企業向けに電話を中心とした営業活動を続けてきた中で、スモールビジネスアドバイザーの役目を担ってきた経験から、お客さまとの電話でのやり取りがもっと生かせると確信している」

 つまり、今回の施策は渡邊氏の実感に基づいたものといえる。とはいえ、営業マン個々のスキルアップが必須となる。果たして奏効するか、注目しておきたい。

「コミュニケーションを支える技術の進化に貢献したい」
富士通<6702> 谷村勝博 グローバルビジネス戦略本部長)

 富士通<6702>が先頃、自然な対人コミュニケーションを実現するサービス基盤として「ロボットAIプラットフォーム」を開発し、第1弾としてユニロボットの提供するコミュニケーションロボット「unibo」と連携すると発表した。谷村氏の冒頭の発言はその発表会見で、今後の取り組みへの意欲を語ったものである。

 新開発のロボットAIプラットフォームは、コミュニケーションロボットをはじめとするさまざまなデバイスと接続でき、デバイスと人が自然なコミュニケーションを実現するものだ。自然対話、表情認識、音声感情分析、顔認証などのコミュニケーションに関わる人工知能(AI)技術を搭載し、ロボットなどのデバイスと接続したクラウドサービスとして提供。接続先のロボットは、窓口業務や高齢者介護などさまざまな現場で個人の状態や好みに合った自然対話によるコミュニケーションサービスを実現するとしている。

 富士通<6702>は、富士通研究所が中心となって1980年代からロボットの実用化に向けた研究開発に取り組み、特に対人インタラクション技術を中心に研究開発を継続している。そこで培った技術や知見をベースに同社のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用し、対人コミュニケーションにおける領域において独自技術を持つ複数の企業とパートナーシップを形成し、ロボットAIプラットフォームとして体系化した。

 詳しい発表内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。図に示した内容は、谷村氏が説明の最後に掲げたものだ。コミュニケーションを支える技術の進化に向け、富士通<6702>としては、人間の感情に寄り添う「あたたかいコミュニケーション」を目指すとともに、コミュニケーションの核となる「自然対話技術」「感情認識技術」「パーソナライズ技術」をパターン認識、知識、推論により進化させていくとしている。

 今回、富士通<6702>が発表したロボットAIプラットフォームは、グローバルビジネス戦略本部長の谷村氏が説明に立ったことからも明らかなように、同社としてはグローバル展開も視野に入れている。果たして、エコシステムをどれくらい広げ、どのような成果を上げることができるか。注目しておきたい。

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    最終更新: 2018年01月12日(金)11時36分

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