銀行が貸し家建設資金を貸すのはバブルに懲りていないから?

投信1 2017年07月16日(日)06時40分配信

貸し家の建設が好調を持続しています。相続税対策として貸し家建設を勧める業者がいるようですが、銀行も熱心に貸し家建設資金を貸し出していると言われています。

一方で、日本は人口が減少していくことが確実視されていて、現在既に深刻化している「空き家問題」が今後も深刻化し続けることは誰が見ても明らかでしょう。現在建設中の貸し家も、多くは空き家になってしまう運命でしょう。それなのに、どうして貸し家の建設が増え、銀行が前向きに融資をしているのでしょうか?

基本は地主の自業自得だが・・・

業者が地主に貸し家建設を持ちかける際に、家賃収入を保証するケースが多いようです。しかし、その多くは「現在の家賃を30年間保証する」ということではなく、「その時々に、周囲の家賃水準と比べて妥当な家賃の水準」を保証する、という契約になっているようです。

つまり、空き家が増えれば、その地域の家賃水準は下がりますから、家賃保証の契約があっても業者が地主に支払う金額は減っていくわけです。

まあ、地主が契約内容をよく理解せずにサインしてしまったのであれば、よほど業者が詐欺的な行為をしていない限りは自業自得でしょう。中には「自分が相続税の対象でないことを知らずに相続税対策だと思って契約した」という人も少なくないようですが(笑)。

現状は「バブル」

バブルというと、不動産や株の値上がりが続き、適正価格を大きく上回ることをイメージする人が多いでしょうが、現状の貸し家建設のように、将来は空き家が増加して貸し家の価格が下落していく確率が高い場合には、「価格が適正価格を上回る幅が拡大し続けている」という意味で、やはりバブルと言って良いと思います。

では、バブルが崩壊した時に何が起きるのでしょうか? 家賃収入が得られずに銀行からの借入が返済できない大家が続出するでしょう。

銀行としては、担保の貸し家を処分すれば良いと考えているかも知れませんが、空き家だらけの貸し家が融資残高に見合った値段で売れるはずはないでしょう。さらには、時間が経つとともに借金が返せずに競売される貸し家が増えていき、競売の落札価格が際限なく下がっていくかもしれません。

「相続税対策としての貸し家建設をするくらいだから、資産家なのだろう」と考えるのも、楽観的すぎるでしょう。人口減少社会では、地方を中心に不動産価格が下落していくでしょうから、地方の地主が資産家であり続けるとは限らないのです。

銀行は、過去のデータを重視します。客観的だからです。しかし、バブル期に過去のデータを重視することは大変危険です。平成バブルの時には「過去1年間、不動産業向け貸出は1件も回収不能がありませんでした。したがって、不動産業向け貸出は極めてリスクが低いと考えて良いでしょう」といった判断がなされた例もあったようですし(笑)。

今回も、現在の不動産価格を用いて担保価値を計算している銀行が多いものと思われ、大いに将来が懸念されるところです。

今がバブルでないと思っているのか?

もしかすると、銀行は今の貸し家建設がバブルではないと考えているのかもしれません。しかし、それでも貸出は正当化されないでしょう。「絶対大丈夫だとは言わないが、多分バブルではない」と考えたら、銀行は融資を行なうべきでないからです。

予想どおりバブルではなかった場合、銀行が得るのは金利収入だけですが、予想がはずれてバブルが崩壊した場合には、銀行は貸出元本を失うのです。銀行というのは、「成功しても得るものは少ないが、失敗すれば失うものが多いので、失敗が許されない」商売なのです。だから、銀行員は貸出の判断を慎重に行なうのです。

個々の貸出案件に関して慎重に判断しても、現状がバブルであるか否かについて慎重さを欠いているとしたら、それは極めて危険なことだと言えるでしょう。「バブルかもしれない時は貸すな」という前回の教訓が生かされていないわけですから。

貸した担当者が罰せられない銀行の人事制度が問題なのかも

平成バブルが崩壊した時、大量の不良債権が発生しました。しかし、貸した時の担当者が既に異動していた場合、人事考課上の不利益を被ったケースは少ないと言われています。つまり、バブル期に思い切り貸出を増やした担当者は、そのことで人事考課上の得点をしただけだったというわけです。「食い逃げ」ですね(笑)。

それを知っている今の銀行員は、「自分も食い逃げをしよう」と考えている可能性があります。特に平成バブルと異なり、今回は仮にバブルが崩壊したとしても、銀行融資が焦げ付くのは早くて数年後でしょう。少なくとも数年間は「家賃保証」が有効に機能するはずですから。

そうだとすれば、銀行が人事制度を変更して、「貸し倒れが発生した場合には、貸出稟議に押印した全員を人事考課上の減点とする」といった制度にする必要があるのかもしれませんね。そうなれば、今度は強引な支店長に強要されて貸出を増やした担当者が罰せられることにもなりかねませんが、まあサラリーマンの人事などというのは、運の要素が大きいのだと思うしかなさそうですね(笑)。

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    最終更新: 2017年07月16日(日)06時40分

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